森のかけら | 大五木材


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20130821 1以前にもこのブログで紹介させていただきましたが、材木屋から材木以外のモノを買おう(引き出そう)という勇気あるひとりの人との出会いによって新たな展開が生まれました。それが兵庫県明石市で、『自然素材を五感で感じる家作り』を標榜される渡辺喜夫社長その人。渡辺社長は設計士でもあるのですが、木に対する造詣も深く、木材をただのマテリアルとしてではない視点で捉えられていて、互いの木の物語観に大いに共感し、12ヶ月の誕生木を作る事に。

 

20130821 2木にまつわる各種のエピソードや逸話は沢山あり、『今日のかけら』でも紹介しています。 そのエピソードを晴れ舞台や結婚、出産、引越しなどのTPOに合わせたものが『木言葉書(きことのはがき』という商品です。それを12ヶ月の月に合わせて、ご自身やご家族の誕生月にゆかりのある樹が持つ特徴や意味を知って、家造りや家具造りに活かせないというのが狙いです。折角なら「何の木でもいい」じゃなくて、「意味や縁がある木」が楽しいじゃないですか。

 

20130821  312ヶ月の季節感や行事などにちなんだ木をセレクトし、『木言葉』を添えて『誕生木(たんじょうもく)・12の樹の物語』が完成しました。この『誕生木』は、住空間設計Laboさんのホームページでご覧になれます。それぞれの月の木の特徴、木の物語、使用例を書いています。例えば8月に家を建てた方は、その家の誕生木である『ケヤキ』で、床柱や囲炉裏などに使うとか、表札や家具にしてみはいかがでしょう。材の適正を考え、使用例や使用場面を提案しています。

 

20130821 4その木を見るたびに、家の生まれた日の事を考えるのではないでしょうか。誰にも誕生日があるように、大きな夢の結晶である家造りにも1軒1軒誕生日があります。そこに誕生木の思いを重ねる事で、家をいたわり、手入れに励もうという気持ちも生まれるのではないかと思います。12の木の選択については異論もあるでしょうが、ただの象徴としてではなく具体的にその木で身近なものに加工できたり、使えるという実用性を重視してセレクトしています

 

20130821 5木は五感で感じることの出来る素材です。ならば尚更手の触れる身近なところで使ってこそのもの。『誕生木の木のもの』を日頃から使える実用的なものにする事で一層、木や家への愛着も湧くのではないかという思いで考えました。こういう形で少しでも木の事に関心を持っていただければありがたい限りです。誕生木にご興味のある方は、是非Laboさんにご相談下さい。また弊社としても誕生木にちなんだ商品開発に取り組んでいるところです。ご期待下さい。

 

★ 「誕生木・12の樹の物語」は、㈱Laboさんにより商標登録されています。

★ 「誕生木 12の樹の物語」一覧はこちら




★今日のかけら・#081【梨/ナシ】バラ科ナシ属・広葉樹・宮城産

大銀杏も拝んで、広葉杉も写真に収め、菩提寺を後にしようとしたところ、山門の傍らに1つに木とその標識が目に入りました。そこには「奈義町指定の)天然記念物・山梨」の文字。道路の脇に、根元から大きく二股に分かれて、樹高は10m前後といったところでしょうか。幹廻りも決して大きな木ではありませんが、これでも推定樹齢は500年900年大銀杏といい、200年の広葉杉といい、この菩提寺では時間の感覚が別次元。

ナシの木は、リンゴなどと同じくバラ科の広葉樹で、それほど大木になるわけではないのでこれはかなりの巨大なナシの木だという事です。よく観察すると500円玉よりもちょっと大きいぐらいの可愛いナシの実を幾つか見つけることが出来ました。これか先どれぐらいの大きさまで成長するのか分かりませんが、これって食用になっているのでしょうか?さすがに天然記念物という事ですから、お試しに1つなんて真似は出来ませんが、この実の行く末が気になるところです。

現在食用として流通しているナシには、本州から九州まで広く分布するヤマナシを原種とする、この菩提寺のような丸っこい形のヤマナシと、アジアから南東ヨーロッパにかけてを原産とする円錐形のセイヨウナシの2つがあります。現在に至るまでさまざまな品種改良が加えられ、みずみずしくしゃりしゃりした触感の二十世紀長十郎などブランドが生まれています。一方セイヨウナシは甘くて溶けるような舌触りで、リキュールなどにも利用されています。

それぞれ見た目も味にもはっきりした違いがあるものの、材としてはその特徴を書いた文献などがほとんど見当たりません。大木にならない事と供給が安定しない事から一般的な素材としては浸透してこなかったものと考えられます。私自身も【森のかけら】を作るまで、『材としてのナシ』を見た事もありませんでしたし、気に留める事もありませんでした。このナシは宮城県から分けていただいてますが、削ってはじめてナシの滑らかさに驚かされました。

伐採後、時間が経過するとやや桃色を帯びた淡褐色になりますが、その材質は精緻で均質。その触感は果樹系の木ならではの滑るような心地のいい肌触り。通直で大きなものが取れるわけではないので、大きな家具などを作るには素材集めが大変ですが、刃物切れも良さそうなので緻密な細工物には向いていそうです。ただしナシを素材としたクラフト作品を見た事がないのですが、鳥取とかでは作られているのでしょうか?それを確かめるべく一路鳥取へ向かう事に・・・




20130819 1この菩提寺には900年の大銀杏だけでなく、本堂の木立の近くには『広葉杉』という中国南部原産といわれるスギ科の常葉針葉樹が2本並んで生えています。いずれも樹齢は200年にならんとする立派なもので、幹の目通り3m余りという堂々たるツインタワーです。勉強不足で、『広葉杉』についてほとんど知識が無くて、帰宅後調べてみると、江戸時代後期に日本に渡来した樹種で呼び方は「コウヨウザン」。名前の由来は文字通り広い葉の形に由来しているようです。

 

20130819 2傍らに奈義町指定の天然記念物という看板はあったので、一応撮影はしておいたものの、大銀杏にすっかり心を奪われていたので、葉の形がどうだとかまったくに気にも留めていませんでした。今にして思えばもっと観察するんだったと思うのですが、見上げるその巨躯だけが印象的に残りました。その後ネットで検索してみると、同じような感想をお持ちの方が沢山いらっしゃいました。不遇な広葉杉・・・並んだ相手(900年の大銀杏)が悪かった!

 

20130819 3葉は硬くて鎌のような形で、小枝に不規則に並ぶというのが特徴のようで、アップでみれば我々が日頃目にする「スギ」とは確かに違います。そこで改めて撮った写真を見直してみれば、葉だけではなく枝ごと枯れ落ちるようで、枝つきの落ち葉(?)の形が確かに落葉の形が普通のスギとは形が違います。実はこの「広葉杉」、全国各地の神社などでも沢山植えられているようで、大きいものになると樹高も30mぐらいまで育つらしくかなりの巨木もあるようです。

 

20130819 4中国以外では台湾にも分布しているようですが、寺院建立の際などに植えられたものが各地で立派に成長したのでしょう。菩提寺のような標高の地でこれほど大きく育つのは珍しいそうです。樹脂分を多く含みシロアリにも強いという事です。実際に「材」としての広葉杉をを見た事がないのであくまでイメージですが、成長のスピードが速そうなので伐採してみると『メタセコイア』のようなかなり大味の木柄のような気がしないでもないのですが・・・。見る木、拝む木と使う木は別次元で考えねばなりません。




奈義町は菩提寺の大銀杏、1日で語り終わるにはあまりにもったいないので後編。近づいてよく観察してみればさすがに900歳のご老体、至る所に寄る年波の衰えが伺えます。老木のイチョウになると、俗に『イチョウの乳』と言われる、幹や枝からの気根のような垂れ下がりが見られますが、この大銀杏にも沢山の『』がありました。そのお乳を束ねた大きな枝(幹並みの!)は、自重に耐え切らず、鉄の補強が施してありました。老木にはつきものの補強ですが、それがかえって痛々しくもあります。

このお乳のお陰で、イチョウにには子育てやお産に関する伝説や言い伝も全国各地に沢山残っていて、洞に子安地蔵などを奉っていたりしますが、この大銀杏の根元に開いた洞にもお社が奉ってありました。イチョウそのものは長寿の木で、条件次第では1000年ぐらいまで生きるともされているようですが、その生い立ちも神秘的で、この大銀杏は法然上人が刺した杖が芽吹いたとされていますが、同じような話は多く、東京の善福寺の逆さ銀杏は、親鸞聖人が刺した杖が育ったものだとか

長寿の木は、長く生きているというそれだけでもう尊いものなのです。大銀杏の足元には数枚の葉が落ちていました。俗説に寄れば、この形であれば雌のという事ですが、実際にはの大銀杏は雄でギンナンも出来ないとか。一方で、お乳は木質で澱粉を含んだ栄養分の貯蔵場所のようなものらしいくのですが、それは雌雄の別なく出来るとも、雄株だけに出来る特有のものとも意見が分かれています。どちらが正しいのか?あるいはイチョウも巨木になると性も超越してジェンダーフリーになってしまうのか?

さてこの巨木、これまでの画像ではいまひとつ凄みが伝わりづらいと思い、ベタではありますが大銀杏の前で子供たちに手をつながせてみました。解説によると、目通り12メートル、高さ45メートルという事ですから、小さな子供だと10人ぐらい手をつながないと囲めない大きさという事です。枝の張り具合といい、垂れ下がったお乳といい、やっぱり妖怪のような趣きが漂います。秋になるとさぞかし鮮やかな錦秋の黄葉を見せてくれるのでしょう。その落ち葉の量も半端ではなさそうで、掃除してもしても追いつかない事でしょう。更にもしこれが雌株でギンナンがたわわに実ったりすれば、その匂いたるや相当のものだと思われます。それでもギンナン拾いの人が殺到しそうですが・・・ありがたいものを拝ませていただきました。旅の僥倖です。

 




この夏の家族小旅行の一応の目的地は東粟倉なのですが、そこに行くためには美作(みまさか)を通らねばなりません。木青協の現役会員だった頃から、当地で役員会や大会、研修会が開催されるたびにお邪魔してきた思い出深い地。お盆でなければ、いくら家族旅行といえども挨拶もなしに素通りする事は決して許されない『木のもののふ』たちの住むところ。会えば長い話になってしまうので、当日は気づかれぬように息を殺してそっと美作を通過・・・。

 

木の玉プールの撤収は翌日の作業という事で、1日目は折角なの気のおもむくままに面白そうな所に立ち寄ろうという事に。結局、木の関係のお店に寄る事になったのですが、最初にお邪魔した家具屋さんで見つけたのが地元の観光パンフ。そこには奈義町の観光名所として、『国の天然記念物にも指定されている樹齢900年の大銀杏』の文字が!しかもそこまで車で15分足らずとか!これは素通りするわけにはいくまいと車を走らせて着いたのが高貴山菩提

山門から2、3分も歩けばその大銀杏があるはずなのですが、あれ?どこに?と思ったら、既に目の前にその御姿が!あまりにでか過ぎて、背景の森の緑に全体像が溶け込んでしまっていて、一瞬それが1本の木であるとは識別出来なかったのです。それは決して大袈裟では無くて、本当にそう思えたのです。その時のアングルが右の画像。画像の中央に見えるのが大銀杏ですが、周辺の木々も充分過ぎるほど立派な大木ばかりで、大きさの感覚が麻痺してしまったかのよう。

 

観光パンフの写真が、鮮やかに黄葉したイチョウの姿だったのでその刷り込みもあって、緑葉の姿に戸惑いがあったのかもしれません。一歩一歩近づくにつれ、その圧倒的な存在感、巨大さに唖然としました。背景の森が鬱蒼としているうえに、四方八方に触手を広げたような御姿は、もはや神々しさを通り越して不気味な怪物のようですらあります。傍らの看板には、浄土宗の開祖・法然上人が祈願して挿した杖から芽吹いたとあります。樹齢およそ900年

今から900年前といえば平安末期。 そう、あの平清盛の時代です。その頃から連綿と命をつないでいるとすれば、やはりこれは怪物、妖怪の類でしょう!昭和3年に国の天然記念物に指定され、全国名木百選にも選ばれている由緒ある木であるそうな。私は決して巨木マニアというわけではありませんし、巨木鑑賞の経験も知識も持ち合わせていませんが、詳しい説明がなくても、首が痛くなるほどの御姿を見上げさせていただくだけで、この木の偉大さが充分に伝わってきます。子供たちにもその空気は伝わったようで妙に神妙な様子。

 




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