森のかけら | 大五木材


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20150710  1 自分で書いていて、自分の言葉に膝を打つという事もあるのだと実感したのが、数日前にブログの最後に書いた『ガイコツの木』の事。反骨ジャーナリスト・宮武外骨の話の流れで何気なしに出た言葉でしたが、後から妙に気になって考えていると思いあたるものがありました。骸骨、髑髏(どくろ)とアメリカ映画に登場するイメージだと、鬱蒼とした森の中で枯れ枝を不気味に広げてひっそりと佇む老木といったところでしょうか。確かに遠目に見れば細い枝が、頭部をCTスキャンで撮影した毛細血管のように見えない事もない・・・。この画に老婆の笑い声でも重なれば雰囲気満点。

 

20150710 2更にもっと骸骨に寄せて考えてみれば、アメリカはカリフォルニア州東部のインヨー国有林にある世界最長寿の木・ブリッスルコールパインの姿が思い浮かびます。標高4342m、土壌は痩せたドロマイト、ほとんど雨も降らず、強風に晒され乾燥が厳しいという、樹が育つにはあまりに過酷すぎる環境に世界一長寿の木が今も生き続けているという生命の神秘、いや自然界の大いなる皮肉。1957年に科学的な測定が行われた最大のものは、樹齢が4723歳と判明しているので、今だと4786歳。『メトセラ(メスーゼラ)』と名付けられた老木は今もそこに静かに佇んでいます。

 

20150710 3既に枯死したようにも見えるメトセラですが、この環境で生きていくために無駄なエネルギーを極力使わないように幹の成長を止めて自らを枯らしながらも最低限の水分を供給するという事で命を長らえているそうですが、これほど長寿の木に対しては語る言葉も虚しくなるだけ。およそ5000年前といえば、メソポタミア文明が起こり、サハラが砂漠化したと言われる時代。考えればそんな木を骸骨に例えてしまったのは失礼な話でした。遠いアメリカの話ではなくもっと身近で思い当たる木がありました。文字通り、シャレコウベからその名前が付けられた、『シャレ松』。

 

全国的にはどういう風に呼ばれているのか分かりませんが、マツの中でもヤニがたっぷりと含まれて材中に行きわたった、俗に『肥松』と呼ばれるものの中でも、良質の高齢木に稀に現れる銘木中の銘木。白太部分は腐ってなくなってしまい、骨の髄にあたる中心部分(この辺りでは、リン〔燐〕とかジン呼んでいます)だけが残ったモノ。あたかも木の骨だけが残ったように見える事から、『しゃれこうべのマツ=シャレ松』と呼ぶようになったと先輩の銘木屋さんたちから教わりましたが、口伝ですのでどこまで信憑性があるのか分かりませんが、確かに『体は名を表わしている』!

 

昔、今から20数年前は床の間に変木の床柱としてよく使ったりもしていて、当時はちょっと気味悪くもあったり、その価値もよく分かっていなかったのですが、自宅を建てる頃にはそういう風変わりな木にも興味が向くようになり始めていて、結構大きめのシャレ松を階段の上り口に意匠的に使いました。子どもが小さい頃は、よくこのシャレ松に抱きついて登ろうとしては表面の凹凸が痛いと騒いでいたものですが、今は誰も気に留めるでもなくそこに佇んでいます。強烈な個性があるのと、かなり和風の印象が強くなる事からその後ほとんど取り扱う事がなくなりましたが・・・




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