森のかけら | 大五木材


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今日は、店舗のカウンターとして使っていただく板の仕上げ加工です。昨日もアップした久万銘木㈱さんで加工してもらいました。材料は、北海道産の【】の耳付板です。樹齢は100年になろうかという高齢木で、木目もいい雰囲気です。栓は、木目が【】によく似ていて、少し濃く塗装して欅の代用品として使われることもあります。長さ2600㎜で、幅は500㎜近い立派な材で、しっかり乾燥もしています。2枚ありますが、縦に繋げて5mを越える長いカウンターになります。

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ただひとつ問題があるのが、この木に大量の【虫穴】があるということです。アップにしないと分かりにくいのですが、小さな虫穴、俗に言う『ピンホール』がビッシリ開いてます。ただし最近になって虫が穿孔したものではありませんので、内部に虫がいる訳ではありません。加工して水平を出して仕上てもらった後、私が1つ1つ木粉と接着剤を使って埋めていきます。気が遠くなる作業です。しかし、それは人間の勝手な言い分です。虫にとってはさぞかし住み心地の良い木だったのでしょう。あるいはこの木が『終の棲家』だったのかもしれません。それを人間が勝手に伐採してしまい、板に挽いてみたら虫穴があるので、「使えない木だ」などと言うのは、人間の傲慢、不遜以外のなにものでもありません。

20090625e38080e6a093efbc93世の中にどれほどの虫喰いの木があるでしょうか。虫の穿孔跡は、森で百年も生きた木の証です。虫穴が多ければ多いほど、多くの命を支えたということです。穿孔跡は、胸をはってしかるべき『森の履歴書』です。そのまま使えば問題があるようであれば、埋めてしまえばいいのです。年輪も詰まって、形を良く、杢目もいい木を、虫に喰われているからといって使わないのは、あまりに勿体ないことです。最近でこそ、そういう木でも使おうという風潮や、虫穴があっても気にしませんという方が増えてきましたが、かえって年配の方の方が抵抗があるようです。どうしても、欠点材を使った、貧乏臭いというイメージを持たれるのでしょうが、それでは木に対する評価としては薄っぺら過ぎやしないでしょうか。何度も言いますが、木は建築材になるためだけに生まれてきたわけではありません。木の値打ちや楽しみ方は実はもっと深いところにあるのではないのでしょうか。

虫喰いの木の事を避けては森の真の姿は理解できません。木は虫と戦っているわけではなく、虫と共存しているのです。建築材として考えた場合、虫喰いのない木であるにこしたことはないでしょうが、良質材が減少している昨今の木材事情を考えたとき、虫喰いの木にもそれ相応の使い方を考えるべきだと思います。折角お金を払うなら良いものを、と願うのは誰も同じです。しかし、虫喰いの木はそれなりに安い価格で供給も可能です。節や入り皮、カスリなどと同様に、虫穴も木の表情のひとつだと考えてみてはいかがでしょうか。心の持ちようで虫穴も楽しめます。この栓の木も、植物性油で若干色付けされるようなので、どのように変化するのか楽しみです!




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