森のかけら | 大五木材


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賢治公園林を読む

夕方散髪に行ってサッパリしてきました。数キロも離れている所にある散髪屋さんなのですが、大學の時、その店の前のマンションに住んでいたので、その時お世話になって以来20数年のお付き合いです。今日は、木と関係ないと思ったかもしれませんが、実はこれが廻り廻って木に関わってくるのです。

まほうの夏』という1冊の本です。都会の育ちの兄弟が、夏休みに田舎のおじさんの所で過ごすという内容の絵本です。心温まる良作です。何年か前に子供を連れて散髪に行ったとき、その絵本が待合に置いてあり、順番を待っている間に何気に子供に読んでやりました。その後で、その本に出てくる田舎のおじさんが、実は散髪屋のご主人で、兄弟が過ごす田舎の家がここだと教えられました。聞くと、作者の藤原一枝さんがご主人の縁戚にあたり、その話は実話だったそうです。まあ多少脚色はされているとは思いますが。

私自身も4兄弟でしたし、子供の頃逆の立場で都会の親戚が夏休みに遊びに来ていたりしたので、妙に親近感が持てました。微笑ましいストーリーもさることながら、ほのぼのした絵がとても気に入ってしまいました。絵を描かれたのははたこうしろうさんです。こどもの絵が、坊主にした息子ともよく似ていて、とても気にいりました。

その後、同じコンビの絵本『雪のかけりみち』があるのも知り、すぐに購入しました。またあの兄弟が主人公で、二人が小さな困難を乗り越えていきます。どちらかというと私はこちらの方がお気に入りです。男の兄弟がいる人は昔に同じような体験があるはずで、なんだか胸がジワッとくるものがあるはずです。この2冊はその後何度も何度も我が家のベッドに登場することとなります。子供からのリクエストも多いです。布団で眠りに付く前のひと時にちょうどいい長さです。

それから、本屋さんでも藤原一枝さんとはたこうしろうさんの作品には気をつけて見るようになりました。本を見るときは、職業柄ついつい木の描いてある本を探します。ある日、本屋さんで『絵・はたこうしろう』という字を見つけました。しかも表紙の木の絵が描いています。これは、と思って手に取ると「虔十公園林(けんじゅうこうえんりん)/ざしきぼっこのはなし」という2編が入った本です。作者は・・・なんと宮沢賢治先生でした!知りませんでした、でも買いました。

宮沢先生だけあって東北弁で書かれてあります。自分で黙読していた時はあまり気になりませんでしたが、子供に読み聞かせしようと読み始めたら・・・これが読みづらい!しかも昔の文体なので句読点は少なくてどこが切れ目か分からず、会話が多く、さらに昔の話を東北弁で書いてあるので、いちいち説明、翻訳しながらなので詰まりまくって意味がわかったかどうか・・・案の定、3人のうち2人撃沈しました。虔十というのは人の名前で、おとなしい虔十がを植え、その杉が立派に育ちやがて虔十の名前がついた公園が出来ます。話は宮沢先生らしくメリハリのある起承転結はありません。あまりの淡々とした描写での場面展開にさすがに子供も「えっ!」となったほどです。最近の絵本はドラマティックな物が多いので余計でしょう。小学校低学年には少し難し過ぎたかもしれません。しかし昔の本は含蓄があります、奥深くて重みと味があります。はたさんの絵がなければかなり悲しい話だったのではと思います。でも考える本でした。子供も子供なりに感じる物はあったみたいです。

虔十公園林という場所が実在するのかどうかは知らないのですが、宮沢賢治の作品には木や草など植物の描写が多いです。仕事で何度か岩手・盛岡にも行きましたが、町にはいろんな『賢治』が溢れていました。松山の『坊ちゃん』みたいなものなのでしょうか。やっぱり松山に来られた方も同じように思うのでしょうか?地元ではなかなかその魅力に気付きにくいものです。

 




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