森のかけら | 大五木材


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ムイラカチアラでなければ~!というわけではないですが、面白そうだから使ってみようかというご縁もありがたいものです。数か月前の話になりますが、飲食店のテーブルにムイラカチアラを使っていただきました。ウッドデッキではなくて、以前から倉庫に眠っていたムイラカチアラの板材をサワグルミで挟んだテーブルに仕上げていただきました。ウッドデッキ仕様で仕入れたムイラカチアラは、鮮やかな代赭色(たいしゃいろ)に黒い縞柄が特徴的ですが、こちらはもっと濃くてムイラカチアラだと言われても分からないほど。

堅牢で、ロウでコーティングしたように滑らかで光沢もあることから現地では、ナイフなどの柄やバターナイフなどにも使われているぐらいなので、厚みは薄くとも頑丈。こんな舌を噛みそうな名前の木に興味を示して使ってくれたのは、いろいろな意味で個性的な店舗屋・すずかけ商会さん!ありきたりの木を使ったってつまらないという点でつながっているのですが、多品種を扱う材木屋としてはこういうお客さんとどれぐらい繋がっているかという事がなによりも大事。誰も使った事がない、そんな木に萌えるという!

他に誰も使っていないという優位性の裏には、実際に使ってどうだったかという経験値が無いという不安もあるにはありますが、そんな事考えていたら世界中の木なんて相手に出来ません!そこは思いを共有できる仲間と地雷原を駆け抜けるしかないのですっ!(とはいえ最低限の武装はしておきます。例えば念入りに乾燥させるとか。先に自分で小物を作って触感を確かめるとか。調べられる限りの情報は集めておくとか)まあ、それは少々大袈裟ですが、冒険心溢れる店舗屋さんと寛容なオーナーさんに恵まれています♪

という事で、今回テーブルにムイラカチアラの板をご利用いただいたのが、松山市二番町に今年の夏にオープンした『鉄板焼鳥バイキング 伊鶏家(いこや)ハットリ』さん。オーダーバイキングのお店です。ムイラカチアラ以外にも、カウンターにはサぺリの一枚板やキハダやらいろいろと使っていただきました。ムイラカチアラのようなネームバリューの無い木だと、設計から工務、営業、お施主さんまで越えなければならないハードル多過ぎて、途中で思いが途切れる事も。まずは名前を知っていただくことから始めます!

鉄板焼鳥バイキング いこや 伊鶏家 ハットリ

定休日   :不定休




慌てて倉庫の中で眠っていたムイラカチアラの板材も削ってみたのですが、こちらには縞柄がほとんど出ませんでした。120☓30㎜のウッドデッキを見ても、すべての木に縞柄が出るわけではないので、ゼブラウッドみたいにどれでもガッツリ縞が出るわけではないのかもしれません。木取りによっても出る出ないはあると思いますが、縞柄はなくとも表面をロウでコーティングしたような滑るような独特の質感は共通です。そのため加工した直後に重ねて運んだりすると、滑り抜けたりするので注意が必要です

本来はウッドデッキに使うつもりで仕入れたモノの、その縞柄に魅了され、これをウッドデッキに使って色褪せさせるのはモッタイナイと思い、何かしら別の出口がないかしらと思案。滑らかさも生かそうと、丸く削って『円い森』にしたこともあります。色合いも縞柄も(全部に現れるわけではないですが)個性的なのですが、残念ながら知名度が無いのと覚えにくい名前が災いしてなかなか売れず・・・。他にもいろいろムイラカチアラの出口を探ってみたものの、やはり名前が知られていないというのは厳しい

まあ逆の立場になって考えてみれば、同じモノを買うにしても見たことも聞いたことも無い木よりは、自分が知ってる木や少しでも関わりのある木を買いたいと思うのはひとの心情。私のように、むしろ知らない木だからこそ萌える!っていうひねくれ者でも現れないとなかなか売るのは難しい。普通にウッドデッキで売れば売れるのでしょうが、ひとたび目をつけたからには、何とか自分なりにこの木が生きる(この木でなければならないような)出口を見つけてあげるのが、うちに来てくれたこの木に対するせめてもの礼儀。

そしたら、そんなムイラカチアラに対してネットである問い合わせが!木の大好きな友人がいていろいろな種類の木を収集しているらいしのですが、その彼がムイラカチアラはまだ持っていなくて、是非プレゼントしたいという事。コレクターにプレゼントされるという事で、購入されたの少量でしたが、量など問題ではありません。そういう方に繋がってご縁が生まれた事がありがたい!世の中、思っている以上に変人・奇人・変わり者(失礼)は多いもの。きっとムイラカチアラじゃなければ!っていう人がいるはず。




★今日のかけら・#222【ムイラカチアラ/ゴンサロアルベス】 Muiracatiara/Goncalo Alves ウルシ科・広葉樹・中南米産 

地域によって木の名前もさまざまですが、中にはとんでもなく覚えにくかったり言いにくい名前の木もあります。例えば中南米原産のこの『ムイラカチアラ』もそんな木のひとつ。Muiracatiaraを強引に日本語読みしているので、「ムイラカティアラ」とか「ムイラクアテイアラ」など本によって表記もさまざま。あまりに言いにくいので別名とかないのか調べると、別名もゴンサロアルベスGoncalo-Alvezというこれまたなかなか覚えにくいし発音しにくい名前。他にもいくつかの別名があるものの一般的なのはこの2つ。

材木屋の人間でも、そんな木なんて実物どころか名前も聞いたことが無いぞ!って言われる人が多いかもしれませんが、それは日本に入ってくるこの木の用途がほぼウッドデッキに限られているため、硬質のウッドデッキ材を扱われていないと縁の無い木だと思います。最初に私がこの木に出会ったのは今から15年ぐらい前の話。たまたまこの木に出会って、売り先も無いのにとりあえず興味本位で買ったのですが、その時はウッドデッキ材ではなくて厚み25㎜の板材でした。買ったはいいが情報も乏しく売るに売れず。

それから永い間倉庫の奥で埃をかぶることになるのですが、それから数年後にムイラカチアラとの思わぬ出会いがありました。弊社では外部のウッドデッキには硬質の高耐久性木材を提案しているのですが、その供給元は愛知の㈱ランバージャックさん。ランバージャックの社長の渡邊健太とは、日本木青連時代に出向していた頃からのつき合いですが、中南米産の硬質木材のオーソリティで私が絶大な信頼を寄せるプロフェッショナルの材木人のひとりです。こういうその道の専門家がいると本当に心強いのです。

そこで数年ぶりに出会ったのが、ウッドデッキ材になったムイラカチアラ。出会った時がご縁という信念で、少しだけ仕入れさせていただきました。元々持っていたムイラカチアラの板は、かなり経年変化が進んでいたのと、出番もなかったので削りもしなかったので意識もしてなかったのですが、この木には『タイガーウッド』という別名もあるように、鮮やかな代赭色(たいしゃいろ)の中にかすれたような淡い黒の縞柄が現れます。すべての木に縞が現れるわけではないのですが、倉庫に眠る木がこんな木だったとは!?




先日、『カシワ(柏)』の木が放射状に割れやすいという話をしましたが、それでも少しでも取れたらラッキーという思いで【森のかけら】に加工しているのですが、残念な結果に終わることが多いです。割れやすい木についてはどうしても歩留まりが悪くなってしまいますが、それでも一般的な材木屋に比べれば「ありえない歩留まりの高さ」だとは思います(笑)。割れや欠損の出た「かけら」はさすがに一軍のマウンドに送り出すことは出来なませんが、だからといって破棄したりするような罰当たりな事はしません!

ちょっと話が横道に逸れますが、時々「無料でいただける廃材ってありませんか?」という問い合わせの電話があります。キャンプの焚火や薪ストーブに使うという事らしいのですが、「廃材」という言葉に必要以上に反応してしまって、大人げも無くつい言葉を荒げてしまう事があります。「無料」という言葉に反応するのではなく、「廃材」という言葉に条件反応して「うちに端材はあっても廃材はありませんっ!」って語気を強めてしまう事があって、後から言い過ぎたと反省するのですが、脊髄反応なので勘弁して下さい。

木を骨の髄までしゃぶり尽くして最後の最後までどうにかして活かそうという超貧乏人根性で、モノづくりをしている人間からすれば、「廃棄=どうにかして活かすことを断念して捨てる」という言葉が許せないのです。まあ言った方にすれば何の悪気も無いのは十分に分かっているのですが、もうこれは脊髄反応みたいなものなので・・・。まあそういう事で傷や割れ、虫穴のあるような「かけら」とて無駄にはしません。以前にも取り上げましたが、それらを30種集めてビニールに入れた『夢のかけら』として世に送り出します。

あくまでもB品(嗚呼、本当はこの言い方にもかなり抵抗があるのですが・・・)ですので、どの樹種が入るとかは一切分かりません。当然樹種の指定もできませんが、『かけらマニア』を中心にそれなりに売れておりまして、現在30種揃えるのも難しい状況。『カシワ』や『クヌギ』みたいに割れが出やすい木とか、『ドロノキ』みたいに青染みの出やすい木とか、樹種が偏りやすいので特定の木ばかり溜まってしまいます。B品が出ないに越したことはないのですが、それを心待ちにしているマニアもいるので、微妙な板挟み。




先日、木の小口に何度も何度も同じ名前を書いていたらゲシュタルト崩壊するという話を書いていて、それがもっと自覚できるような写真を撮った覚えがあったと思っていたのですが、画像データのストックが膨大になりすぎていて、検索できずにいたら、偶然見つけました。そう、それは『カシワ(柏)』に名前を書いていた時のことでした。そもそも木編に白という組み合わせ自体が、地のバランスとしても微妙だと思うのですが、マジックで急いで書いていたらだんだん訳が分からなくなってきて、こんな字本当にあったのかなんて?!

カシワ(柏)の木って、乾燥に伴う割れが激しいので、芯を外して小割していてもクラックが入って、わずか35㎜角の【森のかけら】ですらうまく取れないことがあります。クラックがどこまで深く入っているか分からないので、とりあえず加工してみて使えるものだけ使うようにしているので、見た目にはかなり割れているものでもとりあえず保管しておくので、他の木よりも名前が書きにくいということもあります。まあ、本当はこういう木こそきちんとこまめに小口も切断しておけばいいのでしょうが。

ゲシュタルト崩壊が始まると、他の文字にも影響が出て来て、そういう時に書いた名前って後から見直しても自分で何と書いたか分からないことがあったりして・・・お粗末な話です。マジックなのでなるべく省略して書きたいので、例えば『ポートオーフォードシーダー』ならば「POC」とか、『ブラック・ウォールナット』なら「BW」のように、一般的に使われている略語ならいいのですが、その時の感覚で自分で勝手に省略して言葉を作ったりすると、後々名探偵の出番となります。なんでそんな言葉を思いついたのか・・・?

改めてカシワの写真を見ていて感じたのですが、【森のかけら】を作り始めた時には、わざわざ北海道の広葉樹を製材されている会社にお願いして、北海道からカシワの端材を送ってもらっていました。当時はまさか身近な所にカシワの木がある(そういうルートがある)とは考えてもいませんでした。カシワに限らず全国の仲間に呼びかけてかけらの原料を集めていましたが、今ではその多くが地元で手に入るようになりました。えっ、どこで?と思われるかもしれませんが、まさに蛇の道は蛇。人脈こそ材木屋の命




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