森のかけら | 大五木材


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20140506 1先日木材を納品させていただいた現場は立派な長屋門のあるお宅でした。大きなケヤキがふんだんに使われ、幾多の雨風で浮き造り状になって年輪からは、ここで刻まれたであろう長い歴史の断片が感じられます。松山市内でも田畑の広がる場所に行けば、古い農家の家にはこのような長屋門を見かけるます。木造りの長屋門には風情と威厳があって私は好きなのですが、ががあり時代の変遷とともにその数も減ってきています。まあ今どきの若い世代で長屋門を建てようなんて方はほとんどいないでしょう。

 

20140506 2親から譲り受けた広い敷地がある方でも、長屋門を建てるぐらいの資金があれば内装や設備、外構に使われます。新しく長屋門を建てるなんて話をこの辺りでは聞いたことがないのですが、全国では今でも若い世代の中に長屋門を建てようと思われている方もいるものなのでしょうか?そもそも長屋門とは、戸時代あたりに大名の武家屋敷の門として発生したもので、門の両側が文字通り長屋となっていて、そこに家臣や下男などを住まわせていたもので、その後上級武士の住宅の様式として広まりました。

 

20140506 3明治以降は裕福な農家の家屋敷にも作られるようになり、使用人の住居としてだけではなく、農機具を収納する納屋や作業所などとしても使われてきました。時代の流れの中で、武士が威厳や虚栄を張るためのものから、農作業の納屋など実務的・機能的なものに様式を変えてきたこともあって、今では人が住むような住居としての感覚は得難いものの、田舎にいくと立派で大きな古い長屋門も残っていて、その姿には圧倒されます。外界と家とを分ける、結界の門ような凛とした雰囲気が漂ってきます。

 

20140506 4地方によって多少の差はあれ、長屋門における木の代表格は「ケヤキ」でしょう。いかに大きな木を使うか、いかに年輪の詰まった木を使うか、長く太く木目の美しい立派なケヤキをいかに惜しげもなく使うか、それに棟梁は苦心したことでしょう。今では到底手に入らないような、入手出来たとしても目が飛び出るような高額な材ばかり。当時とてそれなりに貴重であった材ですが、しっかりとその受け皿たる「出口」があった事は大きなケヤキたちにとっても幸せな事だったのではないでしょうか。

 

20140506 5大きな立派な木は、出来る事ならそのまま大きく使ってやりたいものです。誰も小さく切り刻んで使いたいなんて思っていません。しかし残念ながら、そういう大きな材を求める寺社仏閣などの需要は減少傾向にあり、大きな材が脚光を浴びる舞台は年々少なくなっています。大きな木は大きなるがゆえに尊い。無理矢理大きな木を使う設計にしたり、わざわざそのために巨木を伐るというのではなく、世の中の材木屋の倉庫の中に塩漬けにされ眠る大きな材にも、輝ける舞台あれと願うばかりです。




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