森のかけら | 大五木材


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20100218 ドラゴンマスター5以前からご紹介させていただいているドラゴン・ハウスの現場のいよいよ佳境に入って来ました。大工さんの内装工事は終わり、内部の塗装や仕上げ、外部の工事などに移りつつあります。無垢のフローリングなどを使っていただいていますが、養生してあるのでまだ見えません。全貌は改めてご紹介します。さて先日そのドラゴンハウスにて、ウッドデッキなどの打ち合わせがあり現場に行ってみると、既に先客がいました。右は、イシムラトモコ建築設計石村智子さん、左で怒られてしょげている様に見えるのが(有)荏原鉄工所平岡君・・・可哀想に・・・。

20100218 ドラゴンマスター3いえいえ、別に怒られていた訳ではなく、図面を覗き込んでいただけでした!下から覗くと、満面の笑みを浮かべていました。私は横でお二人の打ち合わせを聞いておりましたが、私にもなかなか難しい注文を出されているのが伝わります。そうです、そういう一筋縄でいかないような仕事と対峙したとき、職人はなぜだか笑ってしまうのです!ふふふ・・・無謀なことを・・・。平岡君がどう思って笑っていてかは分かりませんが、きっと彼の心は熱く燃えていたことでしょう。よし、俺がやってやると!(全て私の勝手な想像ですが、大体そんなところだと思います)

20100218 ドラゴンマスター2なるべく手の掛からないものを、なるべく安価なものをという傾向の中で、ものづくりの『あや』とか『妙味』を楽しむ機会が次第に減っていっています。職人さんも手が掛からない方が楽でいいでしょうと思われるかも知れませんが、この世界で働く人は多かれ少なかれ「ものづくりが好きな人」です。どうやって作ろうか~、悩みながらもいろいろ考える瞬間、職人魂の導火線に火がつくのです!するとそこに、ドラゴンハウスの主・ドラゴンマスターが登場!工事現場の監督さんのような格好をされていますが、我々に合わせてコーディネートされたわけではありません。ドラゴンマスターも建築に関わったお仕事をされていらっしゃるのです。ドラゴンマスターの登場で現場は一気に静まり返り緊張が走ります!平岡君の顔からも笑みが消え去り、目がうつろに・・・。いえいえ、そんな事はございません。更に打ち合わせが盛り上がります。

 

20100218 ドラゴンマスター4

しかしこの1枚を見る限り、完全に『施主さんの逆鱗に触れ、正座をしてひたすらにお詫びをする業者さんの画』にしか見えませんが!本当は、温かいコーヒーまで差し入れていただき、外はかなり寒い日でしたが、身も心もとっても温かく楽しい打ち合わせだったのです。ドラゴンハウスでは、皆の目的が明確で(いい家を造るというのは当然ですが、家造りそのものを楽しもうという気持ち)、みんなそれぞれの立場で楽しませていただいています。こういう雰囲気の現場では、まず大きなトラブルや揉め事は起きません。

DSCF1524現場の空気は大事です。その空気を作るのは、工務店さんや設計士さん、大工さん、業者は勿論ですが、やはり何といっても施主さんが一番。ムスッとして、現場に来られて黙ってあちこち舐めまわすように見られて無言で帰られる施主さんもいらっしゃいます。何か手抜きをしていないだろうか、きちんと施工しているだろうか、心配なさる気持ちは分かりますが、お互い人間ですからやっぱり信頼関係がなく、疑心暗鬼になるとそういうく空気感が現場に蔓延します。折角縁があって仕事をさせていただくのですからお互い気持ちよく関わりあいたいものです。

20100218 ドラゴンマスター しかし実際には、現場で笑える事は決して多くはありません。あまり笑ってばかりいると、本当に真剣に仕事をしているのか不安に思われるかもしれませんが、お互いの信頼関係が構築されていれば必然的に現場でも笑いが起こります。ドラゴンハウスの場合、何といっても設計士の石村智子さんとドラゴンマスター家族との絆が深い!我々は便乗させていただいて楽しくものづくりに励ませていただいております。願わくばこの現場がもっと続いて欲しい・・・終わって欲しくないと言ってしまっては本末転倒でしょうが、それぐらい楽しみ甲斐のあるご縁でした!

名残惜しくも来月中頃に竣工予定のようですが、もう少し関わらせていただきます、マスター!

★『ドラゴンハウス』の完成見学会が 3/21(日)・22(月)に決定しました!




DSCF1638安藤先生の講演は、「四国はひとつ」というテーマで、四国四県の森林の状況などをデータを使ってご説明いただきました。木にもいろいろなあって、樹木としての木(TREE)、木の質など木そのものをあらわす木材(WOOD)、建築の資材としての材木としての木(TIMBE)があるということで、今回はTIMBERとしての材木についてのお話です。平成21年度の住宅着工数は30数%も減っていますが、実は主に首都圏のマンションの落ち込みが顕著で、全体の中で木造率は54%もあるのです。四国は何といっても供給地ですので、多くの消費は望めません。

DSCF1647こと木材については、地産地消以上に首都圏などでいかに使っていただく事が重要な課題です。住宅着工数は、四国の中では愛媛がもっとも多いのですが、それでも対前年比34%減の6800戸あまり。豊富な四国の森林資源を擁する四国にとっては、材木は貴重な四国外への輸出(!)商品なのです。40~60年生の伐期を迎えた適木をどう利用するかが至上命題ですが、一気に全てが解決するような打ち出の小槌のようなミラクルはないので、地道に木材の利用を訴え啓蒙するしかないと思います。

 

DSCF1653お話の中でも、木材の価値観を高めるための『SENSE OF VALUE』という言葉が登場しましたが、まさにこれこそ感性価値!アートの分野だけでなく、住宅資材としても感性に訴求するような商品が求められています。特に、日本の潤沢な森林資源を如何に利用するかという事で、その最大の消費窓口が建築材なのですが、クラフト材のようにアイデアが湧いたら試作してすぐに商品化というわけには行きませんので、なかなか難しい問題です。出口が決まった中で、新たな物を見出しお互いに利益のある物を生み出すというのは至難の業です。

DSCF1659とりあえず作ってみた「売れるであろう」内装材が、市場ではうず高く積み上げられ埃を被っているのが現状で、各メーカーが研究を重ねた商品ですら低迷するという現実を考えれば、新たな出口を探さねばならないのではないでしょうか。その出口は簡単には見つかりませんが。その後のパネルディスカッションでは、愛媛から實田貴文社長・㈱瓜守材木店㊧、高知からは森昭木材・嶺北木材協同組合の田岡英昭社長㊨が参加されました。四国四県からそれぞれの立場で、材木との関わりをお話されました。四国は四県それぞれに特徴が明確で、その地に根付く森林資源を利用した産業も発達していますが、これから余程覚悟を持って掛からねば、産業そのものの衰退を招きかねません。いろいろお話を聴きたかったのですが、パネラーが多くて発言時間が少なく、中座せねばならない事情もあり残念でしたが、あえて皆が集まって話すという意義はあると思います。




20100220 木のまち・木のいえ①昨日、愛媛県の水都・西条市で『木のまち・木のいえ/リレーフォーラムin西条』が開催され、愛媛木材青年協議会のメンバーと一緒に参加させていただきました。住宅や建築物への木材利用の促進と普及を図るため、交流会形式のフォーラムとシンポジウムが、各地で開催されていますが、今回は四国四県を1つとしてとらえ、四国の材木資源情報の集中と発信をテーマに掲げられていました。このイベントには、林野庁と国土交通省が後援につかれていましたが、住宅や木材の世界だけではなく、業種や業態を越えた地域の連携として「四国をひとつ」として捉えた取り組みが目に付くようになりました。木材業界だけではなく、経済産業省など他の角度からも、農商工連携などを「四国」という単位で考えるようになり始めたようで、何だか既に道州制に移行したような錯覚を覚えます。

 

20100220 木のまち・木のいえ④以前から使われてきた「四国はひとつ」というフレーズは、都会へ打って出る島国・四国の命題でしたが、県民性の違いもあり正直まとまるのは難しいと思ってきました。今までも四国フォーラムという物はいろいろ合ったのでしょうが、単発のイベントに終始して、そこから何かが生まれるという域には達していなかったのではないっかと思います。それが、ここまで経済が疲弊したことで、皮肉ながらまとまりがでてきたような気がします。むしろやっと皆が本気になってきた、勿論私もその中の一人ですが。イベントは、安藤直人東京大学大学院教授今村祐嗣京都大学教授の基調講演と四国四県からのパネラーを招いたパネルディスカッションの2部構成です。オープニングで伊藤宏太郎西条市長の熱い挨拶から始まり、両教授の講演がありました。

 

 

20100220 木のまち・木のいえ③今村先生は『と木造の耐久性』のお話。研究室の地下でシロアリを飼って研究をされていて、腐朽菌やシロアリの嗜好性(!)、特性などを分かりやすくご説明いただきましたが、知れば知るほどに怖いのがシロアリ!日本にはヤマトシロアリイエシロアリなど20種がいて、1コロニーに100~150万匹のシロアリがるそうです。羽アリは1フライトで羽が抜けるとか、木を喰べる『木ゴキブリ』がいるとか、世界では貴重なたんぱく資源としてシロアリを食する国もあるとか。そして極めつけは、最近アメリカからやって来たアメリカカンザイシロアリの話!

20100220 木のまち・木のいえ⑤

実は松山でも既にこの被害が出ていて、実際にフンも見たことがあります。名前通り乾燥した材(カンザイ)を好むというまさに『恐怖の大王』!アメリカでは、家屋全体をシートで密封してガス燻蒸(くんじょう)をしてシロアリを駆除しているようですが、敷地が狭く隣家が接した日本ではかなり難しいとの事。しかし、もっと有効な駆除方法についても研究されているとお聞きし少しは安心しましたが、またすぐに強い新種のシロアリが現れるのではないかと・・・。この地球で共生するということは綺麗ごとではありません!




日本では主に優れた彫材として名を馳せ、名前の由来となったいきさつや香気のかぐわしさから、気高く高貴な木として扱われるイチイですが、世界から見ると少しイメージが違うようです。この木の仲間は北半球に8種類ほどあり、中国東部からウスリー、サハリン、オホーツクなど寒冷地をはじめ、ヨーロッパなどに分布しています。特にイギリスでは、弓(ロングボウ)の材料として古来から高く評価されてきました。日本と同じく彫刻やろくろ細工は元より、伝統的なウィンザーチェアーの曲げ木としても利用されてきました。

英語では『Yew(ユー)』とかユウと呼ばれる品種がありますが、日本の『イチイ』に比べると赤味が深く、紫や橙褐色の混ざったような複雑な色合いをしていますが、全体的に色目は濃く、やや重いのではないでしょうか。それほどの大木になるような物は少なく、枝が多いことから、節や割れが多く大きな部材には取りにくいですが、重厚な力強さがあります。弊社にも在庫がありますが、かなり大きな割れがあり、何に使うかいまだ思案中です。左の画像は、倉庫の中に立ててあるものを撮ったので、暗く写っていますが削ると鮮やかな赤身が現れます。こちらは中国産のユーの1種です。巾が400mm程度で耳付きなのですが、白太は傷や虫穴も多く家具材などには使えません。といって、あまり小さな物に割ってしまうのも勿体無いし・・・そんな事ばかり考えているのでいつまで経っても使えません・・・貧乏性です。

そのYewですが、欧米でも『長寿・永遠の象徴』として神格化されている一方で、間逆のイメージもあります。それは、葉っぱに有毒物質が含まれていることから、死のシンポルとされるようで、墓場に植えられることもあるようです。もっともこれは死が永遠の生とも結び付けられて、冥界への入り口に誘い込む役割を果たしているとも・・・。有名なところでは、シェークスピアの『ハムレット』で、Yewの葉から生成した毒を王様の耳に流し込んで毒殺する場面が登場したり、『マクベス』でも魔女がYewの枝を折って鍋に放り込む場面があります。

円い森にもイチイを使いたいのですが、節や割れがあってなかなか大きな部材が取りにくいのと、その花言葉が「悲壮」とか「悲嘆」なので、ちょっとどうかなと・・・。別にイチイが悪いわけでも何でもないのですが、それぞれにいろいろな役割や意味合いがありますから。以前、飛騨に行った時にイチイで作ったウサギの形のネクタイピンを購入しました。耳に白太を取り入れ、愛らしいデザインになっていて今でもよく使ってます。飛騨の町の商店街には、イチイの木がたくさん植栽されていましたが、地域のシンボルツリーを大切にし、それを活用するのは素晴らしいことです。

住宅の部材としては、床の間ざいぐらいにしか利用されなくなったイチイですが、クラフト細工などの世界ではまだまだ可能性がありそうです。イチイの鉛筆の復活も出来ればいいのですが。たとえイチイが駄目でも、いろいろな木で『森のかけら鉛筆』本当にやりたいなあ・・・。これからは値段だけではない、物語性を持った商品が求められます。世界中のいろいろな木の鉛筆あったら楽しいと思うのはわたしだけでしょうか?とりあえず集めてみよう!これにて、イチイの話はひとまず終了です。

 




『イチイ』の用途は当然鉛筆ばかりではないのですが、国産材をもっと有効に活用しようという風潮ですから、日本のどこかでは既に『幻の国産材の鉛筆』が復活していて、幻でなくなっているのかもしれません。なければ作ってみたなるのですが、決して鉛筆というものづくりを軽んじているわけではなく、むしろその活用に敬意を払ったうえで改めて、木材の端材の活用が出来ないかと思います。当然、大量生産を考えると端材を使っていたのでは効率が悪いでしょうが、別次元で端材から鉛筆を作るという〔超家内工業的なものづくり〕が出来たら面白いと思います。

コンパクトな機械があれば『森のかけら鉛筆』出来ないかなあと、夢見たいな事を考えたりしてます。100数種類の木の鉛筆があったら面白いと思いませんか。私は考えるだけでワクワクしてきます。中には鉛筆に適さない木もあるでしょうが、それもいいんじゃないでしょうか。私は、最近でこそパソコンも使うようになりましたが、右手のひとさし指には『ペンだこ』があるほど、鉛筆には愛着があります。大切な文章を書くときはやっぱり鉛筆を使います。『適材適所もずっと手書きにこだわっています。手書きで物を書くという所作は、とても美しい行為だと思います。

イチイというこの変わった名前は昔の1万円札で聖徳太子が持っていた笏(しゃく)にその由来があります。昔、中国では衣冠束帯に象牙の笏を持つ慣習があり、日本でもそれに習って使うようになり、いろいろな木で試されたようです。その中で、岐阜県の位山(くらいやま)から伐り出された木で作った物の出来栄えが素晴らしく、それを宮中に献上したところ仁徳天皇がたいそう喜ばれ、その褒賞としてこの木に『正一位』という最高の爵位を授けられました。そこから、この木の事を『イチイ(一位)』と呼ぶようになりました

その位山は、昔からイチイの良材の産地としても有名で、代々笏に使う木を伐採して天皇家にも献上してきた由緒深い山だという事です。ちなみに岐阜県の県木は『イチイ』です。この木は別名が多いことでも有名で【アララギ】とか【オンコ】、【アカギ】、【キャラボク】、【クネニ】など枚挙にいとまがないほど。その語源の多くは、アイヌ語に由来しているということですが、削ると美しい赤褐色をしています。イチイには、タンニン質も含まれていて、削るといい香気がします。飛騨の匠の手による『一位の一刀彫』は惚れ惚れするような美しさがあります。

 




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