森のかけら | 大五木材


当ブログに記載の商品の料金、デザインは掲載当時のものであり、
予告無く変更になる場合がございます。
現在の商品に関しまして、お電話、又はオンラインショップをご覧ください。

昨日の大相撲、千秋楽の大一番は久々に見ごたえのある名勝負でした。勝った朝青龍も、負けた白鳳も気迫充分で、本割から決定戦までの張り詰めた緊張感は、大相撲の魅力を伝えるのに余りあるものだったと思います。思わず土俵でガッツポーズをして、意気揚々と花道を引き上げ観客とハイタッチを交わす朝青龍の後ろ姿と、唇を噛み締め心底悔しそうに花見を引き上げる白鳳を正面から捉えたバストアップショットの切替画面が秀逸でした!観客に讃えられる勝者と、孤独な敗者とう対比の構図が分かりやすくてよかったです。

スポーツはこうでなくっちゃ!勝負前はほとんどが白鳳コールでしたが、優勝した途端に朝青龍に大歓声。勝負の内容が良かったとうのもありますが、浪花節の好きな日本人らしい反応だったと思います。いずれにせよ相撲がしっかりしてさえいれば、土俵外の事でこれほど過熱報道がされることもなかったんではなでしょうか。もし白鳳が勝っていたら、それみたことかと朝青龍バッシングでしょう。手のひらを返すような、昨今のメディアの信念のない薄っぺらい報道姿勢には辟易ですが、やっぱり勝負事は勝たねばなりませんね。

今場所を大いに盛り上げた二人の横綱の名前にはそれぞれ空想上の生き物が関わっています。それは龍と鳳凰です。実は龍と鳳は、中国でもっとも愛好さえる一対の瑞祥なのです。瑞祥とは、「瑞」には「めでたい」、「祥」には「前兆」とか「吉兆」という意味があり、中国においては神話や伝承をもとに、帝、王、国家統治などの象徴として図案に使われたものだそうです。「龍と鳳が祥(さいわい)を呈する」とか「鳳が舞えば分は開け、龍が飛べば武は栄昌(さか)える」などの表現があるほど縁起のよいものとされています。

龍といえば、やはり『リュウゼツラン』に尽きるのではないでしょうか。棘のある肉厚の葉を竜の舌に見立てたことが、『竜舌蘭』の名前の由来だといわれています。私が初めて『竜舌蘭』を知ったのは、さだまさしの歌『女郎花(おみなえし)』の「竜舌蘭の夢は白い夢~♪」という歌詞を聴いた時です。そして鳳といえばその住処は桐だといわれています。手塚治虫の漫画『火の鳥』に登場するように、鳳凰は全霊の王であり、桐の木に棲んでいるとされています。そのため桐は高貴なものの象徴ともされています。今回の大一番はまさにその瑞祥の対決。つまり縁起のいい竜(龍)と鳳の対決です。この勝負、軍配がかえる前に大いに盛り上がることはまちがいなかったわけです。

 




★今日のかけら・#004 【赤椨/アカタブ】 クスノキ科クスノキ属・広葉樹・日本産(宮崎産)

弊社が作ってるカレンダーがあり、全国の巨木の写真入りの物と輪切りの丸太が可愛らしく並んだ物の2種類があります。それぞれ同じ部数作るのですが、丸太の方が人気があって毎年先になくなってしまいます。木の写真の方も味があっていいのですが、丸太のほうは毎年『ご指名』される方も何人もいらっしゃるほどで、来年は丸太だけにしょうかなと思っています。木の写真の方のカレンダーの方を自宅のトイレに貼ってあるのですが、いつも見ていて「!」と思うことがあります。年の始まりからずうーっと気になっていました。2ヶ月分のカレンダーで、1.2月の巨木は『犬楠(イヌグス』です。イヌグスというのは、タブノキの別名です。樹形や葉の形もクスノキとよく似ていていますが、クスノキよりは劣るという意味の「イヌ」が合成した名前です。

 

富山県氷見市の樹齢500年の立派なタブノキです。高さ10m、幹回り6.5mの県指定の天然記念物【長坂の大イヌグス】です。右の写真が幹のアップなのですが、凸凹したコブがあります。タブノキは、日陰や薄暗いところでもよく育つ退陰性という性質の木で、大きく育ち四方に枝を大きく広げます。その樹皮から線香が作られることからも知られていますが、クスノキ同様に強い芳香性のある木というのは信仰崇拝の対象となります。さらに天高く突き上げ(最大で10mぐらいになるものもあるそうです)直径も数メートルにもなる堂々とした風格で四方に枝を広げ、奇怪なコブを持つという様相は、まさに森の主役!境内に数多く植えられご神木として崇められるのもうなずけます。その根の付近のコブからは美欄(びらん)と呼ばれる、装飾性の高い杢が取れることもあります。

そういう性質から森の神・精霊が宿る木として、「霊(タマ)の木」と呼ばれ、それが転化したのが「タブノキ」になったといわれています。そのタブノキのうち、薄紅色をしたものを『赤(アカ)タブ』、『紅(ベニ)タブ』と呼び、淡色のものを『白(シロ)タブ』といって区別します。【森のかけら】に加工しているのは、「アカタブ」の方です。

また、クスノキの事を「」と書くこともありますが、本来クスノキは「樟脳」を示す「」を充てるのが正しいようです。クスノキが九州に多いことから南の漢字が充てられたようです。では「楠」はどの木を指すのかというと、それこそがタブノキです。タブノキは他にも「」の漢字が充てられます。【森のかけら】では、クスノキとの混乱を避けるためあえて、「」の表記にしました。

「楠」の漢字からも分かるように、タブノキも南方、つまり九州や南西諸島に多く分布し、それらの地域で多く利用されてきました。特に有名なのが、タブノキの丸木舟でしょう。油分を多く含み耐水性があり大きな材が取れることがその理由でしょうが、さすが最近ではタブノキの丸木舟は見かけることななくなりました。赤身から白太まで特徴もさまざまで、全体的には重硬ですが軽いものもあります。乾燥中に割れたり収縮することもあり、建築材や家具で使うには決して使いやすくはありません。

話を戻します。カレンダーの写真をよく見てください。私にはどうしても、モスラの幼虫が左右に一匹ずつ、幹をよじ登っているようにしか見えません!一度そう思えたのでもうそれ以外には考えられません。これこそが「霊木」の「霊木」たる所以でしょうか。モスラも澄む木・アカタブ、凄いです!ちなみに今弊社にあるタブノキは、2mx6~700mmサイズの1枚板ですが、たまらなく重たいです。動かすのもやっとです。命がビッシリ詰まっています、大事に使っていただきたいと思います。




日我が家に『時計』を取り付けました。正確には「作りました」。ただの時計ではありません。そこは材木屋ですからやっぱり木の時計です。いつもお世話になっている北海道の㈱ドリーミィーパーソンさんのサテライトクロックです。12種のピンの付いた木球を、型紙に添って壁に刺して『時間』を作ります。直接壁にピンを刺します。何のためらいもありません。

 

うまく出来ました。あまり技術は必要ありませんでした。丁寧にすれば誰にでも出来ます、商品がしっかりしています。実にいい雰囲気です。カリン、タモ、埋木、セン、クルミ、チェリー、ウォルナット、キハダ、チーク、カバ、メープル、ナラの12種です。

下地は、㈱ワンウィルさんの珪藻土です。数年前に家族全員で塗りました。多少ムラもありますが、全然気になりません、気にもしません。リビング一部屋だけの工事だけでしたが、仕事が終わって夜の工事でしたから2,3日掛かりました。「職人」も私と家内だけで、まだ幼稚園だった子供達もそれなりに邪魔、いや手伝ってくれました。そしてようやく完成して間もなく、息子が壁のど真ん中に思いっきり豪快に青のマジックでアートをしてくれました!見事です、完璧です。どうやら息子は、出来立てホカホカの珪藻土の壁が、大きなキャンパスに見えたのでしょう。芸術家の才能があるのでしょうか・・・強がりではありません、決して・・・。

本当は、最初はどうしたものかとも思いました。普通の感覚でしょう。けれど忙しくもあり、しばらく放っていたら気にならなくなりました。正直それどころではありません、仕事以外にもいろいろあります。今は上の娘が10歳で、下が男女の二卵性の双子が7歳になりましたが、当時は家の中は大騒動です。ま、今もあまり変わりませんが・・・。うちの家は開放的で、私が仕事から帰るとよく近所の子供や知らない子供がいます。たまに知らないお母さん方もいます。まあ、人が集まるのはいいことでしょうし、そんな光景にもすっかり慣れました。社交的な子供になってほしいものです。

話は逸れましたが、数年も経ったら息子のアートも家の一部になりました。もう今では、落成の時からそこにあった、そんなベテランの顔でそこに溶け込んでいます。もう直す気もありません。息子も当時の記憶はないようで、自分がしたとは知らない(?)ようです。家族の肖像として、息子の記憶再現装置としてこのまま留めておこうと思っています。珪藻土はいいです。マジックでもよく書けます!

壁に木を貼りたいというお客さんがよくいらっしゃいます。そういう時は、まず摩擦抵抗があり、毎日必ず踏みしめる足元(フローリング)から先に考えましょうと提案させていただきます。そのうえでまだ予算があるようであれば、壁も考えてはいかがですか、という風にお話しします。また、腰壁の場合は家具の配置などによっては、すっかり腰壁が見えなくなる場合もあるので、そこまでよく考えましょうと言います。木を売りたくないのか?と言われた事もありますが、決してそうではなく、使う以上は満足して喜んでいただきたいだけです。それでも木を使えるようであれば精一杯ご提案させていただきます。

最後にお願いしているのは、色々悩んで選ばれた壁板を大事にされるのは分かりますが、子供が学校で描いてきた絵を貼る事をためらわないで下さいということです。座卓やテーブルもそうですが、上にバッサリクロスや敷物を掛けて後生大事に使いたい気持ちは分からないでもないですが、新車を買っていつまでもハンドルやシートにビニールをかぶせて運転しているような物ではないでしょうか。それではいつまでもその家の一員にはなれません。永遠にお客さんのままです。傷も汚れも煙草の跡もお酒や醤油の染みも、家族の肖像の一部でしょう。床も壁も家具も大切にし過ぎないように、長く接して使っていただきたいものです。




今晩は地元の若手の経営者で集う勉強会・『オレンジ会』の新年会です。数年前から定期的に続いています。弊社があるのは松山市の平田町という所ですが、縁があって少し離れた堀江町の方々と親交が深まり、堀江町の若手経営者が集まって作った『オレンジ会』の創立から加わらせていただきました。一種の異業種交流会ですが、地元の伊予銀行さんの堀江支店さんがとりまとめをしていただき、あくまで民間主導ということで堅苦しさはありません。10人少しの会ですが、運送屋さん、タオル屋さん、折箱屋さん、タクシー屋さん、車屋さん、会計士さん、工務店さん、不動産屋さん、日用雑貨卸屋さん、飲食店屋さん、そして材木屋など実に多士済々。ちなみにこのお店のカウンターも納材させていただきました。タモの立派な一枚板が威風堂々と構えています。今日は人数も多く座敷でおいしい料理をいただきました。

  

共通の話題があるわけではないのですが、若手経営者の二代目、三代目の集まりで、それなりの悩みもあります。とはいえ、私も上から数えたほうが早いぐらいの若手集団で、立場的には『ベテラン』になりつつあります。まあ、中身の伴わないベテランですが・・・。6時半から結構遅くまで熱く語り、飲みました・・飲みました。異業種の話には意外なヒントが隠されていたり、勇気を奮い立たせてくれます。

会の名前の『オレンジ会』というのは、勿論地元がミカンの産地だということに由来しています。命名の時には、正直「!」という気持ちでしたが、不思議な物で使っているうちに愛着も沸いてきました。この辺りは、宮内いよかんの発祥の地でもあり、ミカン農家さんも多い地域です。とはいえ、今は専業農家も少なくなったようです。ミカンの相場というものはよく分かりませんが、昨年よりはいいようです。でも昨年が余程悪かったので決して楽観できるものではないそうです。

そのミカンを使った「森のかけら」ブランドの新商品をお披露目しましたが、好評でした。まだ試作段階で、正式に発表できるのはま先の事になりそうですが、反応がよく自信が持てました。まだ荒削りレベルなので、デザイナーさんの力を借りてレベルアップさせてきちんと商品化したいと思っております。長らく気づかなかったですが、ミカンは細工物には、物凄く適性のある木だと思います。肌さわりもよく、滑らかで割れにくく、密で硬い!なんで今まで使われていなかったのかが不思議なくらいです。もうすでに、ミカンの木の木工細工商品があるのかもしれませんが。まだ今は公表できませんが、愛媛発のミカン細工の『森のかけら』ブランドにどうぞご期待下さい。

ちなみに今晩の宴は、松山市のフェリー乗り場の真ん前にある『みなと食堂』です。とてもアットホームな雰囲気で料理もおいしいです。自分が関わらせていただいたお店で飲めるのは、木を扱う者にとって至福のひと時です!




賢治公園林を読む

夕方散髪に行ってサッパリしてきました。数キロも離れている所にある散髪屋さんなのですが、大學の時、その店の前のマンションに住んでいたので、その時お世話になって以来20数年のお付き合いです。今日は、木と関係ないと思ったかもしれませんが、実はこれが廻り廻って木に関わってくるのです。

まほうの夏』という1冊の本です。都会の育ちの兄弟が、夏休みに田舎のおじさんの所で過ごすという内容の絵本です。心温まる良作です。何年か前に子供を連れて散髪に行ったとき、その絵本が待合に置いてあり、順番を待っている間に何気に子供に読んでやりました。その後で、その本に出てくる田舎のおじさんが、実は散髪屋のご主人で、兄弟が過ごす田舎の家がここだと教えられました。聞くと、作者の藤原一枝さんがご主人の縁戚にあたり、その話は実話だったそうです。まあ多少脚色はされているとは思いますが。

私自身も4兄弟でしたし、子供の頃逆の立場で都会の親戚が夏休みに遊びに来ていたりしたので、妙に親近感が持てました。微笑ましいストーリーもさることながら、ほのぼのした絵がとても気に入ってしまいました。絵を描かれたのははたこうしろうさんです。こどもの絵が、坊主にした息子ともよく似ていて、とても気にいりました。

その後、同じコンビの絵本『雪のかけりみち』があるのも知り、すぐに購入しました。またあの兄弟が主人公で、二人が小さな困難を乗り越えていきます。どちらかというと私はこちらの方がお気に入りです。男の兄弟がいる人は昔に同じような体験があるはずで、なんだか胸がジワッとくるものがあるはずです。この2冊はその後何度も何度も我が家のベッドに登場することとなります。子供からのリクエストも多いです。布団で眠りに付く前のひと時にちょうどいい長さです。

それから、本屋さんでも藤原一枝さんとはたこうしろうさんの作品には気をつけて見るようになりました。本を見るときは、職業柄ついつい木の描いてある本を探します。ある日、本屋さんで『絵・はたこうしろう』という字を見つけました。しかも表紙の木の絵が描いています。これは、と思って手に取ると「虔十公園林(けんじゅうこうえんりん)/ざしきぼっこのはなし」という2編が入った本です。作者は・・・なんと宮沢賢治先生でした!知りませんでした、でも買いました。

宮沢先生だけあって東北弁で書かれてあります。自分で黙読していた時はあまり気になりませんでしたが、子供に読み聞かせしようと読み始めたら・・・これが読みづらい!しかも昔の文体なので句読点は少なくてどこが切れ目か分からず、会話が多く、さらに昔の話を東北弁で書いてあるので、いちいち説明、翻訳しながらなので詰まりまくって意味がわかったかどうか・・・案の定、3人のうち2人撃沈しました。虔十というのは人の名前で、おとなしい虔十がを植え、その杉が立派に育ちやがて虔十の名前がついた公園が出来ます。話は宮沢先生らしくメリハリのある起承転結はありません。あまりの淡々とした描写での場面展開にさすがに子供も「えっ!」となったほどです。最近の絵本はドラマティックな物が多いので余計でしょう。小学校低学年には少し難し過ぎたかもしれません。しかし昔の本は含蓄があります、奥深くて重みと味があります。はたさんの絵がなければかなり悲しい話だったのではと思います。でも考える本でした。子供も子供なりに感じる物はあったみたいです。

虔十公園林という場所が実在するのかどうかは知らないのですが、宮沢賢治の作品には木や草など植物の描写が多いです。仕事で何度か岩手・盛岡にも行きましたが、町にはいろんな『賢治』が溢れていました。松山の『坊ちゃん』みたいなものなのでしょうか。やっぱり松山に来られた方も同じように思うのでしょうか?地元ではなかなかその魅力に気付きにくいものです。

 




オンラインショップ お問い合わせ

Archive

Calendar

2009年1月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  
Scroll Up