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人の暮らしに欠かせない『住』に関わる産業として大昔から存在する伝統からくる焦燥感からなのか、今している仕事を既存の職種に明確に分類しないと気が済まない人が多いようで、同業者からはたびたび、「ところで大五木材さんって何屋さん何ですか?」と訊かれます。もうその質問には辟易しているところなのですが、自分の会社が木材小売業なのか卸売りなのか、家具製造業なのか木工クラフト業なのかそんな既存の職種分類にあてはめる事にどれだけの意味があるというのでしょうか。
いちいち説明が面倒なので、『木のモノ屋』ですと言うようにしていますが、同じく既存の職業分類に決別したのが盟友・井部健太郎君。愛媛県を代表する久万高原林業の基礎を築いた井部栄範氏の直系の子孫で大林業家でもありますが、数年前に製材機械を撤去し製材業からは撤退。スパンの長い林業経営の一方で、現在では製材所跡に地域コミニュケーションの場としてのカフェを設置し、木材を使った建築用材以外の新たな出口を模索中。同じ方向に進む友が近くにいる事がどれ程心強いことか。
以前に井部君が作った久万のスギを使った『杉結箸(すぎゆいばし)』は、四国中央市の水引とコラボし、地元信用金庫のノベルティグッズに採択され多くの県内の人の手にスギのぬくもりが届けられました(右上1枚目写真)。その後、弊社の商品開発にもいろいろと関わっていただき、今では互いの商品開発に欠かせぬ存在。その井部君が作ったのが、経年で古材の風合いを帯びたエイジング材をフレームに使った『CHALK BOX(チョーク木箱)』と『CHALK BOARD(黒板)㊨』。
その2つの商品を製作体験する イベントが久万造林さんで6月28日(日)に開催されます。場所は上述のカフェ。時間は10:00〜14:00(受け付けは9:30~)、参加費は1人¥3000(ランチ付き)、定員30名要予約という事ですので、ご興味のある方はお早めに申し込まれた方がいいと思います。なお当日は、町内で別のイベントが交通規制があるため会場へ行く道が通常と違いますのでご注意ください。今後も木の新しい出口商品への摸索は続いていきます。
| この雨ですっかり落ちてしまいましたが、少し前まで倉庫の裏で強烈な異臭を放っていたクリの樹。白くて大きなトゲトゲの毛虫のように、長く垂れ下がったクリの尾花が満開に咲いて、傍まで行かずとも事務所の中にすらその匂いを届かせていました。この季節の風物詩的な光景とすらなってきましたが、この匂いばかりはどうにも馴染めません・・・。近づいてよく見れば、その匂いに魅かれたのかいろいろな虫がクリの樹に集まっていましたが、虫たちには好まれる匂いのようです。 | ![]() |
昨日はモンキーポッドの芯材と辺材の茶~黒と白のコントラストについての話でしたが、当然ながらその対比にはいろいろなタイプがあります。その中で辺材が黄色い木の代表的なものといえば、『キハダ(黄蘗)』があります。その名前通り、木肌が黄色い事が名前の由来ですが、辺材部分は淡い黄色です。右の写真は加工した直後のもので塗装していませんが、ここにオイルを塗ればもっと艶っぽい濡れ色の黄緑色が現われてきます。この黄蘗の割れのある部分をモザイクボードに一部拝借。
当然ながらその削り屑も黄色いわけで、足元に少し映っていますが、色のはっきりした削り屑ってそれだけで燃やしてしまうのはためらわれるのです。でも結局その中途半端なためらいは以前から何度も何度も繰り返された愚行で、そんな気持ちで集められたさまざまな色の大鋸屑、削り屑が山のように積み上げられるのです。自分でもなぜそんなにさまざまな色のあるモノに惹かれてしまうのか分からないのですが。今惹かれる色で体調が分かるとかいいますが、私の場合は色の種類に惹かれます。
例えば何か1つの商品が完成したとします。そうしたらもう色違いのモノを作りたくなっていてもたってもいられなくなります。それがまた身近に多様な色合いの木という素材があったりして、加工してくれる仲間がいたりするものだから、妄想で終わらずに実際に作ってしまうんです。それが【森のかけら】であり『森のたまご』、『森のりんご』、『モザイクボード』だったりするわけです。妄想するだけならまだしも、実際にお金をかけて作ってしまうところが恐ろしいところ!
もしかしてきちんと調べてもらったら「色彩的偏執症候群」のような(勝手に作りましたが)病的なものなのかもしれません。昔はそんな自覚症状もありませんでしたが、木の仕事をするようになって、倉庫の中で溜まってしまったいろいろな種類の木を見た時に、眠っていた先天性の色彩偏執症候群が目覚めたのです!長い間押さえつけられていた野獣は暴走を始め、カラフルな色の木を追い求めるようになった。いくら手に入れても満たされず、遂には100種、200種と・・・
自己分析しますと、という事のようなのでこの症候群によって巻き込まれ振り回されたり周辺の皆さんは、どうか温かい目で見守って下さい。また似たような症状のある方は、ご自分の中の眠れる魔王がいつ目覚めるやもしれませんので充分にご注意ください。最近またも発熱して作り出しているのが、『日本百樹札(にほんひゃっきふだ)』。以前『WOODEN TAG』のご紹介をしましたが、その日本版。『誕生木ストラップ』よりも小さなサイズの木札です。¥200/枚(税別)です。現在最終の工程に入っておりますので、詳細につきましては後日改めてアップさせていただきます。種類を増やさねば熱が下がらない!という事であっという間に種類が10、20と・・・誰かよく効く薬をお持ちの方。あ、そういえば黄蘗って万病の薬としても知られているんでした。毒をもって毒を制してみるか・・・。
弊社においては、耳付きの1枚板としてはもっとも人気のある木の1つとして、世代や性別を越えて安定した支持を受けるのが『モンキーポッド』。過去にもこの木については『今日のかけら』などでも触れてきましたので、そのユニークな名前の由来や特徴についてはそちらをご覧いただければと思います。この木の最大の特徴は、なんといっても故意に着色でもしたのではなかろうかと思われるほどにクッキリした心材(濃茶~黒縞)と辺材(黄白色)の鮮やかなコントラスト!
モンキーポッドの他にもアパとかイロコ、パドックなど新材と辺材のコントラストが際立つ木はあるものの、濃淡の境界がとぼけていたり、芯材の色合いにパンチがなかったりと、ここまで気持ちがいいぐらいに明快なものはやはり希少でしょう。ダイナミックで雅趣溢れる木目も説明不要でストレートに木の醍醐味が伝わってきます。考えてみればモンキーポッドの魅力ってこの「分かりやすさ」ではないかと思います。その魅力を言葉で語らずとも見てさえもらえれば納得、理解できる木。
今回オフィステーブルとして選んでいただいたのは、濃いチョコレート色の生地の中に黒い縞柄が連続する瘤のように現れたモンキーポッド。長さ2400×幅900〜 ×厚み mmの大物ですが、弊社倉庫でお眠りになられていた期間も半端でなく長いので、そのサイズと見た目ほどには重たくありません。若い間は成長が早く、成長するとそのスピードは緩慢になります。そのため大きさの割には比較的乾燥も速く、先に挙げたアパやイロコなどに比べても扱いやすい木と言えます。
気乾比重は平均して0.56程度。そんな強い個性の塊・モンキーポッドにどういう脚を合わせるかが今回の鍵でしたが、いろいろ悩んで選んだのが「アフリカン・ウォールナット」の異名を持つ『ラボア』。乾燥が甘い間は、その強烈な獣臭に苦しめられましたが、しっかり乾いてしまえばその匂いもかなり薄れました。匂いさえ解消できれば、濃い茶褐色で癖も少なく扱いやすい木です。写真はテーブルを裏側から写したものですが、植物性オイルを塗れば天板ともいい感じに馴染みます。
もともとの板が大きかったので、テーブルを木取りした残りで耳付きのダイナミックな電話台を作らせていただきました。こちらも脚材はラボア。ラボアを仕入れた時に、どういう場面で使えばいいのか悩んでいましたが、思いがけずモンキーポッドとの相性の良さに光明が見えました!ただ問題は、そういうチャンスに反してモンキーポッドの在庫が少なくなってきている事。どの木にいつスイッチが入るのか分からないので、いろいろな木持っておくしかない・・・在庫減らず!
これが何の木なのか?それを葉っぱ1枚で見分けられたらさぞ楽しいだろうとは思うものの、私の場合そこまで葉っぱフェチではないので、願わくば葉よりも材で見分ける能力を身に付けたいところすが、こればかりは日々の鍛練で培っていくしか道はなく、その道遥かなり・・・。ところで数あるカエデ一族ですが、その中で葉っぱよりも樹皮で見分けやすいカエデが、この『ウリハダカエデ』です。四国では標高500〜1200mで見かけられるとありますが、もっと低地でも出会えることがあります。
ウリハダカエデという名前で木材市場などにその材が出て来ることはまずありえないと思いますが、山に入ると結構大きな樹を見る事もあるので、もしかしたら今までカエデとして購入していた材の中に混じったいたのかも・・・。【森のかけら】を作り始めた頃は、それほど身近にあると思ってもいなかったので、東北の宮城県から分けていただきました。当時は、よくウリハダカエデなんて断定できるなあなんて感心していましたが、樹皮の特徴さえ知っていれば簡単に見分けられる樹だったのです。
その大きな特徴は、成長して幹が大きくなると濃緑色の樹皮に縦に浅い裂け目が入ってきて、その見た目や色合い縞柄などがマクワウリ(真桑瓜)の果皮のように見えます。それがこのウリハダカエデの名前の由来となっています。特徴の似た木に特徴もよく似た『ウリカエデ』という木もあってややこしいのですが、こちらは落葉中木で大きくなってもせいぜい8m前後。一方ウリハダカエデは大きいものになると20mにも成長するとか。葉は3〜5裂に分かれておとなの掌サイズ。
森の中で緑色の樹肌の木は少ないので、比較的見つけやすい木です。石鎚山に登った時にも標高が上るたびに次々と現われてきて、さぞ鮮やかであろう秋の紅葉の光景が脳裏に浮かびました。さて材としてのウリハダカエデですが、【森のかけら】に使うほどの材しか扱ったことがないため、判断できる材料が少な過ぎて実態がよく分かりませんが、かけらで見る限りは美白で目粗。愛媛県では、色合いが白くて軟質で弾力性があることから、昔この木で白箸を作ったこともあるそうです。
そのため、一部の地域では『シラハシ』とも呼ばれます。全国的にも箸やこけし細工などに利用される事が多いようです。他には、薄く削って経木(きょうぎ)にして笠や篭(かご)などをたり、天秤棒などが知られています。樹皮繊維も強靭で、縄や蓑を編むのにも使われたりします。実は身近に沢山存在する事が分かったウリハダカエデですが、次はどうやってその木を手に入れられるか。いくら山に沢山木があっても、伐る人、運ぶ人、製材する人など人の繋がりが機能しなければ「材」までたどり着きません。
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