森のかけら | 大五木材


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祭りの今年の夏はおかげ様で忙しく働かさせていただきました。特に非建築分野での仕事が同時多発的に舞い込んで来て、大五木材史上最大のボリュームとの葛藤の日々でした。最後の方は納期との激しいデッドヒート、この2年間毎月『万単位』の注文をこなしてきたスタッフのチームワークと献身的な頑張りでどうにか紙一重の差で納期をかわして無事にゴールインすることが出来ました。数年前ならば、数量と納期を聞いただけで「少数のスタッフでそんな数がこなせるわけがない!」と土俵に上がる前に腰が引けていたことでしょう。

常に『出来ない理由』を探しまくって挑むことに背を向けていたでしょうが、老いても人は変われるもの!ボリュームが大きくなるに比例して、単価は下がっいくものですから、シンプルなものであればあるほど量をこなさないと旨味はありません。弊社には特別な技術がありわけではありませんが、優れた技術を有する取引先には恵まれています。その技術力を頼りに、200種を越える多様な樹種を扱えるという弊社の強みを生かして、ちょっと他社ではまとめにくいような仕事とかが理想なのですが、いつもそういう仕事ばかりがあるわけではありません。どうしても大きなボリュームとなると、供給が安定しているスギやヒノキといったスタンダードな樹種が選ばれますが、いずれ大五木材らしい樹種のセレクトが出来るようになれればと考えています。

そのためには単なる価格競争でなく、さまざまな木のそれぞれの物語をいかに魅力あるものとして伝えられるかという事がカギとなってきます。その木でなければならない必然性、その物語が商品と関連づけられたら面白い、そういう視点で木をご提案できるようになることが大命題。そのためにもまずは240種の物語を整理してまとめておこうと思い、過去に書いた『今日のかけら』の編集作業に猛烈な勢いで取り組んでいます。物語の深度にはどうしても経験が必要になるので、そこは今後書き足すとして、とりあえず扉だけは開きたいと思います

話は戻りますが、そういう事で今年の夏はいろいろな非建築のお仕事をさせていただきました。それぞれ単位が大きかったもので、試作やら予備もそれなりに作りまして、テーブルの上に残ったそれらがまさに『祭りのあとの静けさ』。レーザーでくり抜いた残りの型や、幅剥ぎ合わせして丸く削ったものの失敗した凹み丸、通常の弊社の倉庫では見かけないような『夢の轍(わだち)』は、普通ならばゴミとなるものですが、彼れらとてあの夏を共に戦った仲間。戦いが終わったからといって見捨てるなんてことなど出来るはずがないっ!戦いは終わったものの、ここからは彼らの「救出」&「出口」を探すための旅が始まる。ここにトム・ハンクスはやって来ない。ならば私がライアン兵卒を探しに行こう!

 




8月最後の土曜日である31日に大五木材の裏敷地において、映画の上映会を開催します。宮沢賢治の原作を、『火垂るの墓』や『おもひでぽろぽろ』、『平成狸合戦ぽんぽこなどで知られる高畑勲監督が1982年に監督された作品『セロ弾きのゴーシュ』というアニメ作品です。上映時間は63分。8月31日(土)19:30より受付開始、20:00より1回限りの上映となります。当日券は、1ファミリー¥1,000(前売り¥900)。前売り券は大五木材にて販売しています。屋外上映ですので、椅子や飲み物などの持ち込みも大丈夫です。

昔、倉庫の中を空っぽにして『どうぞのいす』のお芝居をさせていただいたこともありましたが、屋外映画の上映は初めての試み。弊社のスタッフの石川奈々さんは、自主上映団体「マネキネマ」の活動を通じて、その事務局長であるご主人の石川誠二君と結婚しました。その関係で自主映画などには精通しているので、そのご縁で今回の星空シネマの企画が実現しました。入場料はいただくものの、営利目的というよりは、木と人を通じて材木屋という空間を生かして何か面白いことが出来ないかの一環です

音漏れや光量、車の騒音、天候など、初めての試みなのでいろいろ問題は尽きませんが、まあなにはともあれ『出来ない理由』をグダグダ並べて何もやらない傍観者になるよりは、失敗覚悟でいろいろと思いついたことはやってみましょうという企画です。当日は大五木材は通常営業(8:00~17:00)しておりますので、お早めに来ていただいて、『木のもの屋・森羅』で木のおもちゃや木製クラフト、雑貨などをご覧いただいたり、倉庫の中の『端材コーナー』でさまざまな木の端材を探してみて下さい。

家でも建てたり、家具でも買うことにならないと、一般の方にとって材木屋ってなかなかご縁も無いし、入りにくいものかもしれません。こういう機会に是非、偏屈マニアック材木屋を覗いてみて下さい。材木屋のイメージが少し変わるかもしれません。スタジオジブリの中では、年々ストーリーが破綻していく宮崎駿監督よりも、高畑勲作品の方が分かりやすくて好きなのですが、高畑勲監督は昨年惜しまれつつお亡くなりになられて、新作を観る機会は永遠になくなりましたが、作品はこうして今後も残っていきます。ご家族でご来店いただき、夏休みの最後の週末を材木屋でごゆっくりお過ごし下さい。




ほとんどの材木屋、製材所さんはこれを見て、「廃棄処分すべきゴミ」あるいは「チップ」、なかには「バイオマスの原料」なんて思うひともいるかもしれませんが、いずれにせよ『必要部位を取った処分すべき残り物』という認識だと思います。実はこれ、弊社で『マツの木杭』を取った時の端材です。大五木材における木取りの優先順位の上位については昨日触れましたが、造作や家具を頂点に、その下には【森のかけら】や『モザイクボード』など30~35㎜角仕上がりの自社制作商品の貴重な原料という出口が控えています。

そうして【森のかけら】などの原料(40×40㎜の角材)を取るために更に細かく挽き割ると、残りはこんなペラペラなものになります。【森のかけら】では丸みは使えないので、耳のエッジの緩い部分などはどうしても使えません。そうやって残った、申し訳程度に樹皮に身(肉)がついた部分。これでもまだ焼却炉には行きません。ここから更に厚みが薄い商品、うちの場合だと仕上がりが厚み10㎜の『誕生木ストラップ』を木取りします。樹種によっては別のストラップに。

そうして残ったのがこちらの、触ればそれだけで折れてしまうような本当にペラペラの部分。さすがにここまで来ると、これを割ったり削ることの方が危険なので、これでようやく原料という名前が外れます。それでも少し肉付きよければ焼却炉ではなく、『ここ掘れワンワンお宝発掘』コーナーに移送。これはこの袋の中にあるもの無料なので、クラフトとかされる方どうぞご自由に発掘してもって帰ってくださいね、というコーナーです。残念ながら今の私の物差しでははかりきれなかったモノも、違う人の物差しだと生かせるかもしれないという大五木材の最後のセーフティーネットです。

それでも端材視点で見れば、「その上から目線が人間の傲慢さなんじゃ!まだまだ護摩木だっって、マッチ棒の軸だって、割り箸だって、取ろうと思えば取れるじゃろうが~!骨までしゃぶって使うというならせめてそれぐらいしたらどうじゃ~!」と怒られてしまいそうです。本当はここからもう一段階何かを取り出せればいいのですが、あまり行き過ぎると端材に軒先貸して母屋を奪われかねない(既に一部そうなりつつ場所もある)ので、心を鬼にして端材たちの声から耳を塞ぐか、体中にお経を書くしかないのです、合掌。

 




大五木材における木取りの優先順位としては、内装に使う造作や家具などがもちろん最上位。こういうモノは、昔は荒材のまま大工さんの作業場所に運ぶというのが常でしたが、最近はほとんど加工して現場納品となっています。私が大五木材に入社した頃から木を加工切削する基本的な加工機だけは置いていましたが、それはうちで使うというよりも、ここで手刻みに来る大工さんが使うためのものでした。なのでうちで木を本格的に加工するなんていうのは、私が入社してから10年ぐらい経ってからのことでした。それからは時代は移り、木は加工して現場に収めるものに

プレカットが主流となってからは、手刻みされる大工さんもほとんどいなくなり、加工されたものが現場に届くようになったため、弊社にも大工さんが来られることがすっかり少なくなりました。昔は図面を事務所の机の上に広げて、ラインマーカーで色付けしたりして、縁甲板には何の木を使って、この框は何にしようかと喧々諤々やり取りをしたものですが、今はそれもメールで済むし、大工さんのところに図面が来る段階で既に木材の使用は決まっている。あるいは大工さんのその決定権が持たされていないという現状。

まあそれはそれで仕方がない事で、それに合わせて弊社で木の事を打ち合わせする対象も、大工さんから設計士さん、デザイナーさん、コーディネーターさん、あるいは施主本人へと移り変わってきました。それでこれこれこの木を使いたいという事になると、うちにある加工機に入らないようなサイズのものや高度な技術が必要とされるものは、木工所や家具職人さんの工場に持ち込みます。簡単な加工についてはなるべくうちでやるようにしています。その場合かなりザックリした加工が多く、樹皮があることも少なくありません。

耳を生かしたいというのは、テーブルやカウンターのケースが多いので、そういうのは家具屋さんに頼みますが、シンプルに割るとか耳を落とす程度の作業はうちで行います。【森のかけら】や『モザイクボード』、『森のりんご』などはこうしてうちで適当なサイズに荒割りしたものを、それぞれの木工所に送って仕上げ加工してもらっています。すると写真のような少しだけ「身あるいは肉」のついた引き落としが発生します。私がモッタイナイの精神の権化みたいなものですから、当然まだこれで捨てたりなんかはしません。

 




山の日恒例の石鎚山のイベントは、ロープウェイ乗り場から少し離れたピクニック園地というところで開催されます。最初の数年は、あちこちどの場所がいいのか試していましたが、最近はここに定着しました。このスペースは石鎚登山道とは完全に離れていて、家族連れでバーキューをしたり、冬にはスキー、夏にはグラススキーやウォータースライダー、スラックラインなどが楽しめる場所として整備されています。なのでここに来られる方たちは登山目的ではなくてここが目的でやって来てのんびり過ごそうと思われているので在時間も長い。

そのためしばらくは芝生で楽しく遊んでいた子供たちも休憩がてら集まってきて、木の玉プールに入ったり、木工をしてくれます。端材などを用意しての木工体験では、毎年ここで夏休みの工作をこなしくいくつわものもいれば、どうやって家まで持って帰るのかと親を困惑させるような巨大オブジェを作り上げる子もいます。最初は遠巻きにみていた親御さんも、こうしたほうがいいとかボンドが多いとか遠隔操作していたのに、そのうち我慢できなくなって参戦し、子ども以上に熱くなって自分の作品を作り上げるのも恒例。

毎年その日にここでバーベキューをされる家族連れや友達グループもいて、そんなところの子供たちは常連さんで、道具の使い方も手慣れたもの。「今年はこんなもの作ったよ」と見せてくれますが、他人様のお子さんながら、去年に比べて急に背が伸びたりしていたり、おとなびていたりして驚かれることも。子どもって今までは出来なかった事が、ある年齢から急に出来るようになったりしますが、そういう成長の過程の中にも木のモノがあるといいなあと、こういう姿を見ていて感じます。森のかけら」20段積みも続々とクリア!

少し前にこのブログでも紹介した木製バランス遊具『Wobbel(ウォーベル)』をこの日も持ってきましたが、こどもたちに大人気!こどもたちに下手な説明は要りません。めいめいが楽しく遊び方を考えて楽しんでいました。自分でもいろいろ商品を考えたりしますが、多くが素材中心の物語性を帯びた感性商品のため、使い方を訊ねられるのが苦痛でして(自分で考えろよ~!なんて腹の中で思ったり)、そんな事をヒラリと乗り越えてこどものハートをわしづかみにしているWobbelを見るたびに、これぞ『本物の木の出口』と感服します。




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