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昨日の続き・・・。当然それは一朝一夕ではできることではないので、学校教育などを通じた粘り強い啓蒙なども必要です。一方で木のモノを供給する側にもそれを無理強いすることない形で安定的な生産システムの確立が重要かと。その根っこには「木が好き、木のモノが好き」という事がなければ長続きもしないし、思いも届かないのでは・・・そんな事を金沢で四国の木を眺めながら思った次第。身近にある時は当たり前に思うモノも、必要とされるところで見ると途端に輝いて見えるもの・・・。
国産材に限らずいろいろなところの木を持ったいるというのもムラモトの強みで、カバやナラのフローリングも、うちだったら軽く1年分ぐらいはあるだろうなというぐらいの量がズラーッと積み上げられています。形態上は、大工さんや工務店に販売する小売店ということなのでしょうが、モノによっては大手の問屋さんなどにも卸されているという事でした。村本さんのところがというよりも、かつてのメーカー→大問屋→小問屋→小売なんて図式はとっくに崩壊しており流通も激変。
ここまでは割合近場の倉庫でしたが、ここから大きく移動。能登ヒバに向かって、能登半島を北上するコースにある高松倉庫へ。左手に日本海が見える綺麗な道路を走ったのですが、私が今まで何度か来た時は左手に見える風景は、白波が打ち付け、寒風吹きすさぶ演歌の中に出てくる世界だったので(冬にしか来たことがないこともあって)、こんな静かな海、晴れた空の日本海は初めて。村本さんも珍しいほどの天気と仰っていましたが、最初がこれだったら石川の印象も随分違ったかも。
道路もスイスイ走れて4つ目の『高松けやき倉庫』に到着。高松と聞くと、四国の人間なのでつい香川県の高松市を思い浮かべてしまいますが、あくまでも「石川県かほく市高松」という地名で、香川の高松市とは何の関係もありません。しかし、香川とは関係ないものの四国とはゆかりの深い倉庫なのです。村本さんがご自身のブログ等でも公開されていらっしゃいますが、高知県の銘木屋が店を畳まれる際に、その始末を一手に引き受けられて、その時の材がギッシリとこの倉庫に眠っています。
先ほどの倉庫から車で少し移動して、これからはたっぷりと中身の詰まった倉庫。ここは日常的に仕事で使われている湊(みなと)倉庫。中にはフローリングやパネリングなどの内装材製品が中心に在庫されていました。㈱ムラモトには配達を専用とするスタッフがいるわけではないので、営業マンそれぞれが自分たちで材を積んで現場まで運ばれています。梱包で県外等へ出荷される場合は運送業者を使われていますが、この倉庫からはその流れもおおいそうなので、余計にきっちり整理されています。
馴染みの運送会社を使われるそうで、伝票を渡すだけでどれをどう積めば分かるらしいので、日頃からそれなりにきちんと整理しておく必要もあるのですが、村本さんは「手間をかけたくないだけよ」と仰いますが、そうするためにはそうできるための下準備が必要。いかに無駄を減らして効率よくするかを常に考えられていて心から尊敬するものの、こればかりは真似が出来ない・・・。端材の神から啓示を受けた者として、端材は見えるところに置いて意識を高めておかねば・・・。
整然とビニールがかけられた製品が多いのは、梱包で出荷される事がいかに多いのかを物語っていますが、カバやナラの中国産のフローリングに混じって、四国産の内装材も沢山積み上げられていました。高知や徳島、愛媛など四国で生産されたヒノキやスギの姿を、遠く離れた金沢の地で見るとなんだか感慨深いものがあったりします。わが愛媛県はヒノキの素材生産量全国3位、スギは全国12位という森林県なのですが、その多くが県外出荷なので森林県という意識はかなり希薄。
出張木育など一般の方に木の事を話す機会があるたびにその事をお話ししますが、ほとんどの場合「え~、意外。」との声が上がります。絶対的に消費地ではないということは前提ではあるものの(それをいえば他の森林県も多くが人口の少ない地方であるのですから)、素材が豊富にあるからそこに住む人の森や木に対する意識が高いという事は必ずしもイコールではないという事。意識を高めるためには日頃から暮らしの中で自然な形で木のモノに触れる機会を作ることだと思います。
先日の新たに購入された塗装倉庫に続いて次の倉庫は、塗装倉庫の前にあります。こちらも以前は別の材木屋の倉庫として使用されていてものだそうです。こちらもまだ整理中ということで、まだ本格的に倉庫としては稼働していない状態でしたが、建物自体鉄骨造のかなり綺麗なもので片づけさえ終われば即使えそうでした。村本さんは、こちらの倉庫には〇〇、あちらの倉庫には〇〇という風に、商品配送の事も含めてそれぞれの倉庫に特徴を持たせるように考えておられるようです。
ムラモトの膨大な在庫から考えれば、倉庫はいくつあっても足らないでしょうし、私から見れば十分に大きなこの倉庫だって、村本さんの中ではあれとあれを納めたら一杯になってしまうとの青写真を描かれているのだと思います。うまく倉庫を使われる方は、狭い倉庫でもモノの出入りの順番を計算してうまく活用されているのですが、明日の仕事の段取りですらあたふたする私にとっては倉庫の管理も大の苦手で、村本さんとは別の意味で倉庫はいくらあってもモノで溢れます。
それは在庫が豊富という意味ではなく、ただ整理がついていないのでモノがそこら中に中途半端に置かれていて足の踏み場も無いということ。まだ父が生きていた頃、別の場所で倉庫を買おうかという話も出ていたのですが、倉庫は大きければ大きいなりに使うし、小さければ小さいなりに工夫して使うものだと言って、結局倉庫は買いませんでしたが、今になって正解だったと思います。使える能力がなければ、倉庫があっても意味がないという事を、よく整理されたムラモトの倉庫で痛感!
能登に向かう経路の関係で、最近買ったばかりでまだ利用していない空の倉庫から、倉庫巡りが始まりましたがここから中身が詰まっている倉庫に向かいます。それにしても、雨が降ると奥の荷物が引っ張り出せなくなってしまい途端に仕事が腰折れしてしまう自社の倉庫の狭さが恨めしく思ってしまうものの、私が入社した頃は、仕事が終わるとトラックを倉庫の中に入れるぐらいガラガラだったので、この四半世紀の間に倉庫を無駄に狭くしてしまったのは自分自身であったと反省しきり・・・
本日より新たな気持ちで『ムラモト倉庫物語篇』が始まりますが、改めて現在位置を確認しておきますと、6月11日に福井県で開催された日本木材青壮年団体連合会の全国会員福井大会に出るためという口実(いや、口実ではない)で、福井・石川のご縁のある会社を一気に回らせていただこうという計画のためにその3日前から松山を出発して、翌日朝から㈱ムラモト本社を訪問させていただいたところ。見どころふんだんのムラモトで、あれこれ拝見してこれから倉庫巡りに出るところ。
さあ、足元を確認したところで倉庫巡りの旅に出ます。ブログでは既に1週間以上たっているものの、実際の予定ではこの日のうちにすべての倉庫を巡り、その足で能登半島まで行って『能登ヒバ』を見て、再び金沢に戻って、更にそこから白山市まで行って㈱角永商店さんもお邪魔しちゃおうというものですからかなりタイトなのです。そんな無謀な計画に1日中お付き合いいただいた村本さんにせめてものご恩返しの意味も込めて、なるべく丁寧にたっぷりとその全容をお伝えしたい。
ということで、まず第一の倉庫。順番はあくまでも能登に向かう経路に準じたものであって深い意味はありません。訪れた順番です。こちらは実はまだ倉庫としては機能されていませんでしたあ(当時)。平屋の木造づくりの建物で、その造りから結構古いものだということが伺えます。確か以前は大工さんか材木屋さんが使われていた倉庫らしく、まだ少しだけ木材が残っていました。そこを村本さんが昨年の暮れに買い取られたのだそうですが、その目的は塗り壁材の製造工場!
先にご紹介したムラモトオリジナルの塗り壁材『Wal10(ウォーロ10)』を製造するための工場に使われるそうです。現在その準備中ということでしたが、数か月後にはここでWal10が作られ全国へ発送されているのでしょう。新しい事業のために倉庫を買ってしまうというその行動力と覚悟はさすが。倉庫の中はかなり片付いていたのですが、立派な太い梁丸太があらわしになっていて、そのままでもいま流行りの古民家カフェにでもなりそうな雰囲気。昔の製材所ってどこもこんな感じでした。
金沢の村本さんの事を書き始めておよそ1週間、ようやく本社を離れこれから倉庫巡りに出ることになるわけですが、ここまで実際には2時間程度の出来事です。そしてここから長い倉庫巡りの話が続いて、そのまま能登半島に行って鳳至木材の四住さんに会って、『能登ヒバ』を見せたいただくことになるのですが、スターウォーズで言うならば、ようやくエピソード1の半分ぐらいまで来たところ(時系列に従えば)。ここから何やらの復讐や帰還はないですが、まだまだゴ完結編は遠い。
たぶん、今までの中の最長編になることは必至ですが、あまりにムラモトさんの事ばかり取り上げていると、「お前、ムラモトからなんぼか貰ってるのか!?」とか「ムラモトの社員か!」などと下種の勘繰りを入れてくる人や誹謗中傷まがいの事を言ってくる業界関係者もいますが、気にしません。村本さんご本人から、「もう止めてくれ~」と言われたから多少考えるかもしれませんが(たぶんそれでも止めない)、何と言われようと結構。もう、そんな了見の狭い世界とは決別。
私の周辺だけのことかもしれませんが、ちょっと人と変わったことをすると強く批判したり揚げ足を取ったり、それが少しでもうまいきそうだとやっかみで悪口を言ったりと、木材業界の少し前の世代の保守的・排他的な考え方には辟易していました。当然そんなひとばかりではないのは分かっていますが、それまでの長いものには巻かれろ的な時代が長く続いていたためか、家業が生粋の材木屋というわけではなかった私としては、頭の固い世界に足を突っ込んでしまったという印象でした。
その呪縛から解放された第一段階は、愛媛木青協で会長を経験させていただいたあたりから。県内外の方との交流も一気に広がって、それまで知っていた世界から少し視界が広がったように見えました。その次の第二段階は、異業種とのおざなりではない、目的を持った本格的な交流が始まるようになってから。医療器具にはじまりいろいろなコラボ商品の開発や勉強会をするようになって、まあなんと今まで自分が知っていた世界が狭くて、つながりの薄い縁の下の存在であったか・・・。
異分野のかたと話すをすればするほどに木材という素材の可能性と魅力に身震いするほど。またこれほどウェルカムで迎えてもらえる素材もないのではないかと思えるほどに、対応力があってコストパフォーマンスにも優れれていて、しかも感動すらも与えることができるほど日本人の暮らしに長く密接にかかわってきた素材であるということを思い知らされます。その事を深く理解し、木材の魅力を新しい分野での引き出そうという方にはスーパーエコヒイキなのです!明日から倉庫篇スタート。
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