森のかけら | 大五木材


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昨日の続きです。

同じ木を扱う商売とはいえ、原木製品では天と地ほどの差があります。更に外材原木と国産材製品となると、もう同じ木材関連業者とは呼べないほどの感覚的な開きがあります。それは扱うボリュームの問題もありますが、これから製材する素材とフローリングなどの最終商品となると、感覚的に違っても当たり前でしょう。根本的に物を作るメーカーとしての立場と、商品を流通させる小売業としての立場は、売る方と買う方と言ってもいいです。中には自社で生産して自社で小売もする製材所もあります。高田製材所さんもそういうスタイルですから、それぞれの立場の事をよくご存知!特別に検品に帯同させていただきました。

邪魔しないようにしてはいましたが、訊きたいことも多く、いろいろ口を挟み結局邪魔をしてしまってスミマセンでした。垂木とか根太、補助桟など一般的な割り材の場合はここまで厳密には検品しないようですが、高田さんは建具や家具など化粧材に使う材を挽くため、木のコンディションから目込み具合、傷や虫、割れなど細かく検品していきます。ちょうどこの日は、大きなスプルースとピーラーの原木が入っていました。

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左の画像が【スプルースです。比較の対象がないと大きさが分かりにくいですが、大きな物で私の腰ぐらいの大きさがありました。直径で言うと1m前後でしょうか。結構な大きさです。スプルースは比較的、癖が少なく素直な木なので、主に建具などに使われます。

 

 

 

20090530-e4b8b8e4ba94e38080e382abe3838ae38380e794a3e38394e383bce383a9e383bcefbc93続いてこれらは、カナダ産の【ピーラー】の原木。ピーラーとは、【ダグラス・ファー】つまり【米松】ですが、その中で高齢木の目がビッチリと詰まったものを指します。この原木は、最近では滅多にお目にかかれないほど立派なものだそうです。確かにデカイ!ざっと数えただけでも500年は経っています。手前に写っているのが高田さんですから、大きさが想像出来ると思います。長さも8mくらいあったと思います。これ1本で、数百万円の世界です!仕入れも真剣にならざるを得ません。

 

20090530-e4b8b8e4ba94e38080e382abe3838ae38380e794a3e38394e383bce383a9e383bcefbc92アップで見るとその巨大さがよく分かると思います!昔はよくこんな大きな丸太も入っていたそうです。当時はまだまだ和風の家も多く、軒の化粧桁などの注文が結構ありました。高田さんのところでも、そういう注文や、幅の広い特殊な建具用に持っておきたい大きさの原木のようです。う~ん、思案中!これだと【森のかけら】が何万個作れるかな~?おおよそ考えるレベルが違いすぎます!

 

 

20090530-e4b8b8e4ba94e38080e58c97e7b1b3e794a3e38380e382b0e383a9e382b9efbc9210mを越えるような原木もたくさんあり、大きな重機で整理され検数協会の方々が整然と仕事をこなされていましたが、普段目にすることの少ない外材原木の土場の雰囲気にすっかり魅了され、時間が経つのも忘れいろいろ見させていただきました。売るほうも買うほうも度胸と資金の要る仕事です!スケールがでかいです!原木が置いてある敷地も広さ15,000坪を越える広大な物です。見渡す限り原木、原木、原木・・・!

 

全ての木の始まりを見た思いがしました。こんな立派な原木を使って製品を作っていくのです。1本の小さな製品でも無駄には出来ません。皮のついた状態で寝転がる原木の姿を見ると、やはり【木も生き物】だということを強く認識せずにはいられなくなります。まるで巨大な魚市場で、鯨が寝かされて競られている、そんな気持ちになりました。これだけの物です。1本の原木が海を渡って日本にやってくるまでにも、多くの人が関わっています。大切に使わねば罰があたります!お忙しいところ、高田さん、林君お忙しいところ、お邪魔してスミマセンでした。とても勉強になりました・・・またお邪魔します!




九州の南に位置する大川町は、人口4万人足らずの小さな町ですが、家具屋、製材所など家具関連の店がが文字通り軒を連ねる日本有数の【家具の町】です。町に入るとあちこちに「〇〇家具」の看板が次々と目に飛び込んできます。この業界に入る前から、【家具の町・大川】の名前ぐらいは知っていましたが、なかなか行く機会には恵まれませんでした。昔は、九州まで木を買いに行くなど夢にも思いませんでしたが、【木童】さんの材料を扱わせていただくようになった頃から、九州をはじめ全国各地の木の産地に行くようになりました。その後、日本木青連の関係で九州にも多くの知り合いが増え、何度も九州にも足を運ばせていただくことになりました。3年前から大川にも行くようになりましたが、妙なもので1度縁が出来ると次々に機会が訪れるようになりました。

20090531-efbc93さすがに【家具の町】を標榜するだけあって、大小含め様々な業態の製材所が集まっています。よくぞこれだけの町でうまく住み分けが出来ているものだと感心させられます。いろいろなお店や工場を廻りました。何度行っても見飽きません。何度行っても行きたくなる町です。その中で出会ったのが、『㈲高田製材所』さんです。ホームページにも「木材取扱樹種世界一」を冠しておられますが、その看板に偽りナシ!まあ飽きれるほど多くの樹種とボリュームです。しかもそれらが整然と積み重ねられ管理されています。いつ行ってもすぐに、どれがここであれがそこと説明してもらえます。胸躍るとはまさにこの事、行く度に倉庫の探索です。左の画像は、板に挽かれた【ブビンガ】です。こういう形の物が所狭しと並んでいて、それは壮観です! 

 

 

20090530-e4b8b8e4ba94e38080e9ab98e794b0e8b18ae5bda6前に行った時には、どでかい【クラロウォールナット】も見せていただきました!【森のかけら】のレアな材でもたくさんお世話になりました。主に家具材を製材されていて、25㎜や30㎜、45㎜などの厚みの板と耳付の大きな1枚板の品揃えでは日本有数だと思います。ありがたいことに、梱包まとめ売りではなく1枚からのバラでも販売していただけるのでありがたいです。【ゼブラウッド】や【ウェンジ】の平板なども揃っていて、私にとってはまさに『奇跡の製材所』!日本は広いです、こういう製材所がまだまだあると思うと元気が出ます。その高田製材所の常務が高田豊彦さんで、木青連の福岡のメンバーでもあります。情に厚い九州男子です。最近、その高田さんがよく愛媛に原木の仕入れに来ているようで、ちょうど今回は時間が取れたので、一緒に食事をして、その後原木に検品につき合わせていただきました。

 

20090530-e4b8b8e4ba94e38080e58c97e7b1b3e794a3e382b9e38397e383abe383bce382b9efbc95私の会社は製品を仕入れるので、基本的に原木を仕入れることはありません。稀にお客さんの指定で、杉や桧の丸太を買うことはありますが、外材の原木を買うことはないので、原木の検品に立ち会うこともありません。今回、高田さんは前日には名古屋でアフリカ材を検品して、続けて松山での検品です。木材関連の会社が集う松山市西垣生の丸五興産㈱さんの土場で検品です。担当は、愛媛木青協のメンバーである林佳史君。いろいろな縁が絡み合っています。林君は愛媛木青協でもムードメーカです。私とは商売ではほとんど接点のない業種なので、木青協の懇親会などで酔っ払った「夜の顔」しか知りませんでしたが、「昼の顔」は違います!事に燃える男の顔です、見直しました!原木の検品、面白過ぎます・・・まだまだ続きます!




昨日の続きです。

魚梁瀬杉】というのは、主に高知県の東部、魚梁瀬地域一帯に生育する杉の中で、樹脂分をたっぷり含み鮮やかな赤から漆黒に近い黒まで多彩な色合いを含んだ良質な天然杉の総称です。その地域一帯の物を【魚梁瀬杉】と呼ぶ人もいますが、私としては四国を代表するひとつのブランドだと思っていますので、どの気にでも軽々しくは使っていただきたくないと思っています。特に緻密な笹杢は野趣に溢れ、高知のいごっそうを思わせる趣があります。ちなみに、高知県の県木でもあります。

20090529e38080e9ad9ae6a281e780ace69d89efbc92昨日アップした大きな板のような物だと、【魚梁瀬杉】の特徴も分かりやすいのですが、【森のかけら】サイズになると正直特徴は見えてきにくいです。しかし、それでもあえて240種の中に加えたのは、私なりの私情があったからです。大五木材に入社した当時、今まで会社を支えてくれた専務が退社したこともあり、当時の社長(つまり私の父親)は、地域の材木店と差別化を図る意味でも、直接高知の市場に仕入れに行くようになりました。若かった私にいろいろ情報や知識を与える意味もあったと思います。

今から20年以上前のことですが、当時の高知県の木材市場は隆盛を極め、西日本一帯、大阪や名古屋などからも有名な材木屋が来て、先を競うように材を競り落としていました。テレビで見るような、手札の競りが行われていて、素人の私の入る隙など微塵もありません。高下駄を履いた競り子が、大きな鐘をならし移動していき、ベテランの材木屋の社長連中が豪快な仕入を繰り広げていました。「自分もいつかはあんな風になれるのだろうか・・・」羨望の眼差しで、「男の死仕事」を眺めていました。

そこでの「競りの主役」は、【魚梁瀬杉】でした。まだ住宅業界は旺盛で、高級材もガンガン売れていました。まだ市場に『格』があり、高値さえつければ誰でも仕入れが出来る訳ではありませんでした。ベテラン親父達の『顔』が市場を支配していました。『顔』がなければ買えない時代で、ものひとつ買うにも毅然としたルールがありました。●●さんが手を挙げたら手を引くとか、決してこれ以上の値段で競り合わないとか暗黙の掟を守ることが、市場で物を買う人間の『資格』でした。決して嫌な時代だったとは思いません。そういう掟や煙草に煙る独特の『大人の雰囲気』が、大学を出たばかりの私にはとても眩しく映ったものです。

販売能力もなっかた当時、【魚梁瀬杉】は手の出ない商品でした。よく目が詰まっていて、高知の『鰹』のようにしっかり脂の乗った【魚梁瀬杉】は、憧れも対象でした。その後、【魚梁瀬杉】も仕入れるようになりましたが、経済が疲弊していく中、高価な材は徐々から脚離れが起きるようになりました。かつての主役も、「高い」という理由で敬遠されがちですが、決して【魚梁瀬杉】が高価な訳ではなく、相対的な価値として居所が高くなってしまったというだけです。本来の価値が正当に評価されにくくなってしまいました。

ただ時代が変わったなどと責任転嫁する気はありません。しかし、【魚梁瀬杉】が受け入れにくくなったのは確かです。こういう目込みの大きな1枚板は、それなりに大きく使わなければなりません。この板を小さく刻んで使うなどというのは、まさしく愚の骨頂です!やはり座卓とかテーブル、カウンターなどに豪快に使っていただいてこその【魚梁瀬杉】です。そういう現場がなければ、本来の輝きを放つことも出来ません。かつては手も出なかった木が、持て余されるようになってしまうのは悲しいことです。【魚梁瀬杉】の奔放な魅力を再認識してもらう気持ちも込めて、【森のかけら】に加えさせていただきました。

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今弊社に在庫としてあるのは、画像の4200x1050x60㎜サイズなど7,8枚ほどです。ちなみに値段は¥450,000~/枚。多少テーパーですが結構な大きさです。お行儀悪く天板の上に座っているのがうちの子供ですが、かなり前の写真です。今や彼らも小学2年生ですから、この【魚梁瀬杉】がいかに長く倉庫番をしているかが分かっていただけると思います。乾燥し過ぎです。前置きばかりが長くなり、材そのものの特長にまで辿り付けませんでしたので、それはまたいずれ改めて・・・




★今日のかけら・#019 魚柳瀬杉/ヤナセスギ】 スギ科スギ・針樹・日本産(高知産)

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久し振りに【今日のかけら】です。少し前の話ですが、久万銘木㈱さんの銘木祭りで、西条の伊藤住建さんが【魚梁瀬杉】の巨大な耳付板をご購入されました。画像を見ていただければ分かると思いますがかなりの大きさです。広角レンズで手元が歪んで広がって見える訳ではありません。右下の画像の手前の方が、立っている木でいうと根元の部分に当たります。俗に『元口』と呼ばれます。立木を想像してもらえば分かりますが、木の足元は根が大きく張り出した形になっています。小さな木だと上から下までずん胴な物もありますが、これだけの大きな木になると、自重を支えるためにも根元は大きくうねるように張り出し極端なテーパーになります。

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この材料を、画像右の池内一豊(ウッドワークかずとよ)仕上ました。伊藤住建さんは、愛媛県西条市を中心にかなりこだわった天然素材の家造りをされています。以前にも、【】のフローリングを使った新築のお宅でも【魚梁瀬杉】の座卓を納品させていただきました。木材の知識も豊富ですが、遊び心たっぷりで普通の人がやらないような事でも、自分に確信があればどんどん取り入れられるタイプです。元請だから出来る訳ですが、ひと昔前にはこういう大工さんがいっぱいいて、今度は何を使うか相談しながら決めるのも楽しみでした。今となっては、伊藤住建さんのようなタイプの工務店さんはとても貴重な存在です。

今更言うまでもなく【】は、全国各地に成育するもっとも日本人に馴染みのある木のひとつで、『秋田杉』や『吉野杉』、『屋久杉』など各地域の名前を冠した『ブランド杉』も多く存在しています。中でも『屋久杉』など一部の物には顕著な特徴はあるものの、【杉】そのものはそれほど特徴が際立っているわけではありません。実際にネームの入っていない【森のかけら】の各地の【杉】をズラリと並べて、産地を言い当てることはほぼ不可能だと思います。【杉】そのものの特徴が曖昧なうえに、同一地域でも個体差にバラつきがあるからです。

スギやヒノキなどメジャーな木ほど説明は難しいものです。それにまつわるエピソードや解説も至る所に出ており、今更それをアップしてもという気持ちもあります。かといって、基本的な話もナシに専門的な話をしても本質が分かりにくいだろうし・・・。エピソードや現場も多いので、またいずれ何度も取り上げる機会があると思うので今回は、世に数ある【杉】の中でも何故【魚梁瀬杉】を選んだのかという理由について、という切り口でお話させていただきます。詳しい話の内容は明日・・・。




昨日のブログで【森のかけら240+】の新しい解説書が完成したという事をアップしましたが、早速数件問い合わせをいただきありがたい限りです。大量部数を印刷しましたので、安心してドンドンご注文下さい!昨日の繰り返しになりますが、とりあえず解説書を作成するに当たり240種全ての写真が必要でしたので、今回はかなり無理をして強引に撮影用の【かけら】を作りました。そのため、解説書には掲載されているものの、まだ実際の【かけら】は乾燥中とか準備中、加工中、塗装中という物も数点あります。また、もともと在庫が少なく注文が重なると欠品しやすい物もありますので、最新リストには掲載されていたけど欠品したという事があるかも知れませんのでご了承下さい。何度も言うと言い訳がましいですが、ズバリ言い訳です!

欠品する物と過剰なくらい余る物が極端ですが、フローリングなどのように厳然たる売れ筋商品があるわけではありません。家具としての人気の高いブラックウォールナットなどは誰もが選ぶと思うでしょうが、これが意外にもそうではありません。聞いたこともないような木は選ばれにくいという大きな傾向はありますが、メジャーな木でもセレクトされない物は結構あります。注文書を見ながら箱詰めしていくわけですが、「あれ?」と思うこともしばしばあります。

要は購入される方が何を求めているかということです。国産材を使った家造りをされている工務店さんは、当然国産材のしかも建築に使えそうな木が中心になります。逆に輸入材を扱われる材木屋さんは、屋久杉にも目もくれません。学校の先生は教材として満遍なく、中でも比重の高低差の激しいものなど。100種類をセレクトしてもらうと、その人の性格も見えてきて面白いです。性格判断というよりは、職業判断(?)みたいなものです。240種の解説書完成に合わせて、ドンドン加工も出来上がってきていきます。

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240種の中から、頭を悩まし選ばれた物が欠品することないようにしたいのですが、なにしろ天然物です。アルミやプラスティックや鉄とは訳が違います。また、大量に作りコストを避けて下請けになる道を選んだ訳でもありません。もっと大量に発注し、安く加工出切る工場を探せばコストダウンできるのにと、助言くださる方もいらっしゃいますが、私としては、端材を捨てるのが勿体ないという『ケチ根性』で、仲間達と力を合わせ作り始めたというコンセプトを変えるつもりはありません。そのコンセプトこそが、この商品の全てだと思っています。それを止めてしまっては、志を捨てたも同然です。改めて初心に戻り、何のために作るのか、誰のために作るのかを胸に刻んでおこうと思います。




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