森のかけら | 大五木材


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道後REBORN』の文字が刻まれた巨大なウォールアートパネルには「火の鳥」以外にもさまざまな絵が描かれています。その中に大きな角材を上下から大鋸で板材に挽き割っている絵がありました。構図から、葛飾北斎が『富嶽三十六景』の中で描いた有名な「遠江山中」がモデルになっていると思われます。木挽きが前挽き鋸を使って力強く製材している姿が描かれていますが、北斎の絵は江戸時代後期の木挽きたちの作業風景で、タイトルから浜松市の天竜辺りが舞台だ思われるので、挽いている木は恐らくヒノキスギ

道後温泉そのものは日本の神話にも登場するぐらい歴史が深く、一説には3000年とも言われていますが、道後温泉本館は1894年(明治27年)に落成されたとあるので、その歴史は約120年あまり。その当時には製材機も導入されていたと思われますので、まさか木挽きが挽いたような材は使われてはいなかったでしょうが、さぞ立派な材が使われたことでしょう。寺社仏閣などとは違いそもそもが営業目的の公衆浴場ですから、人が触れる頻度のその比ではなく床も柱もかなり摩耗していますが、木の経年変化から歴史が窺えます。

新年会が終わってからもう一度本館を訪れると、本館北面で行われているプロジェクションマッピング「道後温泉×ネイキッド MESSAGE-火の鳥、到来-」の最後の数分間にギリギリ間に合いました。さすがに正月明けの週末という事で観光客の数は多くはありませんでしたが、人だかりが出来ていてあちこちで歓声も上がっていました。絢爛な光のショーに、おお~っとはなったものの、いつも見ていた「暗闇の中に赤く灯る振鷺閣のギヤマンガラス」の油断していると異世界に引き込まれそうになる風情が好きな私には少し騒々しく感じました。

工事期間中は本来の正面玄関は閉鎖されていて、火の鳥が描かれた日除け幕が垂らされていますが、夜になれば灯りがともるようで、観光客がその前で記念写真を撮っていました。7年という長期工事に伴う観光客の減少を食い止めようといろいろ工夫をされているみたいですが、そこに佇むことに価値があるものに手を加える難しさを感じました。全国の有名な温泉が束になっても敵わない、唯一無二の『歴史』という道後温泉の本来の魅力に厚化粧が施されているようにも思えたのですが、不死鳥のごとく生まれ変わってもらいたいです。




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