森のかけら | 大五木材


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20131125 1 .bmp本日もアガチス外伝・アテの話。アテの持つ逞しさを逆に活用できれば、これほど頼りになる味方もいませんが、板材などになるとなかなかこの力を利用するのが難しいです。どういう風にねじれたり暴れるのかが分からないので、面の中では制御出来ません。弊社は製材所ではないので、製材所で角や板に挽かれたものを購入するため、アテとの出会いは、その状態でとなるのです。一般的な建築用材に姿を変えた中においては、アテはあくまでも『欠点』扱いなのです。

 

20131125 2 .bmp何とかこのアテの秘められたパワーを活かしたいのですが、今のところのその出口は見つかっていません。一般の方は、アテの木を見た事がないという方が多いと思います。それは、実際に使われ事例が少ないから。つまり余程そのアテの含まれる材を使わなければならない事情でもない限り、アテ材は日の目を浴びることなく闇に葬られてしまうからなのです。なので一般の方が目にする機会はなくとも、業界には沢山のアテの木が存在しているのです。

 

20131125 3 .bmpそのアテを利用するといっても、アテ部分の大きさも筋肉質の中身もバラバラですので、数をまとめたり統一化する事などは不可能です。しかも板材、角材に加工された後ですから、筋肉も分断されていて、粘りや強度もどこまで発揮できるのかも不確か。非常に曖昧で扱いにくい部分なのです・・・だからこそ、それを活かす方法があれば画期的だと思うのですが。今は仕方なく、アテ部分はカットして処分してしまっているのですが、カットするたびにある場面が脳裏に・・・

 

20131125 4 .bmpそれは、映画『300(スリーハンドレッド)』の一場面。スパルタ教育という言葉の語源ともなったスパルタ王レオニダス(ジェラルド・バトラー)が、ペルシアの大王クセルクセスに服従することをよしとせず、100万のペルシア軍と戦うという血湧き肉躍るという、男ならば大好きな作品なのです。スパルタの子供は五体満足の健康体で生まれなければならず、障害のある者はスパルタの掟によって殺され、より強い者、より逞しい者だけを残していくという壮絶すぎる社会なのです。明日に続く・・・

 




20131124 1 .bmpしかし、厳しい環境に耐えた証でもある『アテ』に対してこういう仕打ち、いやこういう評価で判断してしまって本当にいいものなのでしょうか。確かにアテの含まれた木はやかいで、苦難の時代に叫び声はどう共鳴するやら知れず、加工した後からもねじれたり、反ったりと大暴れを繰り返します。それはあたかも、『欠点』という不当な評価を与えた我々人間に対する反乱でもあり、アジテーションでもあるかのように。アテを使いこなすのは至難の技なのです。

 

20131124 2 .bmpしかし、考えてみれば何十年にもわたり、重たい木を支えてきた筋肉ですから平面的な用途には適してなくとも、立体的に考えれば相当の負荷に耐えられる力があるという事です。昔の大工さんは、そういった木の癖を読みきる鑑定眼を持っていて、アテの強い木は丸太のままで、育った向きとは上下を逆さまにして、屋根を支えるための棟木に使うなどして、材の特性を最大級に生かしていたのです。まさにアテの木ならではの使い方なのです

 

20131124 3 .bmpそんなアテですが、日本の木の等級付けの基本となる日本農林規格によると、アテを欠点として取り扱う項目は、青森ヒバ以外に無いのです。寒冷地で育つ青森ヒバには、アテの木が非常に多く、等級付けの際にアテを欠点とみなすという項目が明記してあるのです。では、青森ヒバ以外の木では、アテは欠点ではないのか?というと、そうではありません。それ以外の木においては、むしろアテは「あって当然」という判断なのです。つまり、アテの無い木など無い

 

20131124 4 .bmpそれが木材業界の常識なのです。成長過程に一種の癖であるアテをいちいち欠点とみなしていたら仕事にならないぐら大変なので、そこはあって当然のアテではあるが、材木のプロとして目利きしないさいねという事だと思うのです。アテの部分は、正常な部分に比べると色調が濃く、独特の木柄に変化しています。ヒノキやマツ㊧のアテの場合は、アテの部分が濃いキャラメル色になったりするので割りと分かりやすいです。触ってもそこだけ異常に堅く締まっています。

 




20131123 1 .bmp昨日の続きで、アガチスの話です。アガチスは。『青染み』が入りやすい事でも知られており、外見は問題ないように見えても、割ってみるとアイ(青染み)が入っていて使いものにならなかった事もありました。素直そうに見えても案外『アテ材』の含有率も多く、割ってみると反り返ったりする事もしばしば。恐らくこの木についての印象は、巡り合った材質の状態によって大きく印象が異なるのかもしれません。ここで話が少し反れますが、『アテ』について少しご説明。

 

20131123 2 .bmpアテというのは、木材業界独特の用語で辞書などには掲載されていないと思います。簡単に言うと、傾斜面などで育った木は自分が倒れるのを防ぐために、地面に接地した部分を強くて丈夫な筋肉質にして強くして、倒れまいと抵抗します。すると成長に伴い、その部分には他の正常な部分とは異質の、硬くて癖のある「肉」が付きます。つまり傾斜面に育ってしまった木が生きていくために防衛本能が働いたもの、それが『アテ』という高繊維密度状態なのです

 

20131123 3 .bmp立っている時に相当に頑張った「筋肉」ですが、それが伐られ製材され、板状にされると、長年相当に強い負荷と戦ってきた「筋肉」は、長い呪縛から解き放たれ自由を手に入れようとして暴れます。何十年もの間、意に反して重荷を背負わされてきたのです。「俺は自由だ~!」天に両の拳を突き上げて、大声でそう叫びたくなる気持ちもわかります。しかし、真っ直ぐで素性のよいものを求める建築業界においては、『アテの開放の叫び』を認めてはくれないのです。

 

20131123 4 .bmpつまり、アテは正常ではない『欠点』とみなされてしまうのです。アテのある部分は、製材直後はじっとして周囲の様子を伺っていますが、しばらくするとアテは手足を自由に伸ばして自由を謳歌し始めます。使わずに済むのであれば、リスクの高いアテ材は使わないのは材木業界の常識です。製品の中にアテが含まれていたりすると、いくら高齢木で年輪が詰まっていても、美しい杢目を持っていようとも、その材の価値は著しく低下してしまうのです。この話明日に続く・・・




★今日のかけら・#121 【アガチス】 Agathis ナンヨウスギ科・針葉樹・東南アジア産

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20131122 2 .bmp南洋材といえば、そのほとんどが年輪の不明瞭なラワンに代表されるような広葉樹の木ばかりだと思われている方が多いのですが、種類は少なくとも南洋材の中にも針葉樹の木もあります。しかもその木が決して珍しいものではないというと、意外に思われる方もいらっしゃると思います。それが、「アガチス」です。この木は、フィリピンなどの東南アジアからニューギニア、ニュージーランド、ニューカレドニアニアなど広域に分布しており、分布域が広いため各地でその呼び名も多岐にわたっています

 

20131122 3 .bmpわが国においてもかつては、「南洋杉」や「南洋桂」などの名称で取引されてきた「実績」があります。「杉」や「桂」の名を冠せられる通り、材そのものは軽軟で癖がなく建築、家具、建具分野などで幅広く利用されてきました。なにしろ科名が『ナンヨウスギ科』になのですから、一体どこの国のどんな種類の木なの?と戸惑われるかもしれません。ちなみに南洋材の中で針葉樹というと、このアガチス以外にはマキ科の『ポドカルプス』という木があるぐらいです。

 

20131122 4 .bmp確かに年輪は不明瞭で、ヒノキマツ、スギなどの針葉樹からイメージする趣きは感じられませんし、茶~灰褐色の色合いは一見するとカツラのような雰囲気も漂います。一時は、彫刻の材料や廉価な碁盤や将棋盤として使われた事もあったようなので、皆さんカツラの代替材として意識さえていたのでしょう。ただし、雰囲気は似ていても経年変化で落ち着くというよりも妙なテカリが出たりするので、実際に使ってみると違和感があり使用量が減ったのかもしれません。

 

20131122 5 .bmp昔は弊社でも、何かあれば「とりあえずアガチスで・・・」と言われたぐらい多用してきましたが、なにしろ愛媛は元来輸入広葉樹のルートが細い地域ですので、合板工場の閉鎖や輸入商社の材の絞り込みなどによりアガチスの流通量も激減。弊社では乾燥した材を仕入れしていましたので、乾燥工程による収縮の問題は実感がありませんでしたが、材により色調の差、材質の差は顕著で、乾燥工程により割れや収縮がかなり発生することもあります

 




20131121 1 .bmp本日は、耳付きのブラック・ウォールナットの板材の選別作業。ブラック・ウォールナット(以下BW)は数ある広葉樹の中でもトップランクの人気を誇る木で、弊社でも安定した人気があります。そのため流通量も多く、材木店やホームセンターなどいろいろな所で目にする機会が多いと思いますが、耳付きのBWとなると、途端に希少性が上がり、案外目にする機会が少ないのではないでしょうか。弊社にも耳付きBWは1梱包のみ。そ耳付き材のの仕分け作業です。

 

20131121 2 .bmpたまたまタイミングが良くてこの耳付き板が入手できたのですが、欲しいからといって頼んですぐに手に入るものでもありません。耳を活かして使いたいという要望に応えるために仕入れたものです。耳の部分の凹凸の変化を好まれる方は多いのですが、なかなか思い通りの耳の変化に出会うのは簡単ではありません。図面上では、手前の方が少し膨らんでいてその先に少し凹みがあって・・・などと自由に線を描けますが、あくまでも相手は自然の産物。

 

20131121 3 .bmpそう人間に都合のいい造形をしてくれているわけではありません。それでもなるべくご希望に近い耳を探そうと、材をめくって探している時の妙なテンションの高さはなんでしょう?もしかしたら妄想の恋人に出会るのではというような高揚感と興奮の中、その妄想は妄想のまま終る事もあれば、ドラマチックな出会いを果たす事もあります。ほぼ理想ともいえる耳に出会った時の興奮は何にも変えがたい材木屋の秘かな、そしてささやかな愉しみの1つであります。

 

20131121 4 .bmpこのBWは、リンクバーカー(皮剥きの機械)で皮を剥いてあるのでツルンとした木肌の耳ではありません。かなり毛羽立ちが激しいので、そのままでは刺さって危ないのでグラインダーで削って、元の形を活かしながらある程度は人工的に耳を整形していくことになります。BW自体が堅い木ではないので作業は困難ではないのですが、その加減が難しく、あまりに作りすぎても不自然だし、荒っぽいと危ないし、悩みながも愉しんでいるのですが、妄想の恋人への要求は尽きまじ・・・。




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