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材料の高い精度が求められるプレカットが家づくりの主流となった現在、以前のように使われることは少なくなりましたが、最近でもこだわりのある頑固で粋な大工さんから時々ご注文をいただくのがこちらの『太鼓根太(たいこねだ)』。写真のものは厚み50mmの愛媛県産のスギです。根太というのは、フローリングなどの床板(ゆかいた)を支えるため、床の下に渡す横木の事ですが、この辺りでは45✕55、45✕60mmなどの小割の角材を根太に使うのが一般的です。
その場合、55、60mmは高さとなるので、床板と接するのは45mmの面になります。それに比べれば、太鼓根太は(木の元口と末口でテーパーになっているので)狭くても60~70mm、広ければ100mm以上の面で床板を受けることもあります。しかもすべてが芯持ち材ですからどちらが強くて丈夫なのかは一目瞭然ですが、プレカットには馴染まないため、いいとは分かっていても使われる機会が少なくなってしまいました。実は我が家もこの太鼓根太を使っています。
地域によって呼び方はいろいろあると思いますが、この辺りでは『太鼓根太』と呼ぶのですが、それは丸太の上下を製材しているので、断面から見ると太鼓のように見えることがこの名前の由来だそうです。強度は抜群でも、乾燥していることが肝心で、しっかりと乾かさなくては効果が伴わないどころか、根太の収縮で床鳴りなどクレームを作り出してしまうことにもつながりかねません。こちらの大工さんは天然乾燥にこだわられているので、使用する1、2ヶ月前に注文されます。
弊社に入荷した後は、桟積みしてじっくりと乾燥させます。いつでもどんな材でも、欲しい量を欲しい場所にすぐに手配できると思われている今どきの大工さんから見れば、なんでわざわざそんな手間暇のかかることをと思われるかもしれませんが、昔はこういう大工さんばかりでした。注文される段階で、その木がどれぐらい乾燥に時間がかかるのかまで経験値で分かっていたため、その時間も織り込んだうえでご注文をいただいていたものです。今更そんな事を言っても仕方ありませんが。
以前は、そうやって随分先に使うための材をそこかしこで乾かせていました。それが一人や二人の大工さんからの注文ではなかったのですが、当時はまだ広めの作業場を持っている大工さんも多かったので、ある程度乾いたら後は自分の作業場で乾かすから持って来いという方もいたりしたので、昔から狭い材料置き場ですが、それなりに材は回転していたと思います。こういう素材感溢れる商品って見ているだけでなんだか気持ちが落ち着きます。やっぱ古い材木屋なんでしょうか。
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