森のかけら | 大五木材


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★今日のかけら・#078【椴松/トドマツ】マツ科モミ属・針葉樹・北海道産

折角、北海道からわざわざトドマツ王子こと吉田良弘さん[㈱ヨシダ:代表取締役]がご来店されたので、本日は『トドマツ』にスポットをあててみます。トドマツはマツ科モミ属の常緑高木で、エゾマツと並んで北海道を代表する木のひとつで、【森のかけら】にも含まれていてその知名度から考えればもっと早くに取り上げるべき木なのですが、四国に住む私にとっては馴染みの薄い木なのです。全国的な視点で日本の森を見た時に、北海道のエゾマツ、トドマツは当然外せない重要な樹種でした。

ところが個人的には【森のかけら】を作るまで北海道産のトドマツを実際に見たことも使ったこともなかったのです。勿論写真や画像では見ているし、情報としては知っていたものの、そのものに触れた事がありませんでした。エゾマツのほうは、たまたま昔目にする機会があったのと、『木のもの屋・森羅』で家内が仕入れた全国各地の木工品の中にエゾマツ製の経木(きょうぎ)懐紙とかがあったので、見たこともないわけではなかったのですが、いずれにせよ大きな意味での「材木」としては見たことがありませんでした。

トドマツは、マツ科であるもののモミ科ということで、アカマツやクロマツなどのいわゆるマツよりもモミに近く、色合いもモミのように心材と辺材の差が明確でありません。北海道全体の森林面積のおよそ3割がトドマツという事(人工林の蓄積量の中のおよそ4割を占める)で、資源量も多い分、その用途も広く、軽量で色白で加工性もよいことからさまざまな分野で利用されています。中でも卒塔婆などの葬祭具経木漬物樽、米櫃、茶道具箱、食品の保管箱など有名で人々の暮らしを支えてきました。

吉田さんのところでは主に土木資材、建築材、梱包パレット材などに利用されています。圧倒的な資源量がそれを支えているようですが、集材は周辺100キロにも及ぶのだとか。本州でのスギやヒノキの役割を担っているように思われます。【森のかけら】のラインナップに加えた際は、他の北海道産の広葉樹も欲しかったので、別の製材所に依頼したのですが、数年前から吉田さんにお願いしてトドマツを送っていただいています。そうして届いたのがこちらのトドマツ。開封すると北海道の香りが?!続く・・・




この数日間、マツの話をしてきましたが、私の中には『木が木を呼ぶ、木が人を呼ぶ』という法則がありまして、特定の木ばかり触っていると同じような木がやって来たり(具体的には製材や商社からオファーが入ったり、その木で注文が舞い込んで来たり)、それに関連した人がやって来たりするというもの。例えば九州の木を加工したり、ブログで触れていると、九州の方がやって来られたり、九州から飛び込みの注文が入ったり。それで今回久し振りにマツを扱っていると、北海道から『トドマツ王子』が不意にご来店!

そのための長いフリだったわけではなくて本当にたまたま偶然なのですが、日本木材青壮年団体連合会(木青連)に在籍していた頃にお世話になっていたトドマツ・エゾマツ専門製材『㈱ヨシダ』の吉田良弘社長が、北海道は苫小牧から突然のご来店。たまたま愛媛で木材研修会があったとの事で、わざわざ立ち寄っていただきました。吉田さんとはほぼ同世代ですが、私は総務委員会の雑用で出向している身、それにひきかえ吉田さんはバブル崩壊後混乱していた北海道の木青連を孤軍奮闘で支え、全国の会長まで務められました。

愛媛と北海道でお取引があるというわけではないのですが、そこは全国にネットワークのある木青連の醍醐味。私も同様に全国のどこかに出張あらばその地のOBや現役会員を頼って訪ねたりさせていただいていますが、そういう意味では操業してからのほうがその恩恵にあずかっています。吉田さんの会社では主にトドマツを製材されていますが、社歴も70年を超える老舗で、年間に60,000㎥もの原木を消費する大型工場。なのでうちのような零細弱小材木店に来られたとて、何もみるべきものはないのですが。

そこを繋いでくれたのは木青連のネットワークと『適材適所』。昨年末に20年の区切りで終了したアナログ通信でしたが、出会った方々には毎月送らせていただいていて、吉田さんのお母さんも読んでくださっていたそうで、「母が楽しみにしている」と声をかけてもらうのは励みでした。木工品を集められるのがご趣味だそうなので、いつの日にか私も苫小牧にお邪魔させていただければと思っています。そんな時に、普段はほとんど無いマツの木が山積みされていたというのは、マツがトドマツ王子を呼んだとしか考えられない!続く・・・




木に貴賤なし!が私の信条ではあるものの、得手不得手はあって、実はマツ全般がちょっと苦手だったのです。厳密に言えば、生材のマツ。フローリングなどの製品となったものは、苦手どころか歓迎するほど好きですが、未乾燥のマツが苦手なその理由は2つあって、その1つがしつこいマツヤニ(松脂)でした。しかしこちらはハンドボールクリーナーによって解決。もう1つの理由もそのヤニに関する事なのですが、加工時の目詰まり。弊社では基本的にオイル塗装なので、仕上げは超仕上げではなくサンダー

超仕上げとは、加工された材を再度カンナで薄く削って仕上げる技法の事で、より滑らかさや光沢を得ることが出来ます。一方でサンダー仕上げとは、表面をベルトサンダーなどで磨いて仕上げる技法の事で、艶や光沢は無くなるものの、塗料の吸い込みが良くなります。オイル塗装をする場合にはサンダー仕上げの方が適しているとの判断から弊社ではサンダー仕上げを基本としています。マツの場合、見た目には溢れ出るようなヤニが見当たらなくとも、サンダーをかけるとすぐに目詰まりしてしまいます。

それですぐにエンドレスベルトを取り換えなければならなくなってしまうのです。他の樹種であれば何度も使えるベルトが、よく乾燥したマツであればそれほどでもないものの、生材だったり乾燥が甘いと1回の加工で完全に目詰まりしてしまうこともあって、これが続くと結構な出費。そういう理由で生のマツが苦手になり、マツの丸太の仕入れには二の足を踏むようになりました。なので今回も積極的に働きかけたわけではないのですが、木との縁も一期一会ですので、あえて苦手な分野にも飛び込んでみました。

そしたら、マツヤニクリーナーとの出会いがあって、苦手な理由の1つが解消。更にもう1つの苦手理由を解消できる画期的な商品(目詰まりしたベルトサンダーにこすり当てると目詰まりを除去できるベルトクリーナー)にも出会うことが出来ました(まあこちらは現在注文していてまだ使ってはいませんので、実際にどこまで優れものなのか検証していませんが)。これも『かけらの神』のお導きだと思っています。そういう道具を与えるから、マツも毛嫌いせずにきちんと出口まで面倒見ろよとの、無言の圧力




きっとマツを挽かれる製材所などでは、当たり前の話なんだと思うのですが、私はそれまでヤニは材木屋の証として耐えるものという前時代的なものの考え方だった(ただそういうものを探すのが面倒くさかったとも言う)ので、このモルテンのクリーナーは衝撃でした!最初、どれほどのものかと少し疑っていたものの実際に使ってみたら、ヤニが落ちる落ちる!あれほどしつこかったヤニが掌から浮き上がるように剥がれていくではないですかっ!これは素晴らしい~。今まで知らずに随分損をした気分。

成分は界面活性剤と石油系溶剤とのことですが、クリーナーだけでなくハンドボール専用のマツヤニまで販売されていました。落とした後若干石油臭さは残るものの、どうせすぐに掌は木の匂いで包まれます。あまりに気持ちよくヤニが落ちるので、初めて使った日は何度も何度もそれを繰り返してしまいました。ヤニからの解放がこれほど爽快な気分になるものだったとは!そこから先はマツの整理にも気持ちが入って、作業もスピードアップ。3t車山盛り3台分ぐらいあった板も綺麗に桟積み完了しました。

誰かにやらせればいいのにと思われるかもしれませんが、こうやって桟積みしてこれからひたすら太陽と風に任せて1,2年は乾かしていくわけですから、それがどういうものであったか自分の目で見て、記憶に焼き付けておかないと、乾燥後にどういう価格設定にするのか、どのサイズの板をどういう用途で使うのかなど戦略も練れません。なによりこれからしばらくは会えなくなるのですから、乾燥して立派に成長する前の姿を見ておかなかったら、とても1,2年も辛抱して待つことなんて出来きるわけがありません

直径600~800㎜ぐらいの立派なアカマツでしたが、ヤニっ気の多いのと少ないのが混在していて、ヤニの多い方は切った小口から水飴のように溢れ出しています。一方でヤニっ気の少ない方は表面もそれほどねとつきがなく、小口からの滲み出しも見られません。さあこれから長い乾燥期間を経てこれらがどういう風に成長変化していくかが楽しみです。乾燥の経緯を確認するために、数枚は倉庫に立て掛けて様子を見ていくつもりです。これで私の中のマツの苦手意識は少し薄れたものの、実はもう1つ苦手な理由が・・・




数日前のブログでマツのヤニ(脂)について触れましたが、年明けに松山市内某所で伐採されてアカマツモミなどが大量に入荷して、この数日間は板に挽いたそれらの整理に追われていました。その結果私の手はヤニで真っ黒のネトネトに・・・。乾燥の甘いマツを触る場合、普段は手袋を付けているのですが、あまりに大量にあってつきっきりになっていたので、マツの板を動かしたり検品している最中にも引っ切り無しに電話がかかってきて、そのたびに手袋を外していたら、ついそのまま作業してしまいヤニが付着!

ひとたび手についてしまうともう吹っ切れて、いちいち脱いだり付けたりするのも面倒になって、素手で作業をしてしまったためこういう結果になってしまいました。マツはなんにも悪くないのです。私がそそっかしくて横着なだけなのですが、手や服に付いたヤニが厄介で、石鹸や洗剤ぐらいでは簡単に取れないので、もうそれだけで気分が滅入っていました。そういう小さなネガティブな経験が積み重なっていって、知らず知らずのうちにマツと距離を作ってしまっていたのかもしれません。

そしたら少し前に高校1年生の息子と話をしていたら、息子は部活でハンドボール部に入っているのですが、ハンドボールではボールが滑らないように手にマツヤニを塗るそうなのですが、そのため練習中は掌がネトネトしていて、体育館のドアノブにもビニール袋が巻き付けてあってヤニを付着させないようにしていると言っていました。でもそのわりには、練習の遠征の際など迎えに行っても掌が汚れている様子がないので、どうやってマツヤニを落としているのか聞いてみると、専用のクリーナーを使っていると。

調べてみると、ありました。モルテンのハンドボール専用マツヤニクリーナー!業界でヤニがよく落ちると噂の石鹸や洗剤など試してみましたが効果がいまいちだったのと、プレカットの台頭もあってマツそのものに触る機会がどんどん減って(プレカットなので生材はNG,材がKD材・乾燥材に急速に移行したため)、ヤニに悩まされることも少なくなったため、それほど熱心にそういうものを探していませんでした。それが今回不意に大量のマツが入荷して、久しぶりにマツヤニに苦しんでいた私に吉報!明日に続く・・・




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