森のかけら | 大五木材


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今日のかけら・#011 【柞木/イスノキ】 マンサク科イスノキ属・広葉樹・宮崎産

昨日に続いて、高知県梼原町の太郎川公園の話しです。この公園の中には、『きつつき学習館』という施設があるのですが、自然体験学習施設といった趣きある木造の建物で、森の掃除役・啄木鳥(キツツキ)と木工作(木をつつく)から命名されたものだそうです。当日は施錠されていましたが、係の方が気さくに開けてもらい中を拝見させていただきました。地元梼原のスギをふんだんに使った、その地に馴染んだ建物でした。私が興味があったのは建物そのものよりも中の展示物の方です。

そこには、木に興味の無い方には恐らくスルーされてしまうであろう変哲もない1本の丸太が横たわっていました。そのネームプレートには『ゆすのき』の文字が!そう、これこそ『日本でもっとも重たい木の1つイスノキ』の別名です。「日本でもっとも重たい木の1本」というのは矛盾したような表現ですが、国産の木の場合、個体差を考えると重さに幅がありそれぞれの木の産地の強い主張もあり、イスノキ、ウバメガシ、オノオレカンバなど複数の木が『日本でもっとも重たい木』の称号を得ています。

木材図鑑などでもその表現については苦慮しているようで、『世界一重たい木・リグナムバイタ、世界一軽い木・バルサ、日本一軽い木・キリ』は、ほぼ定説となっていて異論もないようですが、『日本一重たい木』の座はなかなか決まりそうにありません。材木屋の肉体感覚(肩に担いだり加工したりの)では、このイスノキがもっとも重たく感じられますが、それはこの木の通直で大きなものが少ないため、曲がっていたり枝が出ていて担ぎにくい(持ちにくい)ため力が分散するからかも。

幾つもの樹種がNO.1という曖昧さに不満を持つ方もいるようで、何が真の日本一なのかを決めようという声もあるようですが、私はむしろこの曖昧さこそが木の面白さだと思うのです。いいんじゃないでしょうか、「OOと言われる」とか「OOらしい」なんて怪しい表現で楽しんでこそ『生きている素材・木』の魅力じゃないですか。何でもかんでも理詰めで、数値に置き換えて工業化して、鉄やアルミなどと競うという道が、木に対してどれほどの負荷を与えているのかと考える事があります

数年かけて乾燥させたんじゃ商売にならない、経験則に頼った天然乾燥では、後々のクレームの原因になる、という現実はあります。でも昔の家はそうして造られてきました。昔の大工さんはそうして木と付き合ってきました。これは単なる家作りの工程の問題ではなく、何もかもを短時間で素早く処理・解決し答えを求めようとする、今の駆け足の生き方そのものの問題だと思います。自然の時間と向き合う事を忘れると美しい風景が見えなくなってしまうんだと諭されました。

 




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