森のかけら | 大五木材


当ブログに記載の商品の料金、デザインは掲載当時のものであり、
予告無く変更になる場合がございます。
現在の商品に関しまして、お電話、又はオンラインショップをご覧ください。

少し油断していたらいつものように【森のかけら】にかなりの数の欠品が発生していて、慌てて在庫の補充。一度に多くの種類を用意すると、加工して「かけら」になった時に樹種の識別に混乱するので、なるべく似たような雰囲気の木は一緒に加工しないように注意しています。特に同樹種で産地違い(例えばアカマツキリシマアカマツ、トサツガキリシマツガなど)は絶対に一緒にしません。別の樹種でも、アカエゾマツエゾマツとか、オクメシポタリなど見慣れていない木も共演はNG。

それでも同じ時期に在庫が切れかかっていて、このタイミングで加工しないと間に合わないという時があって、そういう時は荒加工したそれぞれの材の一部をカットして保管しておいて、仕上がった「かけら」と木目を見比べて判断します。240種もあれば、当然のことながら普段滅多に使うことのない木もあります。それでもある程度の大きさがあれば、全体の雰囲気や質感、匂い、木目などの総合的な判断材料を基に木の見極めが出来ます。それでも分からない木はいくらでもありますが・・・

なのでなるべく似た質感の木は混ざて加工しないことが肝心。後は時間差で加工をして、とにかく整理をきっちりする。というわけで今回もなるべく似たような木は混ざないようにしたつもりなのですが、これぐらいの大きさの時にはその違いがはっきりしていても、いざ仕上がってみると見わけのつきにくいこともしばしば。もうそこは長年の経験と最後はルーペでの判断となります。ある樹種については、既に端材では対応しきれずに、かけら用の素材を分けていただいているものもあります。

今回補充したのは、アカタブ、キハダ、キリシマツガ、シラカバ、スズカケノキ、センダン、ジンダイナラ、タモ、トガサワラ、トサツガ、トネリコ、ドロノキ、トドマツ、ニレ、ヒメコマツ、フジキ、ミズナラ、ヤマザクラと少し多め目の18種類。あ、今気づいた!共演NGなはずのキリシマツガとトサツガが共演している!!あれほど注意していたのに・・・。倉庫で運よく端材を見つけたのでつい嬉しくて足してしまったのです。まあ、こういう事を繰り返しながら共演できるようになるのかも・・・嗚呼。




円いものが二つ並んでいると人間の脳はそれを「目」と錯覚してしまい、さらにその下に丸か棒線でもあるとそれを「顔」と思ってしまうそうですが、仕事柄そういう事は多々あります。私の場合、円いものというのは節で、棒線はカスリであったり、虫穴だったり、傷や流れ節など。まあそれが顔に見えるかどうかというのはひとそれぞれの感覚だとは分かっているのですが、扱っているものが自然素材だけにそういう場面に出くわすと、これはもしかして何かしらのメッセージでは~?!と妄想増幅!

人面樹なんて言ってしまうとおどろどろしく聞こえますので、私はもっぱら『キャラクターマーク』と呼んでいます。先日も『オニグルミ』の木を加工していたら、不意に「そいつ」が現れました。今回、顔を作り出していたのは虫穴。あまり歓迎したくはないものの、クルミは虫に喰われることが多い木で、しかも結構大きめの穿孔穴が開いていてガッカリすることもあります。今回も本来ならばガッカリすることろでしたが、キャラクターマークの表情が少し怒っていたのでガッカリするよりも何だか恐れ入ってしまいました。

さかさまにして見ればなんてことない虫穴ですが、一端顔だと認識してしまうとどうやったって顔にしか見えなくなる。ひっくり返そうなななめにしようがもうこれは顔!そうなると、これを残しておきたくなるのが人情。そうだ、キャラクターマークの部分だけ切り取って、それを集めてみようかなどとも考えていたのですが、また本末転倒な事になりそうなので執着心が芽生える前に早々に断念しました。もともとは木の玉プールの中に、時々そういうものが紛れ込んでいるのが気になったのが発端でした。

加工したことで偶然顔が出てくる場合もあれば、切った断面とか、木材そのものが見る角度によって顔に見えることもあります。先日は製材所で検品中に、その様子を笑いながら眺めているこんな奴に遭遇。一見笑い顔っぽいのですが、よく見ると額の割れが青筋にも見えて、「いつまでほったらかしておくつもりじゃ!さっさと製材せんかいっ!」なんて、竹中直人の名人芸『笑いながら怒る人』のようにも見えて怖い。彼らとの出会いはこちらの深層心理が強く反映しているのかも・・・




前にこの木を紹介した時にも書きましたが、この木は17世紀の中頃からカーキ色の染料としてヨーロッパに輸出されてきた歴史があります。前は試し削り程度でしたが、今回はガッツリ削りましたので、大鋸屑もそれなりに出ました。という事は・・・もちろんそれを捨てたりはしません。『森の砂・タタジュバ』の採集に成功!とりあえず900㎖瓶で3本程度ですが、整理出来次第オンラインショップでもアップ予定。時間が経つと採取した時よりも黄色味が増したような、錯覚?

カーキ色とは日本語で言うと「土埃色」。もともとイギリスの軍隊が、インドに駐留していた当時人に白い軍服だと汚れが目立ってしまうので、土を使って服を染めた事に由来しているそうなので、土埃色という言い回しは的を得ています。この大鋸屑を使えばいい感じのカーキ色に染まるのどうか、いずれ実践してみようかと思っています。こうやって削った際に個性的な色の削り粉が出るたびに回収していたら、いつの間にか瓶が足らなくなってしまって、先日急遽保存瓶を追加購入しました。

売って溜めるか、溜めてから売るか、悩むところですが、同じような苦悩は【森のかけら】でも経験済み。結局全部揃ってからなんて構えていたら、発売がいつの事になるのやら分からないので、在庫も不安なままに見切り発車しましたが。今となってはそれがよかったと思っています。在庫はカツカツでもどうにかなるもの。それよりもお客さんの反応を見ながら改善もしていくことの方が大切。という事で早速『森の砂』についても貴重なご意見をいただいているので、現在そちらを準備中。

今のところオンラインショップでアップしているのはまだ900㎖の瓶のみなのですが、大鋸屑を集めるときには大きめのビニール袋を使っているので、早めに売り出さないと、『森の砂』の在庫を置くスペース確保も厳しくなってきています。遂に材と粉すべてを商品化していくようになったので、ますます商品アイテムが増えて、1つの材が倉庫から出ていくと、分身の術のように複数の小さな商品になって戻って来るという流れになっています。事務所が瓶で埋め尽くされる前に動き出せるか!




ある研究によると、およそ全ての色について女性は男性よりも色を識別する能力に優れており、より細かな色の違いを見分けることが出来るそうなのですが、高校生の娘たちと話しているとそれはよく分かります。男が識別能力に欠けるという事もあるかもしれませんが、それよりも細かく識別する事自体に興味がないということもあると思います。娘たちが話している服の色の微妙な差にどれほどの意味があるのか、それが分からない・・・。これは男性が、というよりも私個人的な見解です。

視力とかいう話ではなくて感受性の問題なのかもしれませんが、服とかだけでなくて仕事である木の色についても言えることで、そもそも持っている語彙が少ないという事もありますが、木の色合いの微妙な違いを言葉で表現するのがとっても苦手。木の場合、伐採直後こそ水分が多くて瑞々しいものの、しっかり乾燥してしまえば全般的に色が淡くなるので、その違いも本当に微妙になるため、違いを伝えること自体容易ではありません。このブログを書いていても的確な表現が出来ず臍を噛むことしきり。

分かりづらい色の区別の中でも特に黄色が苦手なのですが、『カーキ色』なんて未だにどれがそれ何だかよく識別出来ません。薄くて淡い黄色ぐらいの表現で別に困ることのありませんが、先日加工した木材の利用用途に「カーキ色」の名前が!その木とは、中南米産のクワ科の広葉樹『タタジュバ(Tatayuba)』。国によっては『モラル(Moral』とも呼ばれる木で、高いものでは40m近くにまで成長する大木ですが、私も出会ったのは数年前の事で、未だにその明快な用途は定まっていません。

とりあえあず仕入れてみたので、これから探り探り適性を見つけていこうと考えているところです。気乾比重0.77で、非常に重硬でシロアリにも強く耐久性も高いため、海外では船材としても有力だそうです。他にも橋や桟橋など水に浸かる重構造物やボート、水槽にも利用されるのですが、材質以上にこの木を有名にさせているのはその色合い。仕入れた時は、表面がすっかり日焼けしていて濃い赤茶に退色していて本来の色合いが分からなかったのですが、削ると鮮やかなオレンジ色が現れました。




3月末の決算に向けて倉庫の整理を急ピッチで進めております。過去の長期的な対面の蓄積で、台帳には記載しているのに行方不明になっている木もあって、たまたまそういう材に問い合わせがあった場合には、狭い倉庫の中で折り重なるように並べられた板を右に左に動かしながらの大捜索が始まります。倉庫の中に立て掛けてあるのは基本的には乾燥していいる材なのですが、いくら乾いているとはいってもサイズや樹種によっては重たいものもあって、そう簡単には動かせない木も多々あり。

立て掛けるときにきちんと1枚ずつ値札を付けておくとか、並べる位置をもっときちんと整理しておけばいいのでしょうが、木を見に来られた方がいらっしゃると、あれもこれも見ていただきたいので、次から次に板を引っ張り出しては並べて移動させて、後で片づけようと思っていたら、また別のお客さんがいらして、移動させた板の上にまた別の板が重なり・・・。ただ片づけ下手な言い訳です。自分なりには何をどこに置いてあるかは分かっているつもりでも、思ったところにそれがない・・・。

結局毎度毎度大捜査が展開されることになるわけですが、悪いことばかりではなくて、そうやって何度も何度も板を担いで動かすことで、それぞれの板のコンディションや乾燥の状況を肌で感じることができます。乾燥はしているといっても、立て掛けておけば更に乾燥は進むので、皮膚感覚でその状態を確認できて、自信をもって提案出来る根拠にもなります。何より記憶力が悪いのでそうやって実物に触れていないと、あの木はどうですかと尋ねられた時の具体的な説明が出来ないのです。

まあそうやって自分なりの言い訳で自らを奮い立たせて今日も倉庫に向かうのですが、今月はかなり耳付き板への問い合わせが増えていて、その結果として倉庫内は結構な状況になっています。板が通路にもはみ出してほとんど歩くスペースが無い状態。分かりやすく言えば、映画『300(スリーハンドレッド)』の「山羊の道」のようなもの。この道を広げてしまうとペルシア軍に攻め込まれてしまう可能性があるので、あえてこのままにしておこうかと、私の中のレオニダスが叫んでいる・・・




オンラインショップ お問い合わせ

Archive

Calendar

2018年2月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728  
Scroll Up