森のかけら | 大五木材


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20140512 1さて本日も林業映画『WOOD JOB!』の話です。『猿の惑星・創世記』ほどの巨木はありませんが、日本には日本の立派な大木があります。実際にありもしない虚像の大木をCGで描き出すよりも、実在の大木の方が体感スケールと臨場感が余程あります。風に小枝が揺れる感覚や、ヒノキの樹皮の剥げ落ちそうな質感や、太い枝が多くて決して映画映えはしないであろう形であろう樹形も、雨で凹凸になるバイクのタイヤが滑る林道も、それらすべてが生き生きとした日本の林業の現場!

 

 

20140512 2この映画を観ていて、後半の大祭の話が出てきたあたりからある別の映画の事を思い出していました。山と祭りの映画として私の心に深く残っているのは鬼才・中上健二が初めて脚本を書き、寡作の作家・柳町光男がメガホンを取った映画『火まつり』です。私は大学生の時に劇場でリアルタイムで観ましたが、主演は北大路欣也、共演太地喜和子、中本良太、宮下順子、安岡力也と面々。1985年に実際にあった事件をモデルにした映画なのですが、実はその舞台も三重県熊野市二木島なのです。

 

20140512 3ストーリーは非常に説明しにくいのですが、海洋公園建設で揺れる海と山に挟まれた小さな街を舞台に、山で働く屈強な男(北大路)がある日、嵐の山の中で神の啓示を受けて、山の神に愛されるようになって男はやがてトランス状態になって破滅に向かっていくという・・・言葉で説明するとチープになってしまうのですが、神話の国・熊野ならではの荘厳な自然の風景の説得力と武満徹のおどろおどろしいほど重厚な音楽が重なり、観ているこちらも憑依されるような、体力のいる映画です。

 

20140512 4当時はスピルバーグ全盛で、生活感があり過ぎて土臭い日本映画が何だかとても貧乏くさく感じていましたが、今にして思えばそれは内なるものをさらけ出されることに対する抵抗、拒絶に近い感覚だったのかもしれません。そんな中で観た『火まつり』は、神との邂逅してあっちの世界に行ってしまう北大路欣也の汗の匂いや体臭すらも伝わってくるほど生々しく、実際に何かが降りてきているのではと思えるほど鬼気迫るものがあり、映画はエンターテインメントだけではなく表現方法のひとつであるのだという事を強く意識させられました。過剰な土着信仰や自然崇拝の行き着く闇など、当時の私には受け入れられる器もありませんでしたが、この歳になり、木を暮らしの糧にするような仕事をするようになった今だからこそ観直したい1作。それが残念ながらDVD廃盤なのです・・・

 




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