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材木屋というのは日本の農林水産業の骨格をなす産業の重要な1つであり、長い伝統に裏打ちされたものでありますが、そいれゆえに変化に対して臆病で保守的。材木屋は木の仕事だけしておけばいいという考え方が長らく業界を支配していましたし、事実今まではそれでも生計が立てられてていました。しかし大きな時代の転換期に直面してもなお、変わることを拒むのならば、それは消えゆく運命。そんな中で山一木材さんは早々に舵を切り換えられております。
実は以前にも木材関係者の会で何度か見学に来させていただいたことがあるのですが、その時はまだ有記さんが戻られていない頃でしたので、従来の製材中心の経営をなさっていました。その当時から圧倒的な在庫量には興奮したものですが、久しぶりにお邪魔させていただき、その変貌ぶりにも感動しました。それもこれも、一人娘である有記さんが戻られてからの事というのも凄い事で、一瞬『夏子の酒』が脳裏をよぎりました。ひとは変えられる、会社は変えられる。
もともと有記さんの父親である社長や会長もそのような素養をお持ちで、有記さんの新しい木へのアプローチによってスイッチが入ったという事だと思うのですが、その年代の方としてもの凄く頭が柔らかくて驚くばかり!広葉樹の森、木造のカフェ、雰囲気のあるギャラリー、木製玩具にある庭、きのこの家、池に眺める長いベンチ、なんといってもすべての敷地合わせて3町歩という膨大な場所に、その思いを実践されている、その事実は揺るぎません!
デザインの勉強をされていた有記さんのセンスが溢れた何とも居心地のいい空間。しかもそのどれもこれもが、『木が好き、木は面白い』というベクトルに向いていて、知らず知らず木のファンになっていく仕組み作りも無理な気負いや押しつけがなくて素晴らしい。まさに弊社とは対極・・・。女性や子供の心にすっと入っていける『さり気ない木育、柔らかい木育、日常的な木育』がここにはあって、そういうお客さんたちが沢山集まっていらっしゃいました。
男の視点ではなかなかこうは出来ないもの。男の仕事と決めつけられがちな木材業ですが、女性の視点が入るとこうも優しく柔らかくなるのかと感心しきりです。そして改めて、木は万人の心に届く無敵の素材であるという事にも気づかされます。しかしだからといって自分の路線を変更するつもりはありませんし、そういう才能もありません。不器用な材木屋のまま、洗脳型木育(!)なんてアプローチがあってもいいと思うのです。個性という多様性こそ森の活力なのですから。
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