森のかけら | 大五木材


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昨日の続きです。

スーパーマーケットで棚に並べられて販売されているような魚の切り身から大海で泳ぐ魚の姿や、厳しい荒波の中で漁に励む漁師の姿は想像しにくいでしょう。綺麗に切り揃えられラップを掛けられた商品から、切り落とされた魚の首や生臭い血の匂いは伝わらないでしょう。しかし誰かがその厳しい業を担っているはずです。同じように、製材されて綺麗に結束されビニールで巻かれた商品から、山に立っていた時の木の姿をイメージする人はほとんどいないのではないでしょうか。

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山で切り倒された時にはまだ枝も葉もついていました。厚い樹皮に守られ、風雪や鳥や虫たちと格闘した傷跡もまだ生々しかったことでしょう。長さを切り揃えられ、製材工場に運ばれた時にも、それはまだ『』と呼ばれるべき雰囲気を携え、土や泥の匂いがしていたはずです。それが製材され、商品となり製品市場や建築現場などに運ばれた時、それは『木材』と呼ばれるものになります。そこには、かつて『森の一部』として鳥や虫に棲家を提供した頃の面影はありません。木はその後の運命を知らず、山でもそうしてきたようにただ沈黙を守ります。

 

弊社には小割用の小さな帯鋸があるだけですが、それでも不器用で機械に弱い私としては、使うときには結構緊張を感じます。小さい帯鋸とはいえ、鋭い鋸刃が高速で回転しているので、一歩間違えば簡単に切断事故が起きてしまいます。【森のかけら】を作る時には、この帯鋸で荒割りするわけですが、『黒檀』や『月桂樹』、『イペ』や『ブビンガ』などの硬質な木を挽く時は、鋸刃が細いので刃が踊り、俗に『蛇が這う』状態になります。以前に加工中に右手の人差し指をわずかに怪我しただけなのですが、そのことが軽いトラウマになっていて、度胸の無い私は軽い恐怖を感じてしまいます!しかし製材所の帯鋸となると、こんなものの比ではありません。下手をすると命の危機さえあります。実際に事故も多く起こっています。大きな丸太を製材するという仕事は、日々怪我や騒音や油、鋸屑などとの格闘です。厳しく、危険で、キツイ、いわゆる3Kの仕事だと思います。それらの仕事に従事される方には、本当に尊敬の念を感じずにはいられません。

丸太を製材してもらうところがなければ、材を仕入れることも出来なくなります。勿論、製材は現場で鋸を廻すだけで動くわけではありませんが、額に汗を流す人がもっと正当に評価される社会になってほしいと思います。また、木材の商品の背景にあるものにももっと関心を持っていただきたいと思います。製材された端材がなければ、【森のかけら】も作られません。直接的には工場から出てくる端材ですが、山からここに来るまでには相当数の人の手を介在しています。建築や家具、クラフトなど用途は様々ですが、こう使って欲しいという誰かの思いがあって挽かれた材を、最後の最後の端材まで使いきる事こそが、材木屋としての私の使命だと思っています。

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最近、メディアに取り上げていただくことも多くなり、とてもありがたいのですが、【森のかけら】の背景にあるものにも関心を持っていただきたいと思います。『』や『』や『木の仕事』や『ものづくり』にも関心を持っていただきたいと思います。『木の仕事』は、単なる業態ではなく、住宅や家具、箸や桶や下駄、棚、まな板などなど多くの日常品を通じて我々の生活に広く深く浸透しています。『木の仕事』は、国土の多くを森が占める日本という国にとっても根幹を成す大切な仕事だと思います。次世代に引き継がなければならない重要な仕事のひとつです。

現在業界は著しく疲弊していますが、今日のような記事を通じて、まだまだ木材もやれるじゃないかと元気ややる気を取り戻していただければ嬉しいです。『木の仕事』は、男が一生をかけてやり通すのに値する立派な仕事です!私は材木屋という自分の仕事にやりがいと誇りを持っています!




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