森のかけら | 大五木材


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半年ほど前にこのブログでちらっとだけ紹介していましたが、某飲食店に納めさせていただいたホワイトアッシュのハイチェアー。珍しく座面を布張りしたもの(座面布張製作はTOWER室さん)開業までに少し時間がかかったもののようやく晴れて開業されましたので、早速お店に伺いました。場所は、弊社から車で5,6分の距離にある松山市堀江町。お店の名前は『遊食 晴』さん。お店の名前は店主の山口日出晴さんの名前に由来しています。実はその山口さんが凄い技を持つ人なのです。

こちらは昨年の夏に松山市内で開催された氷彫刻夏季展四国大会の様子ですが、炎天下で氷柱を削っているのが店主の山口さん。山口さんが造られているのは夏空を泳ぐ2匹の金魚。見事に大会の最優秀賞に選ばれました。このイベントは、NPO法人日本氷彫刻会四国地方本部が主催し、四国四県から腕に覚えのある調理師などが参加して行われましたが、山口さんは氷彫刻の大会としては、日本国内で唯一実施される北海道は旭川の公式国際大会にも参加されていて、そこでも辣腕を振るわれています。弊社のお店のカウンターをお求めに来られた際にはその事には一切触れられませんでしたので、まさかそういう特殊な技をお持ちの方だとは知りませんでした。

そんな山口さんは道後のホテルで料理長を務められていましたが、このたび独立して堀江でお店を出されました。弊社とのご縁は、お店兼住居を手掛けられたミセスホームさんを通じてです。耳付きの一枚板のカウンターを所望されていらして、ならば大五木材へという事でミセスさんが山口さんを連れて来ていただきました。ご要望は和風の耳付きで幅広の一枚板。そこでご提案させていただいたのが、久万高原町で仕入れて来た『モミ(樅)』の一枚板。

珍しく原木で数本仕入れて、耳付きのまま賃挽きしてもらい、弊社で大切に自然乾燥させてきたうちの一枚です。まだ小学生だった頃の長女が両手を広げてその大きさを確認する手伝いをしてくれました(嗚呼、思えばこの頃はまだ喜んでモデルを演じてくれたものです・・・)。そこからもこのモミの大きさが分かっていただけると思います。和風のテイストで長尺の幅広の一枚板っていろいろあるようで案外樹種が絞られるものです。スギ、ヒノキ、トチ、イチョウ、モミ等々。明日に続く・・・




米ヒバ(イエローシーダー)といえば、先日ちょっぴりだけメンテナンスに関わらせていただいた市内の某居酒屋のテーブルが米ヒバでした。ある樹種の事を取り上げたりすると、それが久しぶりに取り扱う樹種であるにも関わらず、数日間のうちに私の周辺でその木に関する話題が出たり、その木ご指名の仕事が舞い込んだり、突然その木に関する見積依頼や相談がきたりと、不思議なことがよく起こります。たまたまそういうこともあると冷淡に判断する人もいますが、私としては『引き寄せの法則』だと思っています。

ブログや『適材適所』などで特定の樹種を取り上げたりする際に、いろいろ調べ物をすると、あれとこれが関連していたのかと気づくことがあったり、複数の案件でその材が図面指定となっていたり、その仕事が舞い込んで来たりして、不思議なご縁を感じます。しかしこれって実際は、以前にこういう樹種があるから使ってみませんかと提案していた種まきがたまたま同時期に発芽したのであったり、メディアなどでその樹種が取り上げられたりして、世間で注目されたりしたいたことが遠因だったりするもの。

その樹種を特に注意して意識するようになったので、潜在的にあった需要や周辺での関わりに改めて気づいただけという事だったりするという逆説的なことなのかもしれませんが、私はそれも含めて『引き寄せ』だと思っています。引き寄せられている、引き寄せている時って、その木にとっていい波動が出ている時だと思うので、何かご縁が多くなると思います。例えば雨の多いこの時期に、水に強い米ヒバを取り上げたというのは意識したつもりはないものの、私の中に米ヒバに対する潜在的イメージがあったからだと思います。

そう考えれば、それぞれの木には個別に『語られるべき物語』があって、しかるべき時期にはこういう木が語られるタイミングがあると思うのです。夏に怪談を語ると、途端にそれに関する話があちこちから噴き出すように、眠れる木の物語についても語られるべきタイミングでその扉を開けることで、その季節感や背景が見えてくるのかもなんて思うのです。そういえば季節的な面から木が語られることが少なくなったように感じます。自戒の念を込めて、今後は『木の季節感』も強く意識していこうと思います。




昨日 イエローシーダー』こと『米ヒバ』の事を書きましたが、調べてみると『今日のかけら』では2009年に取り上げていました。樹種別の順番も13番目で、かなり早く名前が出た樹だったことが分かります。「水によく耐えることから外部に使える木」と書きましたが、かつては外部だけではなく内装にもよく使いました。まだまだ大きな米ヒバの丸太が入ってきていましたので、幅広材や柾目がバンバン挽けていましたので、幅広の鴨居や幕板、廻縁、竿縁、更には天井板にも使ったことがあります。内装に使うと独特の米ヒバの臭気が室内に漂います。

内装に使うときに注意しないといけないのは、素手で施工したりすると、掌の油に反応して施工後に手の跡がうっすら浮かび上がって『浮かび上がる謎の手形騒動!』が勃発すること。あまり米ヒバに慣れていない大工さんが施工された時に、完成して数年後に手形が浮き出て、騒動になったという今では笑い話のような事例もありました。当時はインターネットも無く、自分自身も(周囲も)変わった樹種に対する知識も乏しかったので、売る方も使う方も試行錯誤の日々でした。未熟でしたが、新しい樹種に出会える喜びと発見がありました。

当時でも米ヒバそのものは決して新しいという樹種ではなかったものの、樹種に対する知識は『』という時代でしたので、その木について詳しい人に聞いてそれを聞くという「伝言ゲーム」のような方法で情報が回っていたので、途中で人の主観が加えられたり、随分脚色がなされていることも多かったように思います。それでも受け入れられたおおらかな時代でした。いくらこちらが売り煽ろうとも、結局のところ使っていただく人がいてこその材木屋ですので、私の中での小さな米ヒバブームは何度か繰り返され、今はすっかり落ち着きました。


今回、米ヒバと一緒にいくつかの樹種が混在していたのですが、表面が焼けと汚れですっかり黒ずんでいたので、樹種を確認するため端を少しカットしました。米ヒバだとカットした断面から、ぶわっと米ヒバ独特の臭気が噴き出します(というぐらいの勢い)。なのですぐに樹種の選別ができます。いかに表面が汚れていてもこれで一発です。結局樹種の怪しそうな材は全部小口をカット。どんないい材でも樹種が分からないものは売れないので、とりあえずこれで準備完了。今回の米ヒバミニ祭りの賑わいやいかに?!




弊社は少人数の零細材木屋なので、ちょっとまとまって材が入るとすぐに『小さなOO祭り』が勃発します。例えば先日もご縁があって、製材業から撤退される材木屋さんからまとまって材が入ったのですが、その中にイエローシーダー(以下米ヒバ)がありました。1m程度の短尺材から4mの長物までサイズもいろいろ。その多くが無節の化粧材。なので当然のように『米ヒバミニ祭り』が開催!しかし、そもそもの量がしれているので、祭りはすぐに息切れ。出足はいいものの、すぐに終わってしまう田舎の花火大会のように。

しかし規模は小さくとも、ミニ祭り開催の狼煙(のろし)は上がったわけで、弊社としての狙いは、「あ、量は少なくともそんな材も持っているんだ」と周辺の工務店さんに知っていただくことにあります。早速その効果が出て、外部の化粧垂木や見切り材など、水によく耐えるという米ヒバの特性を生かした用途でのご注文がありました。量の問題ではないのです、ご縁があって手に入った材を、その特性を活かせる用途でしっかり使っていただくことが大事。あなたならきっとそうしてくれるだろうからと見込まれていただいたわけですから。

とにかく私の手元に来た材についていえば、右左で売り流すなんてことはしたくない。梱包を開けずにそのまま買っていただけるならありがたいことじゃないかと思われるでしょう(実際その通りではあるのですが)。しかしそこが貧乏性たる所以で、中身を見てみたくなるのです。ああ、こんな杢か、こんな肌触りで、これぐらい重たいのかと・・・。弊社は製材所ではないので本格的に挽くことは出来ないものの、自分で削って材面を見てみたいし、削った大鋸屑がどんな色なのかも見てみたい。更に端っこが余れば【森のかけら】にもしたい。

最近はやや本末転倒気味になりつつあって、そこが問題ではありますが、材木屋としては決して悪いたしなみではないと思っています。量はわずかながら樹種だけは多いので、小さな祭りが開催されることで祭りの主役たるそれぞれの樹種のことを顧みるいい機会にもなります。ただ、規模が小さいためあっという間に祭りが終わってしまうため油断していると自分自身が乗り遅れるなんてこともしばしばあったりするのですが(具体的に言うと、写真とか撮って張り切ってこれから宣伝しようと思っていたら、その前に全部売り切れたとか)。明日に続く・・・

ところで肝心の米ヒバ(イエローシーダー)ですが、この辺りでは『米ヒバ』の呼び名が一般的なので、木材にイエローシーダー(Yellow  cedarの頭文字である『Y.C』と書いていても、「これ何?」という方多数で、米ヒバがイエローシーダー(またはアラスカ・イエローシーダー)と呼ばれることもご存じない方も少なくありません。その特徴が日本の『青森ヒバ』に似ていることから、アメリカのヒバという意味で『米ヒバ』と命名されたわけですが、昔は随分世話になり『今日のかけら』で取り上げたのもかなり早かった覚えがあります。




酒飲みの多い高知で、キリンビールが打ち出したCMのキャッチコピーが「高知がいちばん」。この言葉が高知の人々の琴線に触れて、高知におけるキリンのシェアを押し上げていきました。なにしろ離婚率が1位から2位になっても悔しがるという県民性ですから、「いちばん」が大好き。更にキリンのCMの快進撃は続きます。ラジオCMでは「電車が高知に入りましたので、ビールはラガーに切り替えさせていただきま~す」、飛行機バージョンでは「高知上空に入りましたのでビールはラガーに切り替えさせていただきま~す」!

このあたりはマーケティングの本としても非常に面白いのですが、それらの根底にあるのは著者のキリン愛。著者は決断を迫られる際にその基準としているのは、「この会社は自分がリスクを背負ってまで立て直さなくてはならない価値のある会社なのかどうか」。高知では劇的なシェア回復をする一方、アサヒのスーパードライに対抗すべく飲みやすい味に変更したキリンは全国的には大苦戦が続きます。濃い味が好みの高知でも、味の変更は総じて不評で、「こんなたっすいビールは飲めんぜよ」と不評だったのです。

たっすい」とは、高知弁でみずっぽくて飲みごたえがないという意味。その後この言葉はキリンのポスターにも使われ話題にもなりました、「たっすいがいかん!」。著者はダメもとで本社に味の変更を相談します。しかし味の変更は本社マターのことなので受け入れられるはずもありません。ところが、その頃に視察に高知を訪れたキリンビールの社長との間で「事件」が起こります。営業マンたちの日々の頑張りに刺激を受けた内勤の女性スタッフが、「社長はお客様に対して卑怯です」と詰め寄ったのです。

そしてありえない陳情が結果的にキリンの味を元に戻してしまうのです!このあたりのいきさつについては是非本を買って読んでいただきたい。いやむしろ鉄矢さんのラジオを聴いていただきたい。その経緯を聴いたとき、私は鳥肌が立つような感動を覚えました。ひとつの目的のために働くということのチームワークと醍醐味。読み終わった後には、無性にキリンビールを飲みたくなります。このラジオを聴いて、本を読んで以来、そんな支店長のいたキリンビールという会社の社風が好きになり、その後はずっとキリンビール贔屓です。

この後、愛媛支店の話も出るのですが、そこでは激しいアサヒとの営業合戦が繰り広げられます。業界も規模を違えど、自分の信じるものを売る、信念を届けるという志は相通じるものがあります。モーレツぶりは今の時代にはそぐわないかもしれませんが、『人間の能力は無限である』、『現場に本質がある』はいつの時代も変わりなし。そして私が肝に銘じているのは、「戦力の逐次投入は必ず失敗する」と、「ブランドはメーカーのものではなく、お客様のものである」ということ。経営は実行力、言ったことはやる!〔完〕




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