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言える事とやれる事は天と地ほどの差があります。信念を貫き実践することが難しいからこそ、こうしてその話を聴くために多くの方が足を運ぶのでしょう。言葉が商売になるのではなく、実践した結果が拡がりを持ち、職種や業種を越え、例えば語る農業としても成立していくのだと思います。最初からそこを目指すのは論外。当初、木村さんも自らの行く末にこういう舞台が待っていようとは夢にも思われなかったことでしょう。実らないリンゴの前に感じた絶望が希望に変わるまで実に10年。
私自身この10年という時間にある思いを感じています。先日もある方が来社されて来社されて、弊社の『適材適所』を久しぶりにご覧になって(現在152号で、足掛け13年目ですが)、「何でも事を成すためには10年掛かるものですね」と感慨深く仰られた言葉が胸に残っています。10年を目指して続けてきたわけでもありませんが、10年以上が過ぎて今思うのは、多くの事が蓄積され、他人の言葉が身に沁みて少しは理解できるようになってきたのではないかと思います。私が木村さんの講演で特にお聴きしたかったのは、リンゴという木に対する思い。その中で特に心に残ったのが次の言葉。『桜の花は春の訪れを知ってもらい、人に喜んでもらおうと下に向かって咲くが、(リンゴは品種改良を重ねて現在1100もの種があるらしいのですが)リンゴは偉くなり過ぎてしまい下を向かなくなり、上に向かって咲くようになった。』なんと含みのある言葉でしょうか。
無農薬無肥料を実践するようになって、劇的に虫の被害も減ったという事です。右の画像の葉は、虫の被害ではありません。当初学者先生も信じてもらえなかったようですが、リンゴの木自らが葉の病気の部分を枯らして落とし、全体に広がるのを抑えた結果だというのです。植物の生命力の神秘は、我々の想像を遥かに凌駕するものがあります。もし人間が地上からいなくなれば、植物は驚異的な成長をして、驚くべきスピードで原始の森が復元されるであろうという学説を裏付けるエピソードです。
あの西岡常一棟梁も自著の中で「木作りは土作りだ」と書いておられましたが、木村さんも大切なのは土作りだと仰っていました。『いきなり無農薬無肥料農業を始めても無理である、まずは土を作ること。今の農業は土を殺して砂漠化している、まずは代掻(しろか)きをして、土の中にたくさん酸素を入れて根がどんどん伸びていけるような下地を作る事。土も木も人も同じ地球に生きる生き物なのだから、たくさん酸素を与えてあげなければならない。リンゴは私の部下ではない。』
それは、単なる収穫を得る商売道具などではなく、共に10年間を戦い抜いた戦友に対する友情や慈しみのようにも感じられ、植物を超越した信頼関係のような結びつきでもあります。講演予定時間を30分近くもオーバーするほど熱のこもった素晴らしい講演でした。その信念は農業だけでなく林業にも通じるものがあります。人と違った事を始めると、周囲は奇人変人扱いされるのは世の常。ひたすら信念を貫き、その結果が出ると評価は途端に一変します。【森のかけら】を作り始めた時、私も同じような思いを抱きました。誰が買うのか、と嘲笑もされました。それから5年。まだまだ結果が出たというレベルではありませんが、少しは『木のファン』を増やすお手伝いが出来たのではないかという自負もあります。『森のかけらの木』の種をもっともっとたくさん蒔いて、もっと大きな大きな実りを待てる覚悟を木村さんのお言葉からいただきました。どうかお元気でいつまでもリンゴ作りを楽しんで下さい。
本日は、14時から道後のひめぎんホールで開催された『奇跡のリンゴ』木村秋則さんの講演会を聴講に伺いました。「リンゴの木村さん」の事を初めて知ったのは数年前にNHKで放送された番組を観てからです。その後、木村さんの書かれた本も購入して、その取り組みを繰り返し読み返し、分野こそ違えどその情熱に心を動かされました。その人の講演会とあっては行かないわけにはいきません。しかし当日会場は他の催しも重なり、会場は大混雑!奇跡的に駐車場に停める事が出来ました。
この講演会のチケットは、農業関係はじめさまざまな分野のショップ等でも取り扱われていて、事前から混雑の予感はしておりましたが、まさかこれほどとは驚き!会を主催された「一般社団法人まほろば」さんの設立記念講演という事もあったようですが、講演タイトルにもある「自然との共存」という切り口に対しての関心も高いようです。会場にには、たくさんの知り合いの顔が・・・。県内各地の飲食に関わる生産者の方々などがブースを出されていました。異業種との輪も知らず知らずうちに広がっておりました。
早速、木村さん登壇。その飾らないお人柄はテレビで拝見していた通り。全国各地で随分講演もなさったようで、歯が無いから聴き取りにくいですなどと冗談をおっしゃっておられましたが、ひと言ひと言が力強く、思いがたっぷりとこもった語り口で、ぐいぐい引き込まれました。もっと上手に滑らかに喋られる方はたくさんいらっしゃるでしょうが、自ら事を成して実践された方の言葉は重みが違います。他人の批評や批判でもなく、小難しい理論でもなく、体験談でありますからおのずと言葉にも説得力が感じられます。私は農業に関しては全く知識もありませんが、「本物」を作って、誰かに喜んでもらうおという木村イズムは大いに共感するところですし、分野を超越してものづくりの原点となる部分です。木村さん、一切原稿を読むこともなく、しっかりと前を向いて休憩も無く、お話をされました。その姿はとても還暦を過ぎた人のそれではありません。
情熱を持ち続けることが若くいられることだと、木村さんも仰いましたが、まだまだたくさんの大事を成されることでしょう。もっともっと喋りたい、もっともっと伝えたい。次から次から言葉が溢れ出てきて止まらない、きっとそんな風に感じられました。無肥料、無農薬、無除草のリンゴの栽培は、最初の10年間一切の収穫を得ることが出来ませんでした。それでも木村さんが諦めなかったのは、講演で何度も繰りかえされ出てきたフレーズ「不可能はない!」この信念に尽きます。
この話、明日に続きます・・・。
| 台湾のヒノキには、この台湾桧(タイヒ)と紅桧(ベニヒ)があります。この2つの樹種は、日本でいえばヒノキとサワラのような関係に似ていると言われています。台湾最大の紅桧は、樹高55m、幹周り27.3m、推定樹齢2500年にならんとするまさにご神木。その生命力は台湾桧をも凌ぎ、急峻な台湾の山地でもしっかりと生育しています。数千年を越える巨樹は、揃って樹形が扁平なものが多く、そびえ立つ岩盤のような趣きがあり、内部は空洞になっていたり、虫害の影響を受けているものが多いとされています。台湾桧を使った有名な建築物としては、薬師寺金堂と西塔、東大寺大仏殿、平安神宮などがあります。日本の桧と遜色のない肌艶、光沢、芳香そして何よりもその巨躯、皮肉にもその素晴らしさゆえに台湾桧は悲劇の主人公となってしまったのです。値段が日本の桧の同質材に比べて割安だった事も購買意欲に輪をかけました。 | ![]() |
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台湾桧でなければ対応できないという巨大な寺社仏閣など特殊な建築物でも出なければ、倉庫の奥深くで塩漬けにされたまま化石と化してしまうのはあまりに悲しい事です。若い設計士さんだと、台湾桧の実物を見た事がない方も当然いらっしゃるでしょうし、その魅力を伝える人がいなければその価値にも気づかないでしょう。素晴らしいモノがあっても良さが伝わらない、理解できないというのは、銘木と呼ばれる木々の最大の不幸です。 |
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