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2年前に購入した『愛媛県産の樅(モミ)』がいい具合に仕上がってきました。モミはデリケートな木ですので、耳付きの幅広い板などを乾燥機に入れて強制乾燥させると、大切な化粧面に大きな割れが入り使い物にならなくなる事も多く、取り扱いに神経を使う木です。売り先の決まっている木でもありませんでしたので、今回は人工乾燥ではなく、倉庫の日陰で桟積みしてじっくりと乾かす「天然乾燥」を選択。2年もかけて丁寧に乾かせた・・・いえいえ、知らず知らず時がモミの上を通過しただけの事です・・・。 |
弊社倉庫には、現地である程度加工してきた半製品になった耳付き板もあります。以前、そのうちの数枚をホームページの『商品紹介』のコーナーでご紹介させていただいていましたが、先日それをご購入いただいたお客様から、「ダイニングテーブルに仕上げて欲しい」とご注文が入り、テーブルに加工させていただきました。もっと沢山の板をアップして欲しいというリクエストをよくいただくのですが、いくら鮮明な画像が撮れるようになったとはいえ、その質感まで伝えるのはなかなか困難・・・。
木の反りやねじれ、節の状態、虫穴や小傷、クラック、青染み、日焼け、毛羽立ち、仕上がり具合、乾燥程度などなど、木のディティールを伝える要素は沢山あるのですが、画像と言葉だけでどこまで質感を正確に伝える事が出来るのか。悲しいかな、私にはそこまでのカメラの腕と筆致がありません。耳付きのダイニングテーブルサイズの1枚板ともなると、ある程度の金額にもなりますので、無用なトラブルを避けたいという思いから、ついついネットでの販売には慎重になってしまいます。
理想は、ネットでご覧になって、その後ご来店いただき実際にその目で見て触れて、確認してもらうのが一番です。幸いにも今までアップしていた耳付き板は、県内の方が直接ご来店いただき購入してもらったので、何も問題もなかったのですが、愛媛から遠く離れていて、来店する事も適わない遠方の方にどこまでご理解いただけるのか・・・。あまり神経質になっても仕方ないのですが、木のファンを増やしたいという思いと、木を好きな方に失望や後悔を与えしまっても申し訳ないという気持ちのせめぎあい。
今後は特徴の伝えやすいモノから順にもう少しずつアップしていくつもりです。さて今回は、こちらの『チャイニーズ・ヘムロック』の耳付き1枚板です。その名の通り、中国産の栂の仲間で、現地では『鉄杉』と現わされます。特徴は、『ウエスタン・ヘムロック(米栂)』と『バルサム・ファー』を足したような印象です。板に大きなクラック(割れ)が走っていますが、乾燥時に現地で入ったもので更に拡がる心配はありませんが、デザイン性も加味して複数個所に『ブラック・ウォールナット』の契りを入れています。
また、500円玉大の節の抜けた穴も数箇所ありますが、それも含めてこの天板の表情です。その遊び心も気に入っていただきました。購入いただいた施主さんは設計士さんでもあり、脚のデザインはご自身で考えていただきました。完成後、納品させていただくと、娘さんたちが早速、契りや節穴を「可愛い~、面白~」と楽しく受け入れていただきひと安心。触感の滑らかさに、頬をすり寄せて無垢材の醍醐味を体全体で堪能!木を楽しむ心は世代を越えた人類共有の感情なのでしょう~!
先日、愚息の夏休みの自由研究『杉の希望船ホネホネ号』について触れましたが、お盆で帰省している時に『実際に川で魚を捕まえて浮かべてみる』というところまでが、一連の研究対象となっているとの事で、常に車には水着とホネホネ号を積み込んで移動。適当な「実験場」が見つかれば即実践に移れるように臨戦態勢で物色。その適地は、高知県四万十市の『海洋堂・ホビー館』に行った帰り道、突然眼下に現れました!迷っている暇はありません。車2台から子供たちが水着で飛び出し、川遊び・・・いや、実験に四万十の川の中へ!
2台の車に分散したため車内は、いつも以上の子供たちと親+その荷物+(いつでもすぐに遊べるように空気がパンパンに入った)浮き輪などなどで満杯。その隙間にもぐり込ませておいた『ホネホネ号』は、水に入る前から軽い破損・・・。強引に釘を押し付けて何とか体を保っていますが、実験は短時間での勝負となりそうです。『古事記』の中で、スサノオミコトが、『ヒゲを抜いてばら撒くと、それが杉の木になり、胸の毛を抜いてばら撒くと、それがヒノキになり、尻の毛を抜いてばら撒くと、それがマキになり、眉の毛をばら撒くと、それがクスの木になった』
そして、「スギとクスノキは、船を造るのによい。ヒノキは宮を造るのに、マキは現世の国民の棺を造るのによい。たくさんの木の種を播こう」と語ったというのはあまりに有名な逸話ですが、それに習ったわけでもなんでもないのですが、息子が選んだ材は『杉』。読書感想文を書くために、読んでいた『森は生きている』という本の中でこの言葉に出会い、妙な感動をしていたようです。実際には、身近な所に適寸のスギがあっただけというのが真相ですが・・・それはさておき、息子はホネホネ号と格闘!
スギの木ですから浮くのは浮くのですが、どうにも重心が定まらないようで、右にフラフラ左にフラフラ。それでもとりあえず『浮かぶ』のは浮かんだようで第一の課題はクリア。それよりも問題は、『捕まえた魚を入れる』という「生簀(いけす)としての用途」。何とかギリギリ釘は利いているので魚は逃げないとは思うのですが、肝心の「捕まえる道具」を携帯していなかったのは致命傷!従兄弟の協力でおたまじゃくしを1匹使えるのがやっと・・・。いくら贔屓目に見てもこれでは間違っておたまじゃくしが迷い込んだ状態。結局実験は最終日に持ち越し・・・。
愛媛県の代表的な林産地のひとつである久万高原町は、盟友・井部健太郎君のご先祖様にあたる井部栄範翁がその基礎を築いた山でもあります。江戸時代には、久万に松山藩の御山奉行が置かれていて、植林も推奨されていたもののまだまだその意識は低く、林産地と呼ぶには未成熟だったようです。明治期に入り、御用林は国有林となり、和歌山で生を受けた井部栄範氏が久万に定住し、大宝寺(現四国第四十四番霊場 菅生山)の所有地に杉の植林をした事が、久万林業の始まりだと言われています。
それから明治14年までに163,000本もの苗を植え続け、かの地に植林の思想を根付かせ、晩年までにおよそ415万本もの大事業を成し遂げるのです。その植林のほとんどが『杉と桧』であったことから、今でも久万林業の主体を成すのは『杉と桧の針葉樹』です。秋にほとんど紅葉しない久万の山はこうして作られました。それから時が流れ、平成16年に久万町、面河町、美川村、柳谷村の4つの市町村が合併して’、県内では最大の面積を誇る『久万高原町』が誕生しました。
栄範氏が礎を築いた旧久万町では、ほとんど紅葉の見られない針葉樹の森が広がっていますが、そこから更に奥に入った旧面河、旧柳谷まで足を伸ばせば、秋の山々を彩る沢山の広葉樹にも出会えます。2年前に、愛媛木青協の会員でもある成川尚司君の成川木材店さんから大きなモミの原木を購入させていただいた事に触れましたが、今回は面河渓の周辺の山林伐採をしていて、広葉樹が多めに出たとの連絡を受け、先日久万へ車を走らせました。以前から、広葉樹が出た時には声をかけてくれていたのですが、今回は結構大きめな原木が揃っていました。成川君によれば、そのまま1枚板のテーブルが取れるような巨大な広葉樹はほとんど無いものの、【森のかけら】や木のクラフトなどを作る程度の大きさの広葉樹ならいくらでもあるそうです。しかし当然、需要があって山の木を伐採しているわけで、求めがあれば小さな広葉樹も森から出てきます。
今回は、広葉樹の注文があったそうで、まとめて一帯の広葉樹を伐採したため、大き目の材が出てきて、前から頼んでおいた私に連絡が入った次第。大きそうに見えますが、大きくても直径が2尺(およそ600㎜)で、針葉樹のように痛直ではありませんので建築材としては難しいサイズ。左の画像は『オニグルミ』ですが、【森のかけら】関連商品には持て余すほどの大きさ。この他にも『シデ、ヤマザクラ、ケヤキ、クリ、ミズナラ』など、出自のはっきりした県産広葉樹はありがたい限り。
選別してもらっていた4トン車2、3台分の広葉樹を購入させていただきました。これから製材して、桟積みして半年から1年ほどかけて天然乾燥させます。どの木を何に使うのかは、それからの事となります。先の長い話ですが、同じように2年前に原木で購入した樅(モミ)も天然乾燥させたお陰で、艶や光沢も損なわれる事なくようやく出番を迎え、家具などに使い好評を得ています。ちいさな木も小さいなりに骨までしゃぶって使ってやれば、小さな広葉樹ももっと森からも出てきやすくなろうというもの。
本日、愛媛大学にて講師をさせていただきました。といっても今は夏休み、構内も人影はまばらです。一般の学生相手の講義ではなく、「社会教育主事講習」の中の講座です。「社会教育主事講習」とは、社会教育主事の職務を遂行するに必要な専門的知識、技能を修得し、社会教育主事となりうる資格を付与することを目的とした講習で、全国の大学などでプログラムが組まれています。私は1時間半の講義で、与えられたテーマは『民間企業の社会教育活動』・・・!
テーマは堅そうですが、弊社の取り組みをよく理解されたうえでの講師のお誘いですので、変に格好をつけても仕方ありません。ありのままのリアルな体験を期待(?)されての事と解釈。どういうテーマとでうまく馴染めて切り出せるのが木材という素材です。従来の枠に捉われない『新たな森の出口』を探している私としても、隠れた出口を見つける格好の経験でもあります。県内外の各地から30~50代の方々がおよそ30名お集まりの中、一介の材木屋としては分不相応ながらも講義開始。
愛媛木材青年協議会時代の『どうぞのいす』の活動やオレンジ会、久万郷、えひめイズムなどの異業種との交流、医療分野(2METSボードの開発)や、飲食分野(膳、コースターなど)、大学や行政などなどとの関わり、そしていかにして社会の中で『森の出口』を見つけたのかなどについて、お話させていただきました。講義の内容を整理してみれば、改めてこの数年の商品開発がいかに「非建築分野」を舞台としていたものだったか実感。長年縛り付けられていた『木材=建築材』の呪縛が急速に解けています。
講義の方は休憩ナシで1時間半喋りっぱなし・・・。この社会教育主事講習の実施計画・講義要項のパンフレットがあって、他の講義内容も読むことが出来るのですが、「教育問題と地域づくり」とか「社会教育施設の経営」、「人権問題と社会教育」などなど難しそうなテーマがズラリ。受講生の皆さん、およそ1ヶ月かけて30幾つかの講義を受けるわけですから結構大変です。そんな中で一服の清涼剤にでもなればという気持ちで肩の力を抜いた講義をさせていただいた・・・つもりですが、果たして?
以前に「陸前高田の倒壊した松」を使った『陸前高田のしるし』を、愛媛大学のえみかショップで販売していただいている事を紹介させていただきましたが、それ以外にも愛媛大学の高章やロゴマークをあしらった『愛媛大学のしるし』(3種類)も同ショップにて販売していただいています。『陸前高田のしるし』は販売好調で、先日も追加で100数個を納品させていただきました。卒業し材木屋になってから、再びご縁が出来るとは思ってもいなっかった『大学』とこうして繋がりが出来る事こそ『社会教育活動』でなのかも。
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