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本日は能登の至宝、『能登ヒバ』の特徴などについて。能登の厳しい環境の中で逞しく育つ『能登ヒバ』には幾つかの特徴があると、その昔地元の方から教えていただきました。ただしそれはもう今から15年以上も前の事でしたので、昨今の能登ヒバ事情とは幾分乖離している部分もあると思われますが、資料を探していると自分がその当時に書いた懐かしい文章が出てきましたので、当時の記憶を思い出しながら、私が初めて直接耳にした『能登ヒバ』についてご紹介させていただきます。訪問させていただいたのは、能登ヒバを専門に挽かれていた『表木材』さん。
挽かれていた過去形で語らなければならないのが辛いところですが、数年前に廃業されてしまいました。表木材さんについては後日詳しく触れますが、親子で営まれていた小さな製材所でした。当時その表木材さんで挽かれていた原木は、直径が300㎜前後のものが多かったようですが、一見細くは見えても長さ4mで直径300㎜もあれば、寒くて成長の遅いこの地においては有に120年以上の年数を経ているものだと仰っていました。また北からの強い寒風の影響なのか、枝が南側に集中して生えている木も多く目にしました。
能登では、『能登ヒバ』を柱や鴨居に使い、輪島漆に弁柄を混ぜたものを塗って使っているが、ほとんどの『能登ヒバ』が民有林で生育地域が限られているため、ヒノキよりも値段が高くなって地元での消費は減っていると言われていましたが、平成24年度の石川県の原木価格の比較統計によれば、『能登ヒバ』は米松(ダグラスファー)の6掛けほどの値段ながら、製品価格比では断然米松よりも随分高くなっているので、節ありの内装材など付加価値の高いモノに加工されているようです。当地での実感については改めて地元の方からコメントを戴こうと思っています。
能登ヒバが文字通り、能登半島という地域限定の樹種であったため全国のマーケットを相手にするだけの潤沢な供給量が無かったという事もありますが、能登ヒバにはねじれながら育つという性質があり(高齢木になってくると次第にその特性も落ち着いてくるようで、そのあたりはカラマツとも似ていますが)、フローリングなどに成形後も暴れやすく反りやすいという点も、この木の用途拡大と需要を増やさなかった原因のひとつでした。節のあるものは土台か並柱、節の無いものは造作材というのが主流でした。
そうして能登ヒバの用途が定まっていた中において、『節のある内装材』として一躍脚光を浴びるようになったのは、乾燥技術(正確な桟積みから乾燥後の養生まで)が確立したのと、『能登ヒバ』に限らず、環境問題の意識の急速な高まりから、大トロではないが材を無駄にすることなくエコロジカルであるという『節のあるもの』への関心が全国的に盛り上がってきたという時代の事情もあります。それまで地域限定商品であった全国のさまざまな樹種が掘り起こされ、雑誌や専門書などで次々と紹介されるようになったのです。ところが能登ヒバの行く道は順風満帆ではなかったのです。続く・・・
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