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さて本日もケヤキの話。ケヤキはその木目が美しい事から、『けやけき(際立った木、尊く秀でた木)』が語源とされています。他にも『槻』(つき)という別名もありますが、これは万葉の時代に材が強い事から強木(つよき)と呼ばれていたことから、それが転じてつき(槻)になったとされています。つまりツキはケヤキの古名にあたります。また地域によっては「イシゲヤキ」とか「アオゲヤキ」という呼び名を使うこともあります。
これは年輪幅が不揃いな粗目のケヤキの俗称で、石のように硬くて加工しにくいものや全体的に青みがかっていて材質の劣るものを指していて、別の樹種があるというわけではありません。ただし、地域によっては同じニレ科の『ニレ』の極端に硬いものを「イシゲヤキ」と呼ぶ地域もありますので(私の知るところでは愛媛の南予や高知の西部)明確な線引きはないようです。これは、今一つ知名度の低いニレへの助け舟的効果?
このケヤキが本格的に建築に使われるようになったのは桃山時代からだといわれています。この頃に、縦挽きの鋸が使われるようになり、堅いケヤキを縦に挽く事が出来るようになったからです。ちなみにもっとも古いとされるケヤキの建築物は、大和当麻寺の西塔、薬師寺の東塔といわれています。関西は公家の文化で、あまり堅いものは無粋なものとされたが、関東は武士の文化ではったりや見栄や張るためにケヤキが使われました。
堅くて敵の攻撃にも強い面も武士の好みに触れたのでしょう。特に大木を必要とする門や城などにもよく使われました。派手な木目を生かし、木の大きさが権威の象徴であるかのように、門の扉や床の間の一枚板、大黒柱などに使われました。ケヤキは、関東の土壌とだけでなく関東の資質ともうまく合致したのでしょう。その流れからケヤキ=高価で贅沢というイメージが固定化したのでしょうが、うまく使えば空間を引き締めてくれます。
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