森のかけら | 大五木材


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今月の端材コーナーの特集である『ホルトノキ』について、200歳の老木の履歴やその名前の由来などについてはご紹介してきましたが、なにせ今回のホルトノキが200歳を越える特殊なケースという事で、材質についていえば、街路樹などとして植栽されている一般的なホルトノキとは一線を画しています。ネットで『ホルトノキ』と検索すれば沢山の画像が集まりますが、そのほとんどは街路樹や公園木、庭木など『樹木』としての姿で、ホルトノキの『材』としての画像はほとんど見当たりません。つまりそれぐらい、材としてホルトノキが利用されていないかという事の証明でもあります。

私もこの200歳のホルトノキに出会うまでは、ホルトノキがどういう材質をしているのかは、辞典の解説文でしか知りませんでした。『えひめの木の名の由来』(財団法人愛媛の森林基金発行)によれば、「辺・心材の境が不明瞭で、また城辺町(現愛南町)や九州でシラキと呼ばれるように材質が黄白色であることから、杓子を作るのに適するからであろう」と書かれているように、本来のホルトノキは清潔性を求められる杓子に使われるほど白っぽい木なはずです。少し前にホルトノキの若木を割ったら年輪は不明瞭ですがミズキのように白っぽかったので、杓子に使おうと思うのも納得。

本来のホルトの色合いと、すっかり変質して別モノになった200歳の老木を並べた写真を撮ってその比較を説明したかったのですが、なかなか比較できるぐらいの適サイズの健康的なホルトに巡り合えなかったのでそれが出来ていませんでした。それが今回特集として取り上げたことで、整理していたら200歳の老木の一部に、あまり菌に侵されてなくそこそこの幅の板が出てきました。部分的に『加齢の洗礼』は受けているものの、これぐらいの面積があれが本来の質感がイメージできるのではないでしょうか。この写真だけを見てこれがホルトだと断定できる人が果たして世の中にどれだけいるか?!

それが何の木なのか、材を見て分かるにこしたことはありませんが、材木屋の仕事は何も材の識別だけが仕事ではなくて、それをどう生かすか(または生かせる人につなげるか)という事だと思っているので、あまり「この木はなんだ?」的なクイズに興味はありません。ただ、それがどういう木でどういう特徴をしていて、経年変化でこういう風に変質するなどという事は知識として得たいと思っています。そういう基本的な事を若い頃からしっかり学んでおけばよかったと後悔ばかりですが、自分が材木屋としての現役を終えるまでの少しでも多くの木に出会い記録として残していきたいと思っています。

 




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