森のかけら | 大五木材


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昨日の続きです。

魚梁瀬杉】というのは、主に高知県の東部、魚梁瀬地域一帯に生育する杉の中で、樹脂分をたっぷり含み鮮やかな赤から漆黒に近い黒まで多彩な色合いを含んだ良質な天然杉の総称です。その地域一帯の物を【魚梁瀬杉】と呼ぶ人もいますが、私としては四国を代表するひとつのブランドだと思っていますので、どの気にでも軽々しくは使っていただきたくないと思っています。特に緻密な笹杢は野趣に溢れ、高知のいごっそうを思わせる趣があります。ちなみに、高知県の県木でもあります。

20090529e38080e9ad9ae6a281e780ace69d89efbc92昨日アップした大きな板のような物だと、【魚梁瀬杉】の特徴も分かりやすいのですが、【森のかけら】サイズになると正直特徴は見えてきにくいです。しかし、それでもあえて240種の中に加えたのは、私なりの私情があったからです。大五木材に入社した当時、今まで会社を支えてくれた専務が退社したこともあり、当時の社長(つまり私の父親)は、地域の材木店と差別化を図る意味でも、直接高知の市場に仕入れに行くようになりました。若かった私にいろいろ情報や知識を与える意味もあったと思います。

今から20年以上前のことですが、当時の高知県の木材市場は隆盛を極め、西日本一帯、大阪や名古屋などからも有名な材木屋が来て、先を競うように材を競り落としていました。テレビで見るような、手札の競りが行われていて、素人の私の入る隙など微塵もありません。高下駄を履いた競り子が、大きな鐘をならし移動していき、ベテランの材木屋の社長連中が豪快な仕入を繰り広げていました。「自分もいつかはあんな風になれるのだろうか・・・」羨望の眼差しで、「男の死仕事」を眺めていました。

そこでの「競りの主役」は、【魚梁瀬杉】でした。まだ住宅業界は旺盛で、高級材もガンガン売れていました。まだ市場に『格』があり、高値さえつければ誰でも仕入れが出来る訳ではありませんでした。ベテラン親父達の『顔』が市場を支配していました。『顔』がなければ買えない時代で、ものひとつ買うにも毅然としたルールがありました。●●さんが手を挙げたら手を引くとか、決してこれ以上の値段で競り合わないとか暗黙の掟を守ることが、市場で物を買う人間の『資格』でした。決して嫌な時代だったとは思いません。そういう掟や煙草に煙る独特の『大人の雰囲気』が、大学を出たばかりの私にはとても眩しく映ったものです。

販売能力もなっかた当時、【魚梁瀬杉】は手の出ない商品でした。よく目が詰まっていて、高知の『鰹』のようにしっかり脂の乗った【魚梁瀬杉】は、憧れも対象でした。その後、【魚梁瀬杉】も仕入れるようになりましたが、経済が疲弊していく中、高価な材は徐々から脚離れが起きるようになりました。かつての主役も、「高い」という理由で敬遠されがちですが、決して【魚梁瀬杉】が高価な訳ではなく、相対的な価値として居所が高くなってしまったというだけです。本来の価値が正当に評価されにくくなってしまいました。

ただ時代が変わったなどと責任転嫁する気はありません。しかし、【魚梁瀬杉】が受け入れにくくなったのは確かです。こういう目込みの大きな1枚板は、それなりに大きく使わなければなりません。この板を小さく刻んで使うなどというのは、まさしく愚の骨頂です!やはり座卓とかテーブル、カウンターなどに豪快に使っていただいてこその【魚梁瀬杉】です。そういう現場がなければ、本来の輝きを放つことも出来ません。かつては手も出なかった木が、持て余されるようになってしまうのは悲しいことです。【魚梁瀬杉】の奔放な魅力を再認識してもらう気持ちも込めて、【森のかけら】に加えさせていただきました。

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今弊社に在庫としてあるのは、画像の4200x1050x60㎜サイズなど7,8枚ほどです。ちなみに値段は¥450,000~/枚。多少テーパーですが結構な大きさです。お行儀悪く天板の上に座っているのがうちの子供ですが、かなり前の写真です。今や彼らも小学2年生ですから、この【魚梁瀬杉】がいかに長く倉庫番をしているかが分かっていただけると思います。乾燥し過ぎです。前置きばかりが長くなり、材そのものの特長にまで辿り付けませんでしたので、それはまたいずれ改めて・・・




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