森のかけら | 大五木材


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道後のホテルで行われた『おとなの部活動/えひめのあるくらしの卒業式』の際に、思わぬ邂逅がありました。食事をしたフロアにはテラスに出られるようになっていて、いい気分に酔ったおとなたちは照明に照らされていたいい雰囲気のテラスで記念写真を撮ろうということになったのはごく自然の流れ。それでテラスに出ると、なんとそこには今までに見たこともないサイズの1本の『オリーブの古木』が鎮座ましましていらっしゃるではないですか!辺りが暗かったので、はっきりは分かりませんでしたが身の丈は枝先まで含めると3m程度?

傍らの看板には、「スペインから来た樹齢約250年のオリーブの古木」と記されてありました。後から調べてみると、1760年頃にスペインで芽吹き、2014年に船で運ばれてきてこの地に根づいたものだそうです。スペインではオリーブの木は太陽の樹と呼ばれ、古代より人々の生活に密接にかかわってきました。イタリア料理店などではオリーブで作られたプレートやサラダボウルなどの食器がよく使われていますが、最近はアフリカのチュニジア産の比較的安価なオリーブがよく使われています。癖のある濃淡の縞柄は国を問わず魅力的!

オリーブの木については、以前に香川県小豆島のオリーブ絡みで触れていますのでこちらをご覧下さい『今日のかけら/オリーブ』。当日は夜でお酒も入っていたこともあって250年生のオリーブの古木の樹勢までよく分かりませんでしたが、そもそもオリーブの木そのものが長寿で、200年、300年なんてまだまだ若造の部類。本場のギリシャには2000年もののオリーブもあると聞きますが、あくまでも推定年齢なのでどれほど高齢なのかは怪しいところ。まあそれほどまでにギリシャでは古代からオリーブとの結びつきが深いという事なのでしょう。

ちなみに日本のオリーブの聖地・小豆島にもスペインから海を渡ってやってきた1000年のオリーブの木がありますし、大阪の枚方にある樹木葬専門の霊園には500年と1000年のオリーブがあります。ぜひ一度お会いしたものです。古代ギリシャではオリーブは聖なるものとされていて、オリーブに傷をつけたり破壊するのはご法度とされていました。そのためこのような高齢のオリーブが残ってきたのでしょう。高齢木が残るには木そのものの性質以上にその木を取り巻く環境と理解が大切だなあとつくづく感じた次第。




3月に四国中央市のまなべ商店さんで開催したイベントでファイナルを迎えた『おとなの部活動/えひめのあるうれしい日』ですが、本日はその打ち上げ。どちらが目的かすらも分からないほどに、会場をどこでするかということだけで大いに盛り上がり、あちこち候補地が上がったものの最終的に松山市内のホテルに決定。3月で5年間続いたこの活動にもひと区切りがつきました。なのであくまでもお題目としては『おとなの卒業式』。こういう際には誰一人欠けることなく必ず全員が揃うというのがおとなのおとなたる所以。

普段の打ち上げでは途中で帰るメンバーも、腹をくくって飲めるようにそのままホテルに宿を取るなど準備も万端。さあ飲むぞと勢い勇んで会場に赴くと、驚きのオープンスペースのホール。ただでさえ、地声が大きく、我れが我れがと他人の話にかぶせていくことが持ち味のわれらおとなメンバーにとってこのオープンスペースはかなり忍耐を強いられることになるのでは!いやいや我々も良識のあるおとなとして最後ぐらいはシックに料理を楽しみながら、静かに思い出を振り返りましょう・・・化けの皮が剥がれるのにそう時間は必要なかった!

他のお客さんが引き上げるのに呼応するかのように徐々にわれわれのボルテージもあがり、いつもの豪快な笑い声に包まれました。おとなの部活動、こうでなくっちゃ!当然そこだけでは飲み足らず、その後はみんなで道後の町に繰り出すことに。4月の平日の夜という事もあって、道後の夜はひと気もまばら。観光にやって来た一団という体で、地元とおぼしき方に撮影を依頼し、閉店前の道後伊織店にも乗り込み店頭で大騒ぎ。さあ夜の道後で飲みなおそうぜと酔った一団が町を徘徊。周囲からはさぞ異様な集団に見えたことでしょう。

三澤厚彦さんの巨大なクマの前でこれが木彫りで無いのだこうだとグダグダ、昨年夏にオープンした道後温泉別館 飛鳥乃湯泉の前でふろに入るわけでもないのに料金がどうだのお湯の質はどうだのグダグダ、初めて愛媛にやって来た観光客という設定のコントが長引きすぎて、辿り着いた頃には目的の店は閉まっておりました。それでは泊まっているホテルの一室に持ち込もうということになってコンビニで飲み物、食べ物を文字通りのおとな買い。破れんばかりにパンパンに詰め込んだビニール袋を持って部屋に。

するとその部屋の鍵が見当たらないというお約束のコントをひと通りやり終わってようやく2次会が開催。宿泊者は浴衣に着替えていて、気分はおとなの修学旅行。もうすぐ枕投げでも始まらんばかりのノリで、ほとんど過去の思い出を振り返ることもなく、話題が次から次へと移ってあっという間に1時間、2時間・・・。そもそもは、ものづくり中小企業者の団体が、中長期的な戦略を描き、異分野の業界と連携し新たな需要開拓に取り組む事業というファンドでしたが、このチームワークは恐らく今後末永く語り継がれていくであろう、阿吽の呼吸で結び付いた奇跡の連携!卒業後もすぐに再会(再開)しそうで怖いほど!楽しすぎるご縁と素晴らしき仲間に感謝。




森のかけら】は、樹種名および産地を明記したシールを貼りつけていますが、それについては賛否両論あります。そもそも地域によって呼び名が異なったり、別の木を指し示すこともある商業名ではなく学名をつけてほしいという要望もありますが、材木屋としての立ち位置からすればやはり日頃から使い親しんでいる商業名で通したいし、学名を限定できるほど出自が明快ではないという事情もあります。私にてとっては学問として木を扱っているわけではなく、生きる糧としての木材であります。

その中で自分なりに木の見識を深めていきたいという気持ちはあるものの、それは学術的な分野というよりも民間伝承や逸話といった、いわゆる『民俗学的な木材』という分野。ひとが暮らしの中でどういう形で木と付き合ってきたかとか、どういうモノに加工されて利用されてきたか、その地域ではどういう名前で呼ばれてきたかといった事の方がとっても気になるのです。なのであえて商業名で通していますし、それを貫くことが自分の立ち位置を明確にすることだとも考えています

ただ今後は外国の方や教育関係者の方向けに、出来る範囲で情報として分かりうる学名なども付記していきたいと考えているところです。以前の紙媒体であれば、過去のものについて修正が出来なかったのですが、そこが上書きの出来るネットの利点。過去に遡りながら『今日のかけら』の中で情報を追加していきたいと思っています。さて、シールの事に話を戻しますと、シールではなくレーザーで名前を彫ってほしいとか、通し番号にしてほしい、無塗装にしてほしい等の要望も沢山いただいております。

木の標本として、室内のインテリアとして、あるいはプレゼントや高級な知育玩具として、【森のかけら】を購入してくださる方の目的はさまざまで、それに合わせてこうあればいいという要望もあるのは理解できますし、ありがたい事だと感謝しています。ただし【森のかけら】の最大のファンである私にとっては今の形がベストだと思っていますので、今のところはこの仕様でお付き合いいただくしかございません。オリジナルで作っていただいたこのフォントも大好きで、眺めているだけでワクワクするのです。

そんな名前シールも数樹種が欠品してしまし、先日頼んでおいたシールがようやく手元に届きました。人気のある樹種はもう何度も何度もネームシールが増刷されていますが、マニアックな樹種についてはなかなか数が減りません。圧倒的に日本の木の方が売れるので、日本の木のネームシールの方が無くなりやすいのですが、今回は外国のマニアックな木もそこそこ減っていたようで、「おお~、お前もようやく増刷してもらったか」とシールを見ながらひとり感慨に浸っているのです。




ところで話をオウシュウアカマツに戻します。先日も弊社にオウシュウアカマツの野縁が入ってきました。まあ、これも厳密に表わすなら、「ロシア産のオウシュウアカマツの野縁が入ってきました」という事になるのですが・・・。そんなにオウシュウアカマツにこだわらず、ロシアアカマツ、あるいはオウシュウアカマツと同類のロシアアカマツと言えばいいのでしょうが、弊社の場合【森のかけら】で樹種の名前をリスト化しているため、「いついつのブログに書いてあったOOの木はリストのどれなのか?」と質問されることもあるのです。

なので、なるべくリストに表わした名前でブログとかに書いた方がいいと考えているのですが、それがむしろ話をややこしくしてしまっているかもしれません。まあそれはともかくうちにやって来たロシア産のアカマツ、入ってきてまず最初にやるべきことは何かというと、小口に深く打ち込まれたガンタッカーのステープルを抜き取ること。これも言い方が分かりにくいかもしれませんが、業務用の強力ホッチキスで打った「コ」の字形の針を抜き取ること。木材が濡れないよう被せられたビニールシートの上から豪快にタッカーで打ち留められています。

実態は知りませんが、シュワルツェネッガーのような、いやロシアだから『ロシアの白熊』ことニコリ・ボルコフや『霊長類最強の男』と呼ばれたエメリヤーエンコ・ヒョードルみたいな大男たちが、針も折れよとばかりに鬼神の表情でガシガシに打ち込んだに違いない、と想像に手を震わせながらその針を1本1本引き抜いていくのです。私の脳内ではヒョードルが大雪の中で上半身裸になって、タッカーも使わずに掌でステープルを木に打ち込んでトレーニングをしている姿が浮かんでいるのです。それで針もこんなに曲がっているのか・・・

どうしてここまで深く打ち込む必要があるのかと思うような針もあって、ほじくり出して撤去。このままにしておくと運んだり施工するときするときにケガの原因にもなるし、なにより加工するときに加工機の刃を傷めてしまいます。弊社では建築用の野縁としてだけでなく、看板材などに自社でこれを削ることも多いです。抜き残した針で手をケガしたことがあったので念入りに針抜き。きっとヒョードルにもプーチンから強く打ち込んでトレーニングに励めとの鬼指令も出ているはずだから手も抜けないんだろうと、深く刺さった針にも妄想広がる。




ロシアアカマツ、スコッチパイン、オウシュウアカマツ、ポーランドパイン、レッドウッドなどさまざまな名前があるものの、弊社ではヨーロッパからフローリングやパネリング材として入荷して取り扱いを始めたのが最初のきっかけだったので、『オウシュウアカマツ』の名前で呼んできました。レッドウッドを使わなかったのは、公共物件等で『セコイア』の指定などもあったため混乱を避けるためでしたが、今でも時々設計図面上でレッドウッドの表示がある際には樹種の混乱があって、設計士さんに意図を確認することになります。

その多くがロシアアカマツあるいはオウシュウアカマツのいわゆる『パイン』を意図したケースですが、ときに外部のベンチやデッキなどにレッドウッドと書き込まれていることがあって、そういう場合はセコイアを意図しているのだと思われます。ただしこの辺りではレッドウッドというといわゆるパインの認識なので、工務店さんが勘違いされるケースがあります。そもそもセコイアそのものがほとんど流通していないので、その名前はおろか存在すら知らない人の方が多いため、説明しても「何、それ?」となることもしばしば。

設計士さんもよく理解されてなくて、レッドウッド(セコイア)が雨に強いとか耐朽性が高いと書いてあったから図面に落としてみたというケースもあったりします。商品流通そのものよりも情報の方が圧倒的に過剰なため、そういう木も普通に入ると思われている、あるいはよく耳にするレッドウッド(ロシアアカマツ)が外部にも使える木なんだったら使ってみよう、という誤解に拠るところが大きいと思われます。そういう誤解を避けるために最近では、セコイアを『カルフォルニア・レッドウッド』と原産地の名前を冠して呼ぶこともあります。

木の名前にまつわるトラブルは尽きることがありませんが、個人的にはなぜそう呼ばれるのか誤解の元を探る謎解きのような推理は好きなのと、そういう時こそルーツに精通している(精通しようとしている)材木屋の出番だと思っていたりもします。ローカルネームが多いというのは、それだけ木材が地域の文化や風俗、暮らしに深く関わりあっているということの証明でもあります。売らんかな的な商業名が氾濫するのは困りものではあるものの、色や性質をどのビッグネームに重ねようかという戦略を探ってみるもの一興であったりします。明日に続く・・・




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