森のかけら | 大五木材


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★今日のかけら・#126【アユース/Ayous】 アオギリ科・広葉樹・アフリカ産

アユース、あまり外材を扱わない方でもその名前ぐらいは知っているだろうと思われるアフリカを代表する第一級の高木です。薄いクリーム色の木肌で、室内の装飾材であるモールディングなどに利用されています。成長すると高さが20~25mにも達し、直径も1mを超すような大木になりますが、基部には6~8mもの薄くて直線的な板根(ばんこん)が出来ます。と、こんな事を書きながらも実際に立っている姿をこの目でみたことはないわけで、嗚呼いつの日にかアフリカのジャングルでその御姿を仰ぎ見てみたいものです。

ところでこのアユースは、気乾比重が0.32~0.50、平均で0.40ということからも分かるように非常に軽軟な木です。それでいて大木になるので、幅広で軽い板が容易に手に入ります。通常バンドル買いといって、1.5~2.5㎥程度にまとめられた梱包で仕入れるのですが、その中には尺越え(約300mmUP)の幅広が多数入っています。今回仕入れた梱包などは、総数50枚のうち、およそ半分が尺越えで、最大のものは580㎜!不謹慎なもので、それぐらい幅広が多いと、幅広にありがたみを感じなくなってしまいます。

でもさすがに尺越えの板を細かく割り返すのは気が引けるので、結果的に幅広い板はずっと倉庫に残ることになります。いつかきっと、幅広い板に声がかかる日がやってくる、幅を狭くするのは容易だが広くは出来ないのだから、などと自分で自分に言い聞かしながら、幅広を割るのはモッタイナイ、モッタイナイと呪文を唱えながら、幅広を奥にしまってしまうため、幅広いいたばかりが残ってしまうことになるのです。これが他の木であればそのうち価値も高まるのでしょうが、残念ながらアユースに幅広の出口が見えない・・・。

木目はぼやけていて年輪ははっきりしない事、非常に軽軟でテーブルやカウンターなどにはあまり適さない事、などの理由から幅広い用途が確立していないため、いくら幅の広い板があっても求められなければ価値がない。よく知られるアユースの用途としては、前述したモールディングなどの装飾材の他には造作材、バードカービングなどの彫刻材、ハイヒールの踵(かかと)、家具用の芯材、内装の木摺などがあります。バードカービングとしては『ジェルトン』が有名ですが、どちらも均質で収縮が小さいという特徴が似ています。明日に続く・・・




弊社で制作している『モザイクボード』の納品先は、圧倒的に県外が多いのですが(主に関東、東海、近畿方面)、県内からも時々お声がかかります。その場合は工務店さんからの注文というよりも、施主さんからの直接の問い合わせがほとんどです。今回も市内の方からご注文をいただき、出荷準備の作業をしています。モザイクボードは、10数種の樹種が混在する多樹種積層フリーボードで、基本サイズは3000✕600✕30㎜と2000✕500✕30㎜の2種類で、無塗装品の状態で弊社に保管してあります。

ご注文をいただいて商品出荷時に、#180でサンダー磨きして仕上げます。ご要望に応じてこちらで植物性オイル塗装をすることも可能です。今までの実績でみると、その後自分でいろいろカットして加工するケースが多いため、無塗装での出荷が圧倒的多数。今回は必要サイズがはっきり分かっているので、長さをカットして角も糸面加工して、オイル塗装してからの納品となりました。私的にはオイルを塗らせてもらえると、仕上がり状態の色合いを自分の目で確認できるので、心配性の私としては不安の種がひとつ消せます。

併せて、最終的に塗装をしてどんな感じに「変化」したのかを見てみたいという願望もあります。大体の予想はつくとはいえ、その組み合わせはそれぞれ1枚きりなので、明るめの樹種を多めに入れた場合、全体の色調がこんな感じになるとか、濃いめの樹種だとこうなるといった、ザックリしたイメージを見ておいて、次にどういう樹種を混ぜ合わせるかの参考にするのです。無塗装の状態で見るのと、オイルが染み込んで眠っていた本来の木の色が呼び起されて現れた表情とでは随分と印象が変わってきます

左の写真の上半分は無塗装の状態。下半分はオイルを塗った状態。黒っぽく見えるのは、ブラック・ウォールナットサーモアッシュ。赤っぽく見えるのはブビンガケンパス、ブラック・チェリーなど。黄色く見えるのはケヤキなど、緑っぽく見えるのはイエローポプラなど。同じぐらいの比率で作ったとしても、その配置や量によって随分と雰囲気が変わってきます。最近は、樹種の指定や完成後のイメージまで細かく指定される事もあったりしますが、丁重にお断りさせていただいています。どうなるか、それは端材の神のみぞ知るところ




弊社もそうなのですが、今月が決算月という会社は多く、年度末ということもあって何かと慌ただしい3月ですが、それに伴って【森のかけら】への注文も増加しています。オンラインショップをリニューアルしたことで、そちらからの注文も順調に増えていますが、直接弊社に問い合わせ電話(またはメール)もそれに比例して増えてありがたい限りです。しかし油断していると、『かけら』の補充がおろそかになってしまい、いざ出荷しようとした時にそれに気づいて大慌てすることもしばしば、毎度毎度の繰り返し。

何度も何度もそんなタイトロープ(綱渡り)を経験してきたので、普段からきちんと整理しておけばいいだけの事なのですが、喉元過ぎれば熱さ忘れるという能天気な性格なもので、我ながら反省がない・・・。ちなみに【森のかけら】はどういう状況で保管しているかというと、240種+プレミア36+αの約280種ほどの樹種がそれぞれ10個ずつ収納できる専用の棚を作っていて、とりあえず急ぎの分はすぐに取り出せるようにしています。そこに収まらないものは樹種ごとに分けて別のところに保管しています。

なにしろ種類が多いので、1樹種100個の在庫(それだけで考えるとちょっとなんですが)で全種あるとすると単純計算でも3万個近いになります。実際には、品薄でわずか数個しかないものもあれば、数百個あるものもあって3万どころではないのですが・・・。もっと均等になるように在庫すればいいじゃないかと思われるでしょうが、基本的に『端材ベース』の商品なので、端材が発生した時にここぞとばかり作ってしまったり、原料の端材に節が多そうだから、多めに作っておこうかという老婆心が過剰に作用。

不足気味な樹種はその都度追加加工しているのですが、その整理がなかなか追いつかず。今日は久しぶりに自ら収納棚に「かけら」を詰めました。そうして時々はどれが多いか少ないかを目と体(触る)で体感しておかないと、倉庫を整理した時にたまたま出会った不足気味の『かけらの素材』とニアミスしてしまうことがあるのです。それぐらい覚えておけよと思うのですが、年々記憶があやふやになりつつあって、同じ木ばかり加工してしまうことがあって、網膜と脳髄にしっかり刻み込むためのトレーニングでもあります。




このブログでは日本の木、世界の木、分け隔てなし、贔屓なしに取り上げているつもりですが、物語性や民間伝承のネタが多いのと立ち木を目にする機会が多い分、結果的に日本の木の方が比率的には多くなっているかもしれません。それに対して針葉樹広葉樹については、ついつい広葉樹に肩入れをしてしまいがち。これは私の、野球なら巨人よりも阪神、相撲なら千代の富士より大乃国、プロレスならジャイアント馬場よりジャンボ鶴田という反骨精神の現れでもあるのですが。という日頃の反省も含めて、少しの間針葉樹の話。

まずは、フローリングとして一時代を築いた(私の中ではやや過去形になりつつありますが、それはあくまでも個人的な意見ですので)『パイン』こと、北欧産の『レッドウッド』。そうは言いながらも最近でも問い合わせは少なくはないのですが、性格がひねくれているのでつい遠ざけてしまうのです。市民権を得たジャーな木は、私ごときが出る幕もないと思いながらも、現実的には倉庫の目につくところにあるので避けて通っていても仕方がないので、レッドウッドの出口を考えてみました。

 レッドウッドのフローリングは、北欧の現地工場で加工されたものが輸入されていて、弊社もそれを扱わせていただいているのですが、国内の商品視点で見ると、かなり基準が甘いというか、そもそも現地ではそういうものだと思うのですが、欠け節や割れ節、反り、ねじれなど結構ユルユルなものも混在しています。直せるものは直して出荷していますが、欠損していたり、ねじれの酷いものは弊社基準でハネます。そうしてハネ材、いわゆるB品がこれでもかというぐらい発生してしまうのですが、それを短くカットしました。

いわば『レッドウッド版モザイクタイル』なのですが、一応自分の中で(今のところは)『モザイクタイル』は『広葉樹の出口』という勝手なきまりを決めてしまっているので(針葉樹に比べて光の少ない広葉樹に思いっきり判官贔屓なので!)、同じ仕様にはしたくない!という悪あがきで、少し大き目なサイズに加工。節が大きいので、ハーフサイズはさすがに難しいので90✕90㎜、90✕180㎜の2サイズにしたもののやはり二番煎じ感は拭えません。ならばもっと手垢にまみれようとコースターに。

弊社のキャラクターマーク『だいごちゃん』をスタンプしてみました。一応オンラインショップにもあげてみますが、ここからまだ先に進化できるかもう少し悩んでみます。こうして小さなものに加工してみるとやはり針葉樹の軟らかさで、傷の洗礼を受けます。だから駄目なんて言う気は毛頭ないのですが、その軟らかさに特徴を持たすためにも、タイルやコースター以外のもうひとひねりエッジの効いた出口が必要。しかしこの軟らかい木で磨き作業していると、広葉樹に戻りづらくなってしまいそう・・・




本日も針葉樹スプルース』の話。北米大陸を代表する木材のひとつで、木の素性がよくて軽軟なことから建具材として重宝される木ですが、愛媛では昔から建具材と建築材は供給ルートはきっちり分かれていて、弊社ではほとんど取り扱いがありませんでした。それでも時々はスプルース指定の注文もあったりして、携わってきたのですが、少し前にたまたまご縁があって少量のスプルースの板を在庫することになりました。家具や造作では声がかからなかったものの、別の用途から声がかかり久し振りにスプルースを加工しました。

柾目が緻密過ぎて写真では照明の当たり具合ではテカってしまって分かりづらいと思うのですが、接写するとこんな感じです。硬めの広葉樹の加工が続いていたので、スプルースだとサクサク加工出来て張り合いがないぐらい。むしろ仕上げ磨きしている時に、何気にサンダーとかをその上に置いてしまったりすると、それだけで傷がついたりしてしまって針葉樹の繊細さに自分のガサツさが際立つことも。ホワイトオークなどの感覚で作業をしていたらとんでもない事になってしまいます。

針葉樹は作業そのものはやりやすいものの、折角仕上げたものを運んでいる時に落として駄目にしてしまったり、夏だと日焼けさせてしまったりするので、自分の性格から考えれば針葉樹よりも広葉樹向きなのかと思います。特にスプルースはすぐに日焼けするので、迂闊に夏場に日の当たる場所に板ものを置いておくと、きちんと重ねとかないと速攻でうっすらと褐色に日焼けしてしまうので、そそっかしい私には本質的に向いていません。だからといって広葉樹は適当に扱っていいというわけではありませんが。

ホワイトオークホワイトアッシュなどやや硬めの広葉樹を磨く力加減でスプルースにサンダーをかけると、ザクッと表面を削り取ってしまうので体感スイッチを切り替えるつもりでやらないと、何度も加工直しになります。頭では分かっているものの、つい力の制御が乱れてパワー全開で磨いてしまい、今回も何度も加工直しをしてしまいました。年輪が詰まって整然と並んだ柾目の様子がまるで「細い糸を垂らした」ように見えることから糸柾』と表現することがありますが、綺麗な言葉だと思います、ただし上品な糸柾とガサツな材木屋との相性悪し・・・




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