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蝉に話を戻すと、北アメリカには毎世代正確に17年または13年で成虫になり大量発生する『周期ゼミ』というとんでもない蝉がいて、17と13という素数に発生する事から別名『素数ゼミ』なんて数字に強そうな名前までついています。2013年に17年ぶりにアメリカ東海岸に大量発生した素数ゼミの数なんと推定70億匹!鳴き声はジャンボジェットのエンジン音に匹敵するほどらしく、もはや自然災害レベル。氷河期の影響で、食糧の供給源である木の根にまで栄養が行き届かなくなったため、成長に時間を要するようになった事が周期ゼミ誕生の原因だとか。
成長に時間がかかるようになったため、同じ場所で同じ時期に生まれないと交尾の相手を見つけられないことや、外敵から狙われる確率を少なくするために一度に大量発生するようになったと言われていますが、なぜ13年と17年という2種類の蝉がいるのかというと、2つの種が一度に地上に出てしまうと、交雑が起こってその種が滅んでしまうため、それを避ける意味で互いの発生周期がずれているという生命の叡智!それにしてもリアル動物の苦手な私にとっては、1匹捕まえるのでさえ勇気の証であるのに70億匹の蝉は拷問以外の何物でもありません!
鳴き声の大音量もさることながら、蝉が脱皮した抜け殻や死骸だって相当な数になるだろうからそちらの対応も深刻だと思えば、現地では現地では大量発生した蝉を食用にしているとか、オーマイゴッド!まあ食べ馴れてしまえばどうってことないのかもしれませんが・・・。それだけの数の蝉が集まるわけですから、樹も樹液を吸われるだけでなく大量の排泄物などによって過酷な経験をする事でしょう。そんな光景を思い浮かべるとつい、『蝉害』なんて言葉がよぎってしまいますが、力なき生物が大量発生によって種を保存する事は珍しい事ではなくそれも自然界の掟。
そんな罰ゲームのような仕打ちに耐えなければ自然界で種を保存していくことなど出来ないのだといわんばかり。蝉に限らずイナゴとか、過去の歴史においても天文学的な大量発生によってすべてが食い尽くされ大飢饉を招いたという例は東西の洋を問わず無数に発生しています。映画『エクソダス』でも空を黒く染めるほどのイナゴの大群が町を襲い、飢餓とその後にハエやアブが溢れるという地獄絵図のような描写がありましたが、わずかでも生態系のバランスが崩れると人間の暮らしなんて根底から崩壊するほどもろいもの。絶妙のバランスで成立している日々の暮らしこそ奇跡なのかも。
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