森のかけら | 大五木材


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弊社の倉庫にもの在庫は結構ありまして、早い段階で『今日のかけら』でも取り上げようと思っていましたが、すっかり出番が遅くなりました。その分たっぷりとご紹介させていただきます。まず、栃の特徴として「栃の手触りは、絹肌のごとし」と形容されますが、まさにそのすべるような触感は、滑らかな絹糸に触れるが如く。その気品溢れる手触りだけで魅了されてしまうほど饒舌な触感です。私の好みでは、栃との触感が双璧です品で繊細な絹糸のような栃と、素朴で木綿のような温もりのある桂、いずれも甲乙つけがたい味わいがあります。

「材」という観点で考えた時、つい乾燥とか強度、価格にばかり目を奪われがちですが、改めてじっくりと木に触れると、そこに「個性と命」を感じ取る事が出来ます。ひとり落ち着いて木の触感を愛でる、そんな木との接し方があってもいいと思うのです。また栃の場合、大きな節が現われた周辺には面白い杢が現われ、私たちの目を楽しませてくれます。大きな節の周辺には、その枝を折らせるまいと奮闘した木の命のエッセンスが凝縮された姿が妙味溢れる杢となって現われますまるで湖の波紋のようにユラユラと今にも消えてしまいそう。

上の画像はいずれも無塗装の状態ですので、これに植物性油を塗るとより濡れ色になって光沢が増します。見る角度によってキラキラと妖しい輝きを放つ「栃の縮み杢」は惚れ惚れします。栃は赤身よりも白身の方が重宝される珍しい木です。全身白身の『白栃』となると大変貴重で高額で取引されます。専門的には、この『白栃』で、なおかつ1寸(約30㎜)に10個以上の縮みが出ている『栃縮み』が最高級とされていますが、弊社の倉庫にあるのはそういう銘木ではなく、脛に傷のあるような木ばかり・・・。ただ、傷や節や割れがあっても、それも木が生きた時間が凝縮された履歴書だと思っているので、愛おしく感じられます。これからの時代、従来の物差しだけでは計りきれない『木の価値』、『木の出口』が生まれています。伝統を守る事も大事ですが、新しい感覚や価値を否定しては、木を未来に繋げる事は出来ないと思うのです。

さて、栃のもうひとつの大きな特徴とも言えるのがこちらの虫の穿孔穴カミキリムシの幼虫の仕業なのですが、直径が20~30㎜もあって、鉄砲で撃ったような穴が開く事から、俗に「鉄砲虫」と呼ばれています。これが同じ材の偏った部分に集中して出ると、こういう風になります。初めて見る人は、何か意匠的に作られたデザインか何かと勘違いするほど堂々とした痕跡です。ここまで豪快に開けられるとむしろ気持ちがいいほど!これはこれで、それなりに「味」、「アート」のレベルにまで昇華しているのでは・・・!

実は上の縮み杢とこの鉄砲虫穴は同じ1枚の板なのです。う~ん、神のイタズラの如き、この混在感。個性的な表情を持つ栃ですが、虫穴以外にも土中から石灰質などを吸い上げた『金筋(カナスジ』と呼ばれる筋状の罠があったり(これを削ると刃物がボロボロに!)や、青染みや変色(腐朽菌の影響を受けやすい)も多く、に乾燥に伴い狂いやねじれが出やすいという、神様の気まぐれ要素も持ち合わせています。とても面倒?いやいや、だからこそ栃は面白いんじゃありませんか!手が掛るものほど愛おしい。

 




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