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【昨日のつづき】
今日は材としての胡桃の名前や特徴について。まず名前の由来ですが、諸説あります。その中で定説といわれているのが、「呉(くれ)の実」を語源とする説です。「呉」は朝鮮三国のひとつであった高句麗を意味し、その高句麗つまり朝鮮半島から伝わった果実を表した「呉の実」が転じてクルミになったというものです。他にも、胡桃の実がクルクル回るから「クルクル回る実」→「クル(クル回る)ミ」→「クルミ」説・・・個人的には面白いのですが、かなり苦しいような気が・・・。また、実が黒いことから「黒い実」→「クロミ」→「クルミ」説もあります。
胡桃の果実は食用になりますが、葉や油も役に立ちます。葉をつぶしたもので湿布すると、目の炎症、皮膚炎などにも効果があるそうです。タンニンを含んでいるため、葉や油はノミやハエ、ダニなどの虫除けにも効果があるようですが、材が虫に好かれるのとは対照的です!乾燥機で強制的に乾燥させるから含有成分も損なわれる(失われる)のでしょうか。古くは927年の『延喜式』という書物にも「胡桃油」の事が書かれてあるらしいので、かなり古来から胡桃油は使われていたようです。また冬でも凍らないため、寒い時期の屋外灯火としても重宝されたようです。実から葉まで、特質を活かして無駄なく利用していたものですね。先人の智恵は素晴らしいです、学ばねば学ばねば!最後に材としての胡桃です。
『円い森』の胡桃です。植物性油を塗っているのでしっとり濡れ色になっています。落ち着いたいい色ですね!ただし綺麗に削ってもオイルを塗ると多少毛羽立つので、仕上げ磨きをする必要があります。板目も柾目もどちらもいい表情が出ます。幅剥ぎ(はばはぎ・・・数枚の板を幅方向につなぐこと)にして板目と柾目が混ざっても、結構私は好きです。ただ白太はオイルで塗ると、赤身とのバランスが取りにくいのでなるべく赤身を使うようにしています。節は拳大の大きな物もありますが、取り入れてもそれなりに雰囲気あると思うのですが、まあこれは好き好きですね。
とはいえ、それほど幅の広い板がバンバン取れるわけではないので1枚板のテーブルなどはかなり貴重です。むしろ狭い板をつないで使えば手頃な値段で手に入るので幅剥ぎに使うことをお勧めします。今弊社にあるのは北海道産の45㎜の耳付板です(上の写真)。今回は事前に鬼皮を剥いであるので虫の穿孔跡が確認できます。目視するかぎり、虫の心配は少ないと思うのですが・・・まだ中にいるかも・・・いいんです、それも運命です・・・でもあんまり食べないでね!
これにて【鬼顔の胡桃】の項はお終いです!
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