森のかけら | 大五木材


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この数日間、木と鳥の話を書いてきましたのでその関連でもうひとつふたつ。木と鳥が絡む話、何か他にないかなあと思っていたら、そういえば数年前にも同じお題で悩んでいた事を思い出しました。そう思ってブログを検索したみたのですが見当たりませんでした。しかし確かに書いた覚えがあると思って記憶の糸を探っていたら、書いたのは『適材適所』の方でした。平成28年の鳥年に「鳥(酉)と木にまつわる話」というタイトルで定番のバーズアイメープル孔雀杢などの話を書いていました。早いものであれからもう3年・・・

他にも「キツツキ(啄木鳥)」の事にも触れていましたが、キツツキは鋭いクチバシで木の幹を叩いて穴を開けて虫を捕食します。動画ではその様子を見たことはあるのですが、実際にキツツキが木に穴を開けている姿やその音を聴いたことはありません。森の中に入れば、風の音や、枝が擦れ合おう音、動物たちの鳴き声など様々な音に溢れているので、もしかしたらキツツキの音も耳には入っているものの、それがそうなのだと気づいていたないだけなのかもしれませんが。キツツキは木を叩いて音の微妙な違いで中が空洞かどうかを見極めて虫を捕食しているそうです。

最近、丸太のままで愛媛産の広葉樹を仕入れる機会も増えてきたのですが、それに伴い丸太の中に住む「住人たち」と邂逅する機会も急激に増えています。耳付き板を得ようとすれば、硬い樹皮の裏の軟らかくて美味しい(だろう)部分をねぐらとする彼らと衝突するのは必然。むしろ穏やかに暮らしていた先住者の彼らにとって、後からやって来て住処を勝手に切り倒してねぐらを奪い追い出し抹殺させてしまう我々人間の行為は侵略そのもの。いつも申し訳ないという気持ちはあるのですが、こちらも家族を養わなければならない身。心を鬼にして彼らの正当性に耳を塞ぐしかない。

虫に限らず、鳥たちの終の棲家でもあったかもしれないわけで、木を伐るという事、木をなりわいにするという事は、罪深いことだとは自覚しています。だからこそ彼らから奪った木は、最後の最後まで決して無駄にすることなく有効に使わねばならないし、そうすることが自分にとっての免罪符なんですが、そんな事も彼らにとってはどうでもいい話なんでしょう。それを言い出したらそもそも生きている素材・木そのものの言い分はってことになりだしてしまうのですが・・・でもそんな事も日々考えるような材木屋でありたいです。

 




ちょっと用事があって久しぶりに久万高原町井部健太郎君のところへ。さすがに松山市内よりは少し涼しく感じましたが、今年は久万でもかなり暑かったようです。打ち合わせをするために建物の中に入ると、何やら動物の鳴き声が・・・近づいてみると段ボール箱の中に野鳩が二羽。もっと小さな時に巣から落ちてしまっていた雛を健太郎君が救出してここで育ててて、まだ飛べないもののかなり大きくなってらしい。昨日までブログでヒッチコックの『』の事を書いていたので、見た瞬間ギョッとしてしまいましたが、敵意はなさそう(笑)。

情けない話ですが、私は生の動物全般苦手でして、これぐらいの小鳩ですら気軽に触ったりは出来ません。恐らくかなり小さな幼少期に犬に噛まれたことがトラウマになっているのだと思うのですが、もしかしたら子どもの頃に見まくっていた映画の中の、『』や『黒い絨緞(蟻の大群)』、『グリズリー(熊)』、『ジョーズ(鮫)』、『テンタクルズ(蛸)』、『キラービー(毒蜂)』、『燃える昆虫軍団』などの影響で動物への恐怖心が増幅され刷り込まれていってしまったからなのかもしれません。それならそれで本望なのですが・・・

おそるおそる鳩と接していたら、その脇に色々と面白そうなものを発見。健太郎君も本業は林業ながら、早い時期から非建築分野の出口も探っていて、いろいろな商品開発を行ってきています。その中には、以前にご紹介したスマートフォンスタンド『杣響音(SOMA-BEAT)』もあります。他にも自社以外のお付き合いのある企業の商品なども展示されていましたが。その中に気になるもモノが。以前に、久万高原町産のヒノキの板を薄く削って天然木極薄突板シートにしてもらった事は知っていましたが早速製品になっていました。

それがこの天然木極薄突板シートを使ったブックカバーと栞。突板といっても裏地にもシートが貼ってあって少々曲げても割れたりしないようです。ブックカバーは切り株や木の形にレーザーでくり抜いて柄のある布を当てています。栞もレーザーで精緻な言葉が彫られています。ちょっと時間がなかったので詳しい話が聞かなかったので、こちらの商品についてはまた改めてご紹介しますが、着々と非建築分野への出口商品が整いつつあります。いずれこれらの商品群をまとめたプラットフォームを作れればと構想しています。もうあまり時間がない、急がねば・・・!

 




今日のかけら プレミアム020 【バーズアイメープル】 Bird’s eye maple   カエデ科カエデ属・広葉樹・北米産

今まで何度となくこのブログにも登場してきながら、「今更説明するまでもなく皆さんご存知の」的な感じで詳しく触れることなくスルーを繰り返してきたのが、この『バーズアイメープル(以下BEM』です。学生とかが木の事に興味を持つようになって、杢という分野を調べた時に一番最初に登場するのがこのBEMだと思います。個性的な杢の代表格としてそれぐらい有名で、弊社に木を求めて来られる一般のお客さんでも、この名前が出ると「名前は聞いたことがある」と言われる方がいらっしゃるほど認知度は高い木です。

なので、そんな有名な木をあえて説明するのはなんだか腰が引けるというか恥ずかしくもあって、ついついここまで引っ張ってきてしまいました。今月の端材コーナーで取り上げましたので、この機会に『今日のかけら』として取り上げます。このBEM、名前は知っていても実際に使ったことがあるという方は少ないと思います。なぜなら高額だからです。メープルの森があったとして、良質なBEMが採れるのは1万本に1本ともいわれるぐらいその希少性は高いのです。勿論この話にも諸説あります。尾ひれ背ひれがつくのも高級材ならではのある意味名誉。

BEMという種類の木があるわけではなくて、ハードメープルの中に小鳥の目玉のような小さな杢が無数に現われたものを、『バーズアイメープル(鳥眼杢』と呼んで分類しています。なのでその特徴はハードメールなのですが、加工する際に杢目で欠けたり、弾けたりすることがあるので、注意しないと高額な材が使い物にならなくなるのでご注意ください。当然その鳥眼杢が沢山広い面積に出れば出るほど価値は高まるのですが、弊社はそんな超高級銘木とは無縁の材木屋でして、大きなサイズのBEMは持ってもいませんしあまり興味もありません。

そんな立派な超高級銘木であれば、それに相応しい場所とそれを扱うに相応しいひとがいると思っているので、あまり高いレベルになってしまうと、嘘と思うぐらい急激に興味が無くなってしまうのです。なのでうちにあるのはBEMのミニミニサイズばかり。具体的には、320×105~120×24㎜程度の短くて薄くて狭い板。私が愛でるにはちょうどいいサイズ。何も大きいばかりが銘木ではありません。高いばかりが銘木でもありません。いかに人の眼を楽しませて愛でてもらえるかというのも、銘木の要素であり、ひとによって銘木の基準も変わるのです

ハードメープルには面白い杢が出やすく、BEM以外にもカーリーなど個性的な杢が出て眼を楽しませてくれます。絹糸光沢と呼ばれる独特の触感も滑らかで、品質の良さが比較的分かりやすい木だと思います。銘木なんて聞くと、お高いんでしょうとつい腰が引けがちですが、サイズが小さければ決して手が届かないようなものではありません。木工愛好家の方にはぜひ一度使っていただきたい。【森のかけら】の中ではプレミア36に分類していますが、さすがに35㎜角になると鳥眼杢がなかなかうまく取り込めなくて苦心しています。

 




名作『』は、ダフニ・デュ・モーリエの原作を元にアルフレッド・ヒッチコックがメガホンを撮った動物パニック映画ですが、もしこれからこの映画を観るという人は、どこかで観たことがあると思うようなシーンやシチュエーションがいくつも登場すると思います。それらはすべてこの作品が元ネタとなっているのです。何の理由もなくある日突然、鳥たちが一斉に人間を襲い始めたり、ジャングルジムに無数にたかるカラスの黒い群れといった構図など、もはや紋切り型と呼ばれるほどに使いまわされていますがすべてここが原点なのです。

私がめてこの映画を観たのは小学生の頃でしたが、その時の衝撃は今でも忘れられません。ちょうどこの作品のヒットで、動物パニック映画が雨後の筍のようにバンバン製作された時期で、A級B級含めテレビでもよくその手の作品が放送されてよく観ていましたが、蜂やら蟻やらワニ、蛇、トカゲ、サメ、熊などなど。秘密実験で巨大化、狂暴化したり、アマゾンの奥地であったり、軍の秘密基地の近くであったりと、シチエーションが特別だったのですが、『鳥』はどこでも誰にでも起こりそうな話だったので、明日でもわが身に降りかかりそうな恐怖感が半端ではありませんでした。

ストーリーはいたってシンプルで、突然鳥が人を襲うというものですが、結局その理由は分からないというところが不気味なのです。普通ならば、製作サイドから理由が無くては観客が納得しないとNGが出されるところでしょうが、サスペンスの神様と呼ばれたヒッチコックは、切れ味抜群の演出で最後までひと時も飽きさせることはありません。テレビの放送時には『ヒッチコックの鳥』とその名前が冠せられるほどに、ヒッチコックといえば信頼のブランドだったのです。そんなヒッチコックが大好きな熱狂的なマニアの事を『ヒッチコキアン』と呼んでいました。

今では古典的名作で、その演出方法は映画の教科書にもなるほどで、映画関係者の中にもヒッチコキアンはいて、ブライアン・デ・パルマ監督や大林宣彦監督などはヒッチコキアンであることを自称しています。私はそこまで傾倒していないものの『裏窓』や『サイコ』、『北北西に進路を取れ』、『ダイヤルMを廻せ!』、『間違えられた男』、『ハリーの災難』などタイトルを聞くだけで印象深い場面が浮かんできます。映画に限らず小説や歌謡曲でも昔の作品を知らない(観ていない、読んでいない、聴いていない)若い人が増えていて、木の物語を語る際に引用するのにもひと苦労です。こちらが最新流行に疎いというのも問題だとは思うのですが、さまざまな分野の古典も知っておくと世界観がぐっと広がると思うのです。CGの無い時代にどうやって工夫したか、ひとの想像力は無限。

 




以前に、木材置き場の中で鶺鴒(セキレイ)が巣作りをしている話をしましたが、8月に入るとその姿があまり見えなくなりました。鳥の生態には興味もありませんが、今後の対策を講じるためにも一応調べてみると、産卵期は3~7月ということなので、どうやら今年の巣作りは終了したみたいです。木材の隙間に卵を産むので、うかつにリフトで移動させて卵を潰したりしては可愛そうと、リフトで木を動かすときには卵が無いかを確認するのが習慣化していました。まあこれで気兼ねなくリフトを使えると思って木を移動させていると・・・!

なんとそクスノキの板のわずかな隙間にセキレイの巣があるではないですか!しかもその中には4個のたまごが!これは下手に触ってしまうと親鳥が卵を育てなくなるパターンではと思い、巣の下になっているクスノキを動かすのは諦めて元の場所に戻すことにしました。卵は産んだものの途中で放棄したのかもしれませんが、縁あってうちの倉庫に産み落とされたのですから無事に巣立っていってほしいのですがどうなることやら。それでというわけではありませんが、9月の端材コーナーは、たまたま鳥に絡んだ『バーズアイメープル』の特集です。

バーズアイメープル(Birds eye maple)』とは言わずもがな、小鳥の眼玉のような杢が特徴的なレアなメープルの事ですが、背景は勿論名作『』から拝借。自分の中ではこの木の特集にはこれと前々から決めていた定番の組み合わせだったのですが、意外や意外、この映画の事を知らない人が多くてビックリ!今更紹介するのも憚られるような名作なのですが、1963年の製作ですから思えば半世紀以上も前の作品ですから観る機会がないのも仕方ないのかも。なので少しご紹介します。

サスペンスの神様と言われたアルフレッド・ヒッチコック監督が撮った動物パニック映画の原点にして頂点。このヒットを受けて、1970年代にはさまざまな生物のパニック映画が量産されましたが、この作品が原点であり契機となりました。映画が製作されたのは私が生まれる少し前なので、観たのはそれから随分後のテレビ放送ですが、昔はこういう名作もよく放送していました。最近は新作をいかに早くテレビで放送できるかを競い合うばかりで、古い映画は自分で借りて観るような流れなので、古い映画の共有体験が無くなっていて、こうして取り上げてもなかなか分かってもらえないのは寂しい話です。明日に続く・・・

 




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