森のかけら | 大五木材


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昨日、久万銘木㈱さんに行くと【欅】(ケヤキ)の8寸角の太柱を加工されていました。長さは4mですが、欅の240x240㎜角となると、いくら乾いているとはいえ、おいそれとは動かせません。手押しで水平を出すために6,7人がかりで台座に持ち上げて削っていきます。お手伝いしようかと思いましたが、こういう重たい木を加工する時は、中途半端な気持ちですると怪我の元です。人数も充分足りていたので、傍らでそっと撮影に徹しました。

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以前は、和風の大きな家ではよく大黒柱として欅の太角を使っていたものです。各地の木材市場でも、8寸、9寸、1尺、尺1寸、尺2寸角などの欅が整然と並べられ、その周囲には人だかりが出来たものです。そう、欅の太角といえば間違いなく『市場の華』であったのです!競りも大いに盛り上がり、落札者には「おぉーっ!」という感嘆の声と羨望の眼差しが向けられたものです。通常このぐらいのサイズの太角になると、芯に向かって浅めの切り込みを入れる『背割り』をするものです。これは、空気に触れる面を少しでも多くして乾燥を速やかにするための工夫です。しかし、欅の場合は、背割りを入れると乾燥に伴って、背割りを入れた面が外側に向かって開いてしまうので、背割りを入れないのが一般的です。そのため数年寝かせておいても、ガラガラに乾くということは稀です。欅そのものも乾燥したとしても極端に軽くなるというものでもありません。

 

欅は広葉樹なので、これぐらいのサイズになると芯が真ん中に入っているという事はほとんどありません。木そのものは結構大きくなる木なので、まだまだ市場にも流通していますが、良質な物は減りつつあります。ただ大きいというだけでは使えません。木の素性、木目、節の具合、色合い、そして乾燥の程度などを吟味して判断していくわけですが、実際に現場で求められるサイズや向き、木目に適合する物を見つけるのは一苦労です。数十本の欅の太角があっても、求めるものがないという事も少なくありません。

20090624e38080e6ac85注文があってから探したのでは、乾燥が行き届いていなかったり、値段の折り合いがつかなかったりで間に合わないことも多く、あらかじめ在庫としてストックしておく必要がありますが、保管中にねじれたり割れたりすることも少なくありません。そうなってしまうと、数十万で買った欅が二束三文になってしまいます。そういう意味では非常にリスクの高い木だといえます。そのため、一般の材木店では在庫を避け、久万銘木さんのような銘木屋さんが扱うという事が多くなるのです。この欅の仕上がりは見届けられませんでしたが、そざ立派な物に仕上がるのではないでしょうか。

商売の怪我も多い分だけ、いい取引が出来た時の喜びも大きく、うまく仕上がった時の欅の優美さは見事です。力強さと上品さを合わせ持つ、日本の広葉樹を代表する優雅な木です。欅の太角が1本入るだけで、その部屋の雰囲気が凛と張り詰めます。サイズさえ揃えば何の木でもいいというわけではないんだぞ!と叱咤言っているように感じられるほど、威厳に溢れています。『市場の華』は、『家の華』でもあるのです。




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