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先週の話ですが、『えひめイズム』において関係者が一堂に集まった異業種交流会に参加させていただきました。事業者、出展者等全部で50名ほどいらしてたでしょうか。文字通りバラエティ溢れる顔ぶれで、かなり賑やかな交流会となりました。以前から出展業者を交えた会の開催を希望していただけに大変ありがたい企画です。弊社はオープン時から出展させていただいておりますが、あれから約1年半経って商品も随分増えました。来場者も7万人を越え、年度内に10万人に達するのではという事ですが、ロープウエイ乗り場のすぐ傍らという立地条件を考えたとしても驚異的な数字だと思います。すると、その何分の1の方の目には【森のかけら】の姿も映りこんだのではないでしょうか。ここを訪れるのは県外の観光客の方がほとんどでしょうから、零細企業である弊社にとりまして実にありがたい全国へのPRという事になります。
以前にこちらでイベントをさせていただいた時に私も店頭で実際に観光客の方と接しました。多くの方は何かお土産でも買おうという気分で足を運ばれますが、目的が決まっているわけではありませんので、模様眺めで商品をご覧になります。食べ物関係は味見のひとつもしてもらい、味を確認した上で購入を勧めるところでしょうが、自ら『感性に訴える商品』などと自惚れしている我が身としては、「見て触れて感じていただきたい!」などと思い上がっておりますので、殊更説明もしませんでした。すると当然ながらほとんどのお客さんはスルーされます。足を止めてくださった方も、かけらを手に取ると「これ何?」とごく正常なご質問。ごく稀に「面白~」と思わず声が出る奇特な方がいらっしゃいます。そういう同類の方向けに少しずつ声を掛けさせていただいたのですが、お酒や食料品に混じって、何の説明もない木のキューブが飾ってある光景ははさぞかし違和感を感じるものかもしれません。
どこまでほっておいてどこまで立ち入って説明するかというさじ加減もこの場所で勉強させていただきました。やり過ぎずに関心をもっていただくという「さりげなさ感」の大切さは学んだのですが、いまだな実践できず・・・。「えひめイズム」はあくまでの情報を発信し、またこちらも消費者嗜好を探る場所ですが、定期的に弊社の商品をご購入くださる方もいらしてありがたい限りです。稀に「おとな買い」されるマニアックな方もいらして、そういう方には何かオマケでも付けさせていただきたい気分になります。さて、当日の司会進行はこのお方、お久し振りのミスター感性価値・三宅さん。ああ、お酒が似合う~。
こちらでは愛媛の地酒やアルコール類も沢山扱われています。当日は水口酒造さんが『道後ビール』をお持ちいただきました。湯上りビールという事で道後温泉周辺でその登りをよくお見かけします。道後温泉に『湯玉ハガキ』を納品に行く時にいつも、その誘惑と戦い、何とか辛勝してきたのですが、今宵はどうにでもしていただきましょう!5、6杯もいただきました。地ビールにしては苦味がなくてとても美味!中身よりもこの樽の方も気になります。木と酒、相性抜群でございます。
水口酒造さんの事はよく存じ上げていなかったのですが、2年前の松山商工会議所主催のNEXT ONEで【森のかけら】が優秀賞受賞させていただいた時に、水口酒造さんも「道後の蔵のアペリティフ」という商品で受賞されていて、いろいろ資料を拝見しました。NEXT ONEでも常連で過去にもたくさんの受賞歴があり、毎年面白い商品を造られています。先日の石鎚酒造さんや八木酒造もそうですが、愛媛の造り酒屋さん、相当に頑張られて美味しいお酒を造られています。当日は他にも五十崎の亀岡酒造さんもいらしてました。亀岡酒造さんの純米大吟醸生酒 『梨風-Rifoo-』(りふう)は、なんと2008年カンヌ国際映画祭レセプション公式酒に選ばれたお酒です!また東温市のどぶろく特区で永井公一さんが造られた『どぶろく ながい』も飲ませたいただきましたが、これはパンチがあります、効きます!飲めます!
すっかりほろ酔い気分になったところで突然、出展者のPRタイムが始まり、何の予告もなく一番に三宅さんが私を指名。ありがたいことです。ハプニングには慣れております。いついかなる状況においても自分の商品を熱く語れなければモノを造る資格はありません。例えほろ酔いであろうとも・・・。生憎、舌がうまく回りませんでしたが笑いは少し取れました。後に井部健太郎君も続きます。私の後でさぞやり易かった事でしょう。いいんです、皆さんの先駆けとなれれば本望なのです!結局1日では語り切れず明日へと続きます。
この数日、厳島神社の大鳥居に使われた樟の素晴らしさをご紹介しましたが、本日はもっと身近で現実的な樟のお話。以前にブログでワンズ㈱さんで建設中のH様のトイレのカウンターに、樟の耳付板を使っていただいた事をアップさせていただきましたが、その続きの話です。耳に凹凸の変化のある板を使っていただいたのですが、少し長めに仕上げて現場でコブの位置を調整していただきました。ですので、ボウルの穴は板が壁に取り付いてから現場で開けます。さあ、満を持して現場に乗り込みます!
加工していただくのは、この樟カウンターを加工してもらった家具職人・ウッドワークかずとよの池内一豊君。今回は、別に困っているわけではありませんが、「現場で困った時の池内頼み」という諺があるように、私にとっての大変ありがたい懐刀であります。今回は特別問題もありません。事前にボウルの正確な位置を出していただいているので、池内君がそれに合わせて木型を作ってきてくれてます。それを固定してまずはルーターで溝を切っていきます。
5mm程度の深さで徐々に深く掘っていき、最後はジグソーで丁寧に切り落とします。この間およそ30分ほどですが、現場工事は何といっても事前の準備に尽きます。池内君なら任せて安心、いつもいろいろな状況を想定して準備万端で臨んでくれるので、現場で戸惑う事がありません。工場から遠く離れた現場では、工場に道具を取りに戻る余裕はありませんから、現場にあるもの、揃えたもので対応するしかないのですが、こういう時は積み重ねた経験が物を言います。今回は何のトラブルもなく予定通り完成!私には何の技術もなく、ただ付いて行ってお掃除や準備のお手伝いをするしか出来ないのですが、いつも高度に収斂を重ねた職人さんの技には圧倒されます。何度寸法をチェックしても、現場に取り付いている木に穴を開けたり、削ったりする時の立会いは緊張します。
無事に想定通りの穴が開きました。 先日、樟に樟脳が含まれている話をアップしましたが、このカウンターは水廻りという事で、事前に弊社で全面ポリプレマー塗装をして固めています。ですので樟といえども全く匂いがしなくなっています。樟脳の香りも閉じ込めてしまいました。ところが、ルーターの刃先が入った瞬間、室内に物凄い樟脳香が噴き出しました!ポリプレマーで閉じ込められていた樟脳香が猛り狂ったかのように、狭い空間に一気に充満します。
池内君は全身に樟の大鋸粉を浴びながら立ち向かいます。隣にいる私の鼻腔にも強烈な樟の樟脳香が入ってきます。鼻がツーンと痛くなるほどの強烈な匂いです。箪笥に入れておく防虫剤を濃縮させたような匂いなのですが、これはもう体感していただくしかありません。この匂いこそが樟が虫に嫌われ、水湿にもよく耐え、長持ちする理由です。いくらポリプレマーで固めているとはいえ、こういう設定では素材そのものがなるべく水に耐えるような材をお薦めるようにしています。選ばれる方は、性質よりもサイズや形状、色合いを優先されますが、その際にも適性の低い木の場合はお薦めしません。材の適性を無視して使って、後で後悔することになってしまっては申し訳ありませんから。水廻りでなければ結構冒険もするのですが、さすがに水廻りは慎重にならざるを得ません。
先人達の「適材適所の教え」を尊重し、なるべくTPOに合った材をご提案させていただこうと思うのです。厳島神社の大鳥居は別格ですが、樟は成長が早く大きな材でも割合手頃な値段で手に入ります。ただ「楠」とも表わされるように、南方に多く成育し、東日本では手に入りにくいかもしれません。こちら㊧は余った材で豊川棟梁が気を利かして作られた子供さんのための机。手前はボウルをくり抜いた板。材を無駄なく使っていただきとても嬉しいです。こういう細部に造り手の思いが宿ります。
さて樟は、「楠」としても表わされますが、これは九州など南方に多い事に由来しているとされます。成長が早く、日本で最大の樟は、鹿児島県蒲生町の「蒲生の大楠」で、推定樹齢は1500年、幹の周囲で24m、地際でも幹周は約34mもあります。国の特別天然記念物にも指定されています。以前にこの近くを通過して、「蒲生の大楠」の看板まで見たのに立ち寄れなかった事が返す返すも残年です・・・。巨樹の調査によると、幹周のトップ10のうち実に7本が樟という事ですから、いかにこの木が大きく成長する木であるかという事が分かると思います。 |
日本人はとかく三大OOとか、物事を3つ並べて表現するのが好きで、三大OOというのは巷に溢れております。三大美林(秋田杉、木曽桧、青森ひば)とか三大名園(偕楽園、兼六園、後楽園)とか、マニアックですが三大奇観(埋没林、蜃気楼、ホタルイカの群雄海面)、日本の三鳥居には、この厳島神社、春日大社と氣比神宮等々・・・。そういうのって嫌いではないので、是非いろいろ観ておきたい方です。特に頭に「日本」なんて付くものは、例えミーハーであろうとも、日本人として最低限押さえておきたいという深層心理が、結局うまく商業ペースに乗せられているのでしょうが。残念ながら残りの2景はまだ直接観た事がありません。宮城も京都も何度も行く機会はあったのですが、タイミングやら日程が合わず行く事が叶いませんでしたが、こういうのはご縁がないと言うのでしょう。是非残りの2つも早いうちに拝ませていただきたいと思います。
観光ツアーの一団も結構いますが、時間が早かった事もあって、人波に流される事もなく騒々しくもなくゆっくりと観て回る事が出来ました。まずは廻廊に足を踏み入れます。廻廊は幅4m、長さは約275mもあり、床板は目透しで貼られ、高潮の際の海水の圧力を逃がし、たまった水も流す構造になっています。こういう環境で建てようと思うからこそ、必死にそれに耐えれるような技法を考えつくのでしょう。満たされた環境では虎の目(アイ・オブ・ザ・タイガー)を手に入れる事は出来ないのです。
今更ですが、この海に浮かぶ社殿は1168年頃に平清盛の手によって造営され、そのうちの6棟の建物が世界遺産に指定されています。町や市の指定だけでも、おいそれと補修など出来ないのに、世界遺産ともなればその材料仕様や事細かな決まり事も半端ではないのでしょう、きっと。なにせ国宝、国の宝ですから。廻廊の最後の方に 部分的に新しい床板に張り替えられている箇所があり、真新しい松の床板も見ることが出来ました。きっとこれらのそれはそれは厳しい寺領検査をクリアーしてきた事でしょう。そう考えれば、この場で使われる材は曲がりや反りはもとより、多少の「アテ目」すらも許されぬエリート中のエリートなのかもしれません。しかし、ここって結構台風や高潮の被害を受けた事がニュースになったりするので、かなりの部材をストックしているのでしょうか。急に要るといっても、こういう特殊材はすぐには間に合いません。
広島木青の方に訊いてみるんでした。次の役員会で広島木青の定田さんにその辺の事情を詳しく教えてもらおうと思います。日々海水と海風に晒され、何万人という人に踏まれ、伐採後の生涯をその過酷な運命に委ねるのですから、エリートも大変です。いずれこの新品の松の床材も経年変化でロマンスグレーになっていくのでしょうが、さすがに風格すらある大ベテランの隣に並ぶと、その若さが初々しく何だか痛々しくすらも感じてしまうのです。 頑張れとエールのひとつも贈りたくなります。
更に梁や桁は何を使っているのか気になります。鮮やかな朱色が材の木目を消していてよく分かりませんでしたが、 一部小口が露出している部分がありました。どうやらこちらも松のようです。それほどの目込み材には見えませんでしたが、たっぷりと脂分が乗って、見るからに長持ちしそうな松でした。その奥は塗装工事がまだなのか、塗装が剥げて生地の木目が見えている箇所がありました。当然の事ながら、これだけの部材ですから節や割れも相当にあるのでしょうが、濃い朱色が包み隠しています。丁寧こまめに点検して修繕しているんでしょう。そもそもなぜ建物が朱色に塗られているかというと、諸説あるようですが、建造した平清盛の平家側の旗色が朱色だったというのが説得力があります。また朱には防腐効果もあるので一石二鳥だったのでしょうか。それでは、もう少し続く。
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