森のかけら | 大五木材


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昨日はナシはナシでも山梨県の話でしたが、そもそもという言葉の語源については諸説あるものの、その果実を切ると果肉が白いことから「中が白い」→「中白(なかしろ)」が転化してナシになったというのが有力とされています。他にも中身が白くて「色がない」→ナシ説や、風があると実のつきが悪いことから「風無し」→ナシ説、また江戸時代の学者・新井白石によると中心部ほど酸味が強いことから「中酸(なす)」からナシになったという説もあるようですが、いずれもナシの見た目や味に根拠があるようです。

梨といえば思い起こされるのは、梨園という言葉。歌舞伎界を指す言葉として知られていますが、もともとは演劇界を指す言葉。唐の玄宗皇帝は、音楽や舞踏の愛好家で、宮中の梨園に指定や宮女を集めて舞楽などを教えていたため、そこで音楽や舞踏を学ぶ者のことを「梨園の弟子」と呼んでいました。それが転じて演劇界の事を指すようになったのですが、日本では歌舞伎が生まれたころから梨園という言葉を使っていたため、『歌舞伎界=梨』という言葉が定着したということのようです。

さて、そんな梨ですが、材としてのナシを見たことのある人は多くないと思われます。普通の材木屋にはまず置いていません。フルーツウッドを愛するビーバー隊にとっては、こういうマニアックな材を活かして世に出して人々にその魅力を知らしめることこそが使命なのであります。ナシは材質が緻密で驚くほど滑らかです。だだ大きな材が得にくいため、どうしてもスプーンや木の器などの小物としてしか利用されることがないので、材としての知名度は他のフルーツウッドと比べてもかなり低いのが実情。

フルーツウッドに関しては私自身もまだまだ経験が浅く、加工手段や乾燥方法なども試行錯誤で、まだまだ出口にまで辿り着けていませんが、もしナシがヤマザクラなどと同じくらいの供給力あらば、もっと陽の当たるステージに立てていたはず。ナシやリンゴ、ミカンなど甘い果実のつく材は、虫の害を受けやすく、乾燥とともに材面が褐色にくすんでいくので、伐り旬や乾燥、加工にも独特のノウハウが必要です。今まで材の確保に苦心していましたが、どうやらこれでその心配もなくなったようです。

一層、ナシの出口開発に力を入れたいと思います。ナシに力を入れる理由のひとつに、その名前ゆえにナシが言われなき汚名を着せられている事があります。それはナシが無しに通じるということから、忌み嫌われ「有りの実」などと反語で呼ばれたり、縁起が悪いからと庭などに植えるのを避けられてきたこと。そんな汚名を晴らすべく、ビーバー隊としてナシの素敵な出口を見つけたい、見つけなければならない!決してその決意が『妄想話』→『妄想は無し(梨)』なんてことに終わらぬように!




しばらく間が空きましたが気を取り直して、ビーバーハウス紀行の続き。ビーバーハウスの製材土場にはいろいろな木がところ狭しと置いてあって、木の丸太の写真を撮るには絶好の機会!製材機を持たない弊社の場合、板になってやって来ることが多くて、板の材面や加工後の写真はいくらでも撮れるものの、その前の姿・丸太の状態や樹皮の様子などをカメラに収める機会が少ないため、こういう場面に出くわすと一気にテンションが上がってしまうのです。次のターゲットは『ヤマナシ(山梨)』の丸太。

4年ほど前に家族で岡山に遊びに行ったときに、町の天然記念物である推定樹齢500年生のヤマナシ(山梨)の木に出会った話をアップしました。普段よく口にするナシですが、材としてのナシに遭遇する機会はなかなか無くて、【森のかけら】でもしばしば欠品する木のひとつです。ナシについては、食用として品種改良が進み、有名なところでは二十世紀や長十郎など多くの品種がありますが、【森のかけら】ではあまり細かな分類はせずに、食用に栽培しているものと山に自生するもの含めて『ナシ』とさせてもらってます。

実際に製材・加工してみると栽培されたものと自生しているものでは、色合いなどに違いが見られるものの、供給が安定しないこともあって、とりあえあず外国産の『西洋梨/ラ・フランス』とは区別しています。弊社の近くは愛媛でも有名な柑橘栽培の産地なのですが、ナシは少なくて稀に剪定するという話をいただくものの、思っていた以上に入手しにくく材の確保には苦労しています。中四国では鳥取県の二十世紀が有名で、その栽培面積は全国1位で、全国の収穫量でみても約8%を占めて第5位です。

日本梨の収穫量でみると、千葉、茨木、栃木などの関東地方が上位を占めているようです。ちなみにビーバー隊長のところにあった梨は三重県産で、三重は全国で20位前後の収穫量があるようです。そこで気になるのが梨の名前を冠する『山梨県』の事。県名の由来は、ヤマナシが沢山採れていたことのようですが、不思議と現在では梨の産地というわけでもない。奈良時代には既に「山梨郡」という地名もあったようです。その説植物以外にも、山の無い平らな土地が多かったという「山無し」説もあるようです。

いずれにしても県木もカエデ、県花もフジザクラでどうも梨の影が薄い。調べてみると、山梨県下の市町でもナシを市木、町木に指定しているところは無いようで、収穫高も全国40位前後と愛媛よりも下位。折角県名に木の名前を冠していながらも、それを活かしていないのは勿体ない話のように思いますが、振り返ればわが松山市も同じことか・・・。中にいると普段は気にしていない事も外から見れば冷静にいろいろ見えてくるのはいずこも同じ。明日はもう少し木としてもナシについて。




ビーバーハウスの土場に転がっていて、さあこれから製材しましょうとなっていた丸太がありました。それがこちらの『ナナミノキ』。モチノキ科の広葉樹ですが、今までほとんど耳にしたこともないはずの木なのに、なぜかその名前を最近聞いたような・・・そうだ、ここに来る前に酔った瀧原宮で柳田さんに教えていただいたばかりではないか!滝原宮で見たのは小さな若木だったので随分とイメージが違いますが、今までは見ていたはずなのに意識してなくて見えていなかったのが意識することで急に見えるようになった例。

私はこういうことを『目に前に大きな未確認飛行物体(UFO)がいたとしてもその事を認識してなければ見えていない(例えば鳥や飛行機として認識してしまう)のに、UFOに関する情報を得て、認識した途端にそれらが自分の周辺で沢山現れる、そういう事象に急に多く遭遇するようになる法則』だと考えています。自分で長いわ~!と突っ込みたくなりますが、実際そうやって目ではみていたはずなのに、見えていなかった(認識していなかった)木のなんと多いことかと自分でも驚いているところです。

この『ナナミノキ』なんてまさにその代表例。木って、そうやって身近で教えていただける人がいれば出会える機会は実は思っている以上に沢山あるものです。ところで、このナナミノキは以前も触れましたが、愛媛では『アオキ』と呼ぶ地域もあります。それはこの木が常緑樹で葉が表も裏も青い事に由来していて、アオというのは『日本における青と緑の混用』です。だから実際には緑の葉。実は赤くて、葉は緑、肌は白という典型的なモチノキの特徴。恐らく板に挽いてしまえば他のモチノキの仲間とたいして差はないように思えます。

にもかかわらず、『ナナミノキ』という名前から入ったために、この木は私の中では唯一無二の木のような存在になってしまったのです。しかしモチノキの仲間って板にしたり小さく加工してしまうと、特徴が似すぎていてほんとんど識別不可能なのではないかと思います。実や樹皮や葉のついている丸太の状態ならまだしも、完全に耳を断って板状になってしまえば、どれもこれも同じに見えます。なのでこういう風にモチノキの中でもその種類をしっかり特定できている木はありがたいのです。いずれ分けていただくことになりそう・・・




昨日、『シャリンバイ(車輪梅)』の事を運命的な出会いのようなテンションで書かせていただきましたが、以前から気になっている木があって、たまたまその名前がテレビやSNSで目や耳に入ったり、新聞や雑誌でそれに関する記事などと出会ったりすると強く脳に刻まれ、それが風化されないうちに再びその名前に出会ったりすると、これってもしや運命の赤いとで結ばれていたのでは~!なんて風に受け止めてしまうおめでたい人間なので、日々至る所で「運命の出会い」に感激するのに忙しいのです。この『ハナノキ』だってその1つ。

それまで名前すら知らなかったその木に初めて出会ったのは、昨年の6月の事。日本木材青壮年団体連合会(木青連)の全国会員福井大会の際に、先行して北陸入りして待望の『兼六園』+『金沢城』を観光中に、『金沢城公園』で初めてハナノキに巡り合ったのです。その時の様子については、ブログをご覧いただくとして、それからおよそ1年後に今度は三重で薄い板に挽かれたハナノキに遭遇。すると私の中の記憶はこの2つのたまたまの出会いを運命的なつながりだったかのように強く錯覚してしまうのです。

カエデ科カエデ属の落葉高木で、春先なると紅色の花が咲いて遠くから見ると、赤い花飾りのように見えるところからこの名前がつけられた木なのですが、ハナノキは日本の固有種で、長野、岐阜、愛知のみに自生しているとされています。愛知県では県木にも指定されていますが、この材もそちら方面からの仕入れだったか、ちょっと記憶が曖昧・・・。産地はともかく、板になってしまうとカエデの仲間なので、見た目の印象は「カエデ一族」。材としての特徴云々ではなく、そのネーミングだけで欲しくなってしまう木のひとつ

まあそう言ってしまうと身も蓋もないのですが、国産の硬質で白っぽい木ってどうしても印象が似たり寄ったりになってしまうのは仕方のないところ。材としてきわっだった特徴の無い場合は、名前から入るべし、というのが弊社の方針。なので、ハナノキはその名前だけで弊社の在庫に名前を連ねる資格があるのです。ただ、ビーバーハウスでは少し薄めに挽かれる傾向があるので、それに合わせた『出口』を早めに確立させる必要があります。これで二度目、三度出会ったらその時は有無を言わずに買うしかないっ!




ところで、これも『引き寄せの法則』なのかもしれませんが、その後思わぬところでシャリンバイに遭遇することになりました。それは、道後で日用品・台所用品・雑貨などを販売している『BRIDGE さんに行った時の事。店主の大塚加奈子さんは『えひめのあるくらし』のメンバーであり、人気商品『丸いまな板』をコラボしています。それを納品に行った際に思わずシャリンバイと遭遇!それがこちらのシャリンバイのドライフラワー・リースです。この美しいリースを制作されたのは二名良日(ふたなよしひ)さん。

このドライフラワーのリースは、『草輪 Wreath』という作品で、シャリンバイの他にもネコヤナギやロウバイ、タケ、モミなどが展示されていました。初めて拝見したのですが、その造形美に体全身に電気が走ったような衝撃を受けました。これは・・・素晴らしい!いろいろな小枝と葉と実で作られているのですが、これも『森の出』の1つのカタチ。今まで200種類を超える材を扱ってきたものの、その対象は幹であり、その先にある小枝や葉、実については、興味はあったもののモノづくりの対象とは考えていませんでした。

正直やられた~という気持ちと、発想の面白さから軽い嫉妬を覚えながらジックリと拝見させていただきました。その後、二名さんのホームページを拝見すると、四季ごとの美しい草輪がズラリと並んでいました。嗚呼、ダメなんです。こういうワンスペックの多品種にもの凄く弱いんです。BRIDGEさんに伺った時には、入荷した結構時間が経過していたらしく、いい感じのドライフラワーになっていて枯れた味がでていたのですが、入荷時はまだ葉も瑞々しくて美しい緑色、実も青かったようでその経年変化の様子も素晴らしい!

ビーバー隊長と出会ったから私の中のストライクゾーンも徐々に広がってきました。それまで反応もしなかった(私にとってのボールコース)にも体がピクッと動くようになり、時々手が出るようになりました。まだなかなかヒットゾーンには運べないものの、打てる球が増えたことは素直に嬉しいし、こちらの打ち方も進化しているような気がします。たぶんビーバーハウスでシャリンバイの木を見ていなかったら、BRIDGEさんで草輪のリースを見てもここまでの感動はなかったはず。見えなかったものが見えてくるって楽しい~!




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