森のかけら | 大五木材


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弊社ではハクスバーナーのチェンソーを使っていますが、製材業をしているわけではありませんので、丸太から【森のかけら】を作るような場合のみの出動となります。私自身物凄いメカ音痴なので、機械関係はとても弱く、使い時に使いたいだけ使って、壊れたら友人・知人直してもらうという身勝手な事をしていつも迷惑をかけています(早く改めるつもりです・・・)。チェンソーも久々の登場だったので使っているうちに、パーツが破損!してしまいメンテンスとなりました。こういう時頼りになるのは、プロの仕事師です。

愛媛では有名な、薪ストーブのプロ、『サンシン暖炉・三新機械㈱』の大成(おおなる)郁生くんです。まだ若いですが物凄く頼りになります!お互い愛媛木材青年協議会のメンバーで、気心も酒心も知れています。彼は九州の大學に進み、将来は石油掘削で石油王になろうとした野心のある男です。おそらく博多の中洲あたりで鍛えたのでしょう、まあ酒も飲みます!〆は必ずラーメンを食べますが、そろそろ私はついていけなくなりました。大成くんはタフで、よく飲むし、よく働きます。仕事はキッチリ、バッチリします、まあ任せて間違いないです!メカに弱い私にとってはなくてはならない懐刀です。

 

直してもらっています。真剣です!話しかけると怒られそうなくらい、酒の席では見ることのない真剣モードです。「成す時の閻魔顔」という言葉がありますが、ここ一番はプロの顔つきになります、さすがです!

ところ狭しとメンテのチェンソーが置いてあります。機械に弱い私としては、こういうのを簡単に直せる人を尊敬します。大成くんの所は林業機械の専門店でもありますが、林業や製材の機械と言うのは頑丈そうに見えていても、毎日何トンという木の塊を相手にしているので痛みも早いそうです。弊社の数少ない機械もしょっちゅうメンテを受けていますが、それは根本的に使い方が悪いから?多分そうだと思います・・・反省。

昨日、立派に直していただいてハクス君が生還しました。これからは注意して使います。大成くん、ありがとうございました!このハクス君が活躍するためには、【森のかけら】用の丸太がなければなりません。今ある桃やユリノキ、モミジバフウなどは近々割るのですが、それ以外に下記のような木の丸太(不要な物)あれば分けていただけませんでしょうか。ある程度の大きさは欲しいのですが、小さくても小さい物はそれなりに使います。【森のかけら】も220種を越えこれからは、レアな樹種に入っていきます。もしこういう木の丸太お持ちの方いらっしゃたらどうかご連絡下さい。【森のかけら】として第二の木生が待っています。

・街路樹(プラタナス、ハリエンジュ、ホルトノキなど) ・品種改良などで伐ってしまう果樹関係の樹(リンゴ、ブドウ、ビワ、ウメなど)




【森のかけら】は端材を利用して作っていますが、実はそうではない場合もあります。例えば、諸事情で伐採しなければならなくなった庭木や校内木、また道路整備で伐採される街路樹などを利用する場合です。弊社で伐採作業は出来ませんので、業者が伐採した丸太の中から、大きめの丸太を分けてもらいます。

手前が桃(モモ)の木で、奥の横向きなのが百合(ユリ)の木です。これでも直径は400㎜ぐらいはあります。本当は伐採直後に4つ割でもしておくべきなのですが、忙しさにかまけてほっておいたので少し悪くなっています・・・これからチェーンソーで芯を中心に大割します。それから帯鋸で厚み45㎜に小割りしていきます。さらに45X45㎜の角材に挽きます。そうして45㎜角の棒状になったものを天然乾燥させます。

桃と桜が混じっています。板と板の隙間に差し込んで風通しを良くしてこのまま2~3ヶ月放置しておきます。この段階で気をつけなければならないのは、樹種が混ざってしまうことです。桃と梅はよく似ているので、小口に印をつけています。しかし注意はしていても混ざってしまうこともあります。削れば分かりやすいのですが、多少日焼けして汚れもあり、「?」という事もあります。そういう時は加工仕上がり後に判断するしかありません。なるべく似たような木は同時期に加工しないようにはしているのですが、なかなか思うようにはなりません。

 乾かせる板の隙間がなくなったら井桁に組んで乾かせます。一番上のは桜のカッコよく言えばスポルテッドです。スポルテッドとは、雨やカビや細菌などが木に染み込み、それが芸術的な独特の模様を作り出している木材のことです。栃などの白太部分に出来ることが多く、その柄を好む愛好家もいます。そう考えれば面白い価値観ですね。木を見る角度はさまざま。木を愛する心もさまざま。

2、3ヶ月してカラカラに乾いた頃を見計らって、加工していきます。板の端材から作る場合は、材も乾いているので40X40㎜ぐらいのサイズに挽いてすぐにでも加工できるのですが、丸太から作る場合は『乾き代(しろ)』を10㎜ぐらいはみておかないと、縮んでしまいます。ウィスキーを作る時の『天使の取り分』みたいなものです。この場合は天然乾燥なので、『太陽の取り分』といったところでしょうか。時にはこうして、端材からではなく丸太そのものから【森のかけら】を作る訳ですが、いずれの場合もコンセプトは、もったいないので余すところなく使うという心掛けです。




今日も続々と「森のかけら」が仕上がっていきます。この状態で既に植物性油まで塗装済みです。後は一個一個検品して、夜な夜なシールを貼って出来上がりです。

右上から時計回りに、山桑メンピサンNEW)、神代欅スリアンNEW)、ラオス松アルダーNEW)、水木アパです。今回は新顔がいくつかあります。新しい仲間が増えるのは嬉しいですね。新顔が完成するとついついニヤニヤしてしまいます。写真では分かりにくいかもしれませんが、これでもかなりの数があります。一度に多品種を少量ずつ加工すれば効率がいいのでしょうが、管理が相当大変になるのでついつい1樹種をまとめて作ってしまいます。そして・・・作りすぎてしまうのです・・・でも、この段階からも検品で数%の『落ち』が出てしまいます。それも捨てたりはしません、何かに活かします!

これらの新顔ですが、商品は出来てますが新規のシール印刷出来てからの出荷になるので、実際に【森のかけら100】として名を連ねるのは2月末頃でしょうか。また、解説書も120種時点で印刷したので、現品の200数種とはかなりの乖離があり、早めの全解説書の発行をしたいのですが、なかなか原稿が仕上がらなくて・・・スミマセン・・・なるべく急いで作ります。もう少々お待ち下さい、待つべし待つべし。

同じ木でも極端に仕上がりに差ができる物もあります。自然のものですからご理解下さい。また、木取りによっても極端な差ができる事もあります。例えば上の画像のうち、上のカゴがサザンイエローパインモンキーポッド(右側の白っぽい木)です。下のカゴは1種類ですが、実はこれもモンキーポッドなのです。白い物は辺材といって、木の外側に近い白身部分を加工した物です。黒い物は赤身の部分を加工した物です。同じ木でも、取り出す部位によってこれほど違いが出ます。

上の白いモンキーポッドもモンキーポッドには間違いないのですが、【森のかけら100】には、下の黒いモンキーポッドを使うことにします。勿論白いモンキーも捨てたりしません。別の使い道があります。しかしこれが同じ木だとは思えませんね!こんなのが出来るとまたつい面白くなって新側を探してしまいます。するとまた解説書に不足が出ます。また解説書改訂、新樹種、改訂・・・キリがありません、エンドレスです。いいですね~!永遠に楽しめます!

★話は変わりますが、トップページに【ちょこっと端材】作りました。ありがたいことに、ブログで取り上げた樹種に興味を持っていただく方もいらしゃいます。しかし画像だけでは分かりにくいという事で、該当の端材を少しずつ取り上げて販売もさせていただくことにしました。とはいえ何もかも一遍には出来ないので、ちょっぴりずつアップさせていただきます。まずは、以前【今日のかけら】で取り上げた『ヒッコリー』から。クラフトや小物作りでご興味のある方どうぞ!




【昨日のつづき】

今日は材としての胡桃の名前や特徴について。まず名前の由来ですが、諸説あります。その中で定説といわれているのが、「呉(くれ)の実」を語源とする説です。「呉」は朝鮮三国のひとつであった高句麗を意味し、その高句麗つまり朝鮮半島から伝わった果実を表した「呉の実」が転じてクルミになったというものです。他にも、胡桃の実がクルクル回るから「クルクル回る実」→「クル(クル回る)ミ」→「クルミ」説・・・個人的には面白いのですが、かなり苦しいような気が・・・。また、実が黒いことから「黒い実」→「クロミ」→「クルミ」説もあります。

胡桃の果実は食用になりますが、葉や油も役に立ちます。葉をつぶしたもので湿布すると、目の炎症、皮膚炎などにも効果があるそうです。タンニンを含んでいるため、葉や油はノミやハエ、ダニなどの虫除けにも効果があるようですが、材が虫に好かれるのとは対照的です!乾燥機で強制的に乾燥させるから含有成分も損なわれる(失われる)のでしょうか。古くは927年の『延喜式』という書物にも「胡桃油」の事が書かれてあるらしいので、かなり古来から胡桃油は使われていたようです。また冬でも凍らないため、寒い時期の屋外灯火としても重宝されたようです。実から葉まで、特質を活かして無駄なく利用していたものですね。先人の智恵は素晴らしいです、学ばねば学ばねば!最後に材としての胡桃です。

『円い森』の胡桃です。植物性油を塗っているのでしっとり濡れ色になっています。落ち着いたいい色ですね!ただし綺麗に削ってもオイルを塗ると多少毛羽立つので、仕上げ磨きをする必要があります。板目も柾目もどちらもいい表情が出ます。幅剥ぎ(はばはぎ・・・数枚の板を幅方向につなぐこと)にして板目と柾目が混ざっても、結構私は好きです。ただ白太はオイルで塗ると、赤身とのバランスが取りにくいのでなるべく赤身を使うようにしています。節は拳大の大きな物もありますが、取り入れてもそれなりに雰囲気あると思うのですが、まあこれは好き好きですね。

とはいえ、それほど幅の広い板がバンバン取れるわけではないので1枚板のテーブルなどはかなり貴重です。むしろ狭い板をつないで使えば手頃な値段で手に入るので幅剥ぎに使うことをお勧めします。今弊社にあるのは北海道産の45㎜の耳付板です(上の写真)。今回は事前に鬼皮を剥いであるので虫の穿孔跡が確認できます。目視するかぎり、虫の心配は少ないと思うのですが・・・まだ中にいるかも・・・いいんです、それも運命です・・・でもあんまり食べないでね!

これにて【鬼顔の胡桃】の項はお終いです!




【昨日のつづき】

よく見ると胡桃の皮の部分がスポンジ状になっていて、触ると粉々に砕けていきます。映画「ハンナプトラ」の砂漠の魔物たちのように・・・!その部分は虫たちが食った残骸なので、虫はいません。彼らが潜んでいるのは、俗に『甘皮』と呼ばれる柔らかい皮の部分です。通常木の皮のごつごつした所を私達は『鬼皮』と呼んでいます。これは木にしっかり引っ付き、木をしっかりと守っていて簡単には剥がれません。製材するときにはリングバーカーと呼ばれる機械で、回転させて刃物で一気に削ったり、水圧で剥いてしまいます。その頑固さは文字通り『鬼』のごとしです。

虫たちは甘皮が大好きで、孵化すると周囲のやわらかくおいしいところから食べ始め、硬い鬼皮のギリギリまで食して横移動します。そうして内部をグルグル縦横無尽に食べ尽くすのです。だからパッと見では分かりません。そのうち鬼皮も薄くなり小さな穿孔穴が開くと、そこからパラパラと木の粉末が落ちてきて、こんもりと積み上がります。「あっ、虫だ!」しかし、それは【警告】ではありません。もう遅いのです・・・

その時点でもうかなりやられています。しかし、鬼皮が硬いうちは彼らはバリバリ活動中ということですので、穴の奥に潜んで人間の気配を察しています。触って鬼皮が柔らかくなっていたらもう、その時は白太はないと思ったほうがいいです。あったとしても使えません。更に赤身までいっちゃています!・・・・・仕方ないです。胡桃や栗など甘い実のなる木の宿命です。むしろ自然界ではそれこそが本来の役割でしょう。胡桃はおいしいんでしょうね。

人間だって胡桃食べますもん。私も虫に負けずにバリバリ食べてやりました!おいしいです。もともと胡桃は、中央アジアに自生していたペルシャグルミが中国に伝わり栽培され、テウチグルミに変化したとされています。日本の古代の遺跡から出土する胡桃はほとんどが、オニグルミだそうですが、その名の由来は、実の形がごつごつして、凸凹があり鬼のように醜いことによるそうです。日本特産の変種ヒメグルミは核もツルッとしていて滑らかなので、そのヒメグルミとの対比として『鬼』と付けられたようです。

確かに鬼並みのごっつい表情ではありますが・・・先人達は物事の本質を的確に表現されていたようです。なんでもそうでしょうが昔からある物の名前の付け方には甘さや容赦はないですね!そのももズバリを言い抜きます、厳しいです!鬼と犬(イヌマキとかイヌガヤとか)など身近にいるものに例えたのでしょう。太古には鬼だってちゃんといましたから。

材料としての胡桃についても書こうとしましたが長くなったので、この項さらに明日へと続きます。




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