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| 【森のかけら】で240種の木(日本120種と世界120種)を選別するときに最終選考まで残りながら、最後の最後で泣く泣く断念した木がいくつかあります。その多くは、材が安定的に入手できる見込みがないとか、解説書の写真撮影までに材を確保できない等々の理由によるものです。【森のかけら】の240種改訂版を発売始めてから10年も経つと、状況もいろいろと変わってきて、あの頃は入手する方法も、どこで手に入るのかも分からなかった木と次々にご縁があって巡り合ってきました。そんな木の1つが『ホルトノキ』。 |
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木材関係者でもその名前を聞いたことが無い人が多いと思いますが、それはこの木が街路樹や公園、校庭、神社などに植えられるから。木材市場に出ることもほとんどありません。樹木図鑑などによれば、分布域は千葉県以西の本州、四国、九州、沖縄ということなので、とりわけ関東以東の方だと、その名前すら聞いたことが無いという人も多いかもしれません。松山周辺では古くから庭木や街路樹で植栽されていて、たまたま近くの新興住宅地の街路樹に植えてあったので、その名前だけは知っていました。 |
| それで、ぜひ【森のかけら】にも含めようと、先行してネームシールだけは作っておきました。これだけ近くで見かける木なのだから(しかもその通りにはズラリと植えられていて)、きっとご縁もあるだろうと、安易な気持ちでリストに加えるつもりでいたものの、結局それから10年ぐらいその木を手に入れることが出来ませんでした。一昨年にその木の小さなモノは入手出来たのですが、いかんせん径が小さかったので、芯で割ると【森のかけら】が取れる大きさにはならなかったので、ご縁がないのかと諦めていたら・・・ |
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昨年の末に、某神社に植えられていたホルトノキの大木が強風で倒れたので処分することになったらしく、そのホルトノキが縁あって私の元にやって来ました。欲しい欲しいと思っている時には手に入らないのに、すっかり諦めていたら不意にこういう巡り合いがあるのも皮肉なものですが、それは強い念が成就するのに時間がかかっただけで、やはり強く念じておくことは大切だとポジティブに考えるようにしています。なので、今も数種類の木がいつか手に入りますようにと強く念じています。この話、明日に続く・・・ |
| 少し油断しているとすぐになくなってしまうのがお金と【森のかけら】のストック、とは誰かが言った言葉!?。以前は在庫が少なった樹種があると、注文があった時にそれが無いと大変だという『欠品恐怖症』から、そればかりをひとカゴも(200個ぐらい)作ってしまうというような無謀な事をしていました。あまり流通量の多くない木だと、そうやって材がある時に作れるだけ作っておかないと、次いつ手に入るか分からないので、どうしても過剰に在庫を作ってしまっていたのです。 |
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しかしそれだと特定の樹種だけ異常に在庫が溢れ、最後まで売り切るのに凄く時間がかかってしまううえに先行して加工しておかなければならないため資金も固定化してしまうので、最近はなるべく補充は少量をこまめに繰り返すようにしていました。ところが、補充量が少ないので油断していると欠品が発生してしまい慌てることになってしまうのです。1樹種につき20個補充したとしても240種あるので、全部揃ったとしたらそれだけで実に4,800個に!これあくまで補充した分のみの総数です・・・。 |
| それで12月にまた慌てて欠品していた種をチェックして加工することにしました。その中に『カシワ』の名前が。カシワについては、現在は身近な材ですがご縁があって、かけらの原料サイズはある程度確保できています。そういえば以前に、なかなかご縁が無い木なんだということをブログで書いたなあと思って読み返そうと『今日のかけら一覧』を見ると、書いたはずのカシワの項目がないっ!アップした画像を検査すると、間違いなくブログに書いてはいたものの、『今日のかけら』のページへの転載漏れでした。 |
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それで慌てて、昨日アップしました。なかなか『今日のかけら』が増えないと思っていたらそういうミスもありそうなので、確認の必要ありです。ところで、そのカシワですが、角材で在庫しているものの中に鬼皮が付いているのもありました。乾燥が進んでいてペリッと剥がれたのですが、その下からはワニの背中を思わせるような硬い鱗のようなカッコいい突起が!たまたまその1本だけこんな感じになったのか、カシワ自体がこういう感じなのかしら?皮付きのものがそれだけだったので妙に『ワニガシワ』の事が気になり作業進まず・・・。 |
| すっかり材としての説明ではなく、新商品開発の決意表明のようになってしまいましたので、改めて材としてのメープルについて。弊社では北米産広葉樹などの平板(挽き板)に関しては、厚みが30~33㎜で仕上げる方が主流なので、基本的には厚みが6/4inch(約38㎜)のものを購入しています。ただしハードメープルに関しては、家具というよりは造作に使っていただくケースが多くて、それに対応するため少し厚めの8/4inch (役51㎜)のものを仕入れています。ただでさえ北米産広葉樹の中では重たい木なのですが・・・ |
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しかし重たい木を動かしていると、「俺、今働いてる~!」という実感があって、自己満足の世界観に浸ることができます。こうして梱包された板材が入荷すると、弊社はみぎひだりで卸すような会社ではないので、すべて梱包をさばいて1枚ずつ倉庫に立て掛けます。その際に、幅で分けたり、検品も兼ねて行って、現在どういう材を在庫しているのかということを頭と体に叩き込みます。ハードメープルは重たいものの(8/4なので猶更)肌触りが滑らかなのと、そげらも少なくて担ぎやすい木のひとつです。 |
| 4,5年前までは無垢の白っぽいフローリングというとメープル(チャイニーズ・メープル)が主流でしたので、それに伴う玄関の框(かまち)もメープルで作らせていただいていました。今はフローリングも茶系から黒系が主流になっているので、出番としては枠材や敷居や鴨居、額縁、カウンターなどに加工させていただいています。チャイニーズ・メープルに比べると、俗に『カスリ』と呼ばれる緑~黒の筋が出にくいのと、木そのものが大きいので挽き割っても挽き反りしにくく、弊社においてはロスが少ない木です。 |
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ハードメープルの魅力は、ツルツルした滑るようななめらかさと、美しく多彩な杢の表情です。中でも、1万本に1本現れるとも言われる『鳥眼杢(バーズアイメープル)』はその代表格で、まさに銘木の風格(プレミア36の1つです)。また、緩やかに流れるようなカーリー杢や小さな波状の縮み杢(キルテッドメープル)をはじめ、杢が鱗状になったり玉状になったりと、芸術的な表情を見せてくれます。梱包をさばいていて不意にそんな杢が現れたりすると、途端に肩に乗せた材が軽く感じてしまうのです。この項完了。 |
| その日も重たいハードメープルをあっちこっちに動かしたり担いだり、短くカットしたり削りしながらも頭の中で考えていたのは、言葉としてのメープル、イメージとしてもメープル、物語としてのメープルをいかにして商品化して売ろうかという事ばかり。昨日、『カタチなきモノ』と表現しましたが、例えばカナダの国旗のメープルのようにデザイニングされたものであれば、実際にはデータとしてやり取りされるものに対価が発生するわけで、そこには材としてのメープルは存在しないモノの、メープルは存在しています。 |
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そういうのはデザイナーやアーティストの仕事で、材木屋の仕事ではないと言われるかもしれませんが、リアルな材を売るにあたってもそういう付加価値につけ方が重要であり、住宅部材の絞り込みが一層強くなり、価格の決定権がこちら側の手に無くなっていくことを考えれば、そういう形で『モノ+物語性』を付加したものでなければ差別化も図れず勝負が出来なくなると思っています。例えばその1つとして、兵庫県の住空間設計Laboさんと共同で『誕生木(たんじょうもく)』という物語を考え出しました。 |
| ただこちらは一般の方にも馴染みのあるようなメジャーどころの日本の木で1年12ヶ月にその季節の行事などに当てはまるような木を選んで作っているので、外材は含まれていません。私は日本の木でも外国の木でも同じように好きなので、外国産の木にもこういうような物語性を付加してみたいと考えています。以前、外国の方から「誕生木の外国版は無いのか?」と訊かれたこともあありましたが、誕生月以外の構想もあります。世界の木となると、色合いもカラフルになるし物語の幅もかなり広げられます。 |
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まあ弊社の場合は、100発撃って1発仕留められるぐらいの商品開発精度なので、いつ形に出来るか分かりませんが、そのためにもせっせと端材をストックしておかねばなりません。そんな事を妄想していると、つい顔がにやけてしまって気持ち悪いのですが、そういう発想も主体たる材があってこその話。割合こそ高くなっていくだろうと思いつつも、肩にズシリと食い込む長尺のハードメープルの重さこそが弊社の本道であり商売のネタ。そこのところをはき違えないようにと今日もまた木を担ぐのです。続く・・・ |
★今日のかけら・#188 【ハードメープル】 Hard maple カエデ科・広葉樹・北米産
| 本日はハードメープルの木取り。ブラック・ウォールナット、ブラック・チェリー、ホワイトオーク、ホワイトアッシュとなどと並んで弊社の有力な北米産広葉樹の主力商品で、今までに何度もこのブログでも登場してきたと思うのですが、気がつけば未だに『今日のかけら』には取り上げていませんでした。今更ながらですが、ここでハードメープルをご紹介。あまたある外材の中でも、名前だけならもっともポピュラーな木のひとつではないでしょうか。用材としてだけではなく、デザインや食材としても人気があります。 |
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カエデ科の木は、世界中(主に北半球の温帯)におよそ150種も分布していて、園芸品種まで加えると200種にも及ぶ多品種ですが、その中でも用材としてもっとも多く使われているのがこのハードメープルではないでしょうか。堅牢で衝撃性にも優れているのと触感が滑らかで表情も多彩なことから、住宅の床材(フローリング)としても人気がありますが、体育館やダンスホールの床やボーリング場のレーンなどにも使われているのは有名な話。野球のバットやドラムの胴などにも使われたりとその用途も広いです。 |
| むしろ一般の方がメープルと聞いて思い浮かべるのは床材ではなくこちらのメープルシロップの方かもしれません。樹液からはほのかに甘い香りのメープルシロップが採取できます。そのため『シュガーメープル』とも呼ばれます。日本語では『サトウカエデ』。日本の『イタヤカエデ』に比べるとハードメープルの方が白っぽい(淡いクリーム色?)です。データとしての気乾比重はどちらも同じくらいですが、弊社にあるイタヤカエデは耳が変形しているものが多く、持ちにくいこともあってイタヤカエデの方が重い印象。 |

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メープルシロップと同様に認知度が高いのがその葉のデザイン。もっともメジャーどころとしてはカナダ国旗ですが、その国旗を見るたびに、フローリングや造作材、テーブルなどの『材として売る』ことも重要ですが、『デザインとして売る、ストーリーとして売る』ことの大切さも考えさせられるのです。材木屋としては今まで目の前の『カタチあるモノ』をいかに加工するとか、いかに適材適所のタイミングで売るかということばかり考えてきましたが、『カタチなきモノ』を売れるかというのがこれからの命題。続く・・・ |