森のかけら | 大五木材


当ブログに記載の商品の料金、デザインは掲載当時のものであり、
予告無く変更になる場合がございます。
現在の商品に関しまして、お電話、又はオンラインショップをご覧ください。

20140121 1ケヤキは、ニレ科ケヤキ属の広葉樹で、本州から四国、九州にかけて広く分布しています。とりわけ関東地方に多いのは、上州などの空っ風対策として屋敷林に多く植えられ、関東の黒土という土壌によく適したことがその理由ではないかと言われています。樹形の美しさ、雄々しさ逞しさもケヤキの特徴のひとつで、竹ぼうきを逆さまにしたように四方八方に枝葉を広げたさまは、まさに広葉樹の王様に相応しい貫禄が満ち溢れています。

 

20140121 2漢字では「」あるいは「」と表わしますが、少し離れたところからこの木を見ると、枝のひとつひとつが一斉に空に向かって伸び、あたかも拳を天に突き上げているように見えることが名前の由来とされています。またその枝葉の多い姿形を表現しているとも。中国ではこの「欅」という漢字は「シナサワグルミ」を示し、ケヤキは「欅楡」と表わされるようです。いずれにしても欅という漢字は、木の特徴を端的に表わしていると思います。

 

 

20140121 3私の生まれた昭和41年、東京では「東京の木」を決めるための都民投票が行われました。選定委員会があらかじめ決めておいた3つの候補の木の中で1つを選ぶというものです。その候補は、イチョウとソメイヨシノとケヤキ。イチョウもケヤキも街路樹として多く植えられ、都会の中のオアシスとして親しまれてきた木です。委員会では圧倒的にケヤキを推す声が多く激しいデッドヒートになりましたが、投票の結果はイチョウに軍配が上がりました。

 

20140121 4明治時代に発刊された国木田独歩の随筆『武蔵野』は、武蔵野(昔の関東地域)の風景美を謳ったものですが、それは独歩の実体験に基づいているとされています。独歩が、もはやどこまでも続く武蔵野の原野は遠い過去の話で、今そこには広大な林(雑木林)が広がると述べていますが、明治時代の武蔵野の地にはケヤキをはじめとする雑木林が群生していたようです。ケヤキは関東に根づき関東人に愛され続けてきた木なのでしょう。




Exif_JPEG_PICTUREそんなハイリスク&ハイリターンの材を百戦錬磨のベテラン材木屋たちの皆さんと競り合う度胸も資金もありませんでしたし、身近なところでケヤキの教えてもらう人もいませんでしたので、銘木としてだけではなくケヤキそのものが次第に遠い存在になっていったのです。そこで、私は王道から逸れ、当時まだ手掛ける人の少なかったアフリカやヨーロッパ、中南米、東南アジアなどの特殊な木の世界に舵を切ることになっていったのでした。

 

GE DIGITAL CAMERA生来、偏屈でひねくれ者なところがあって、圧倒的な力も持つ者やNO.1と呼ばれるものにはことごとく逆らってしまうのです。そんな事で、銘木の王様に背いた罪として、徐々にケヤキとの距離が開くようになり、祖その後自ら進んでケヤキを仕入れることも無くなったのです。当時はまだ銘木屋さんが幾つも健在でしたので、立派な銘木を購入するチャンネルも多く、自ら距離を置いた事により、次第にケヤキとのご縁も減っていきました。

 

Exif_JPEG_PICTURE自ら撒いた種でもありますが、一種のトラウマのようなものだったかもしれません。そのことが結果的に苦手な樹種を作ることになってしまい、ケヤキに対する無知でその後長らく苦労することになりました。やはり木は実際に取り扱って、見て触れて担いでなんぼのものです。しかしその反省が、木材に貴賤なしの精神で、すべての木に同じ価値を持たせる【森のかけら】の開発へとつき動かしていくわけですから世の中皮肉なものです。

 

20140120 4    .bmpいつまでも不得意な材を作っていては仕事にも支障が出るという事で、数年前からは少しずつケヤキも仕入れることにはしましたが、やはり貧乏性な性格が災いして、1枚で数十万もする高級銘木のケヤキの大黒柱や床板にはなかなか手が出ず、久万高原町産の小さな丸太のケヤキあたりから徐々にリハビリを始めているところです。という事が、弊社にケヤキの在庫が少ない事の理由でしたが、明日からはケヤキの特徴についてたっぷりとお話します。




★今日のかけら・#043 【欅/ケヤキ ニレ科ケヤキ属・針葉樹・宮城産

Exif_JPEG_PICTURE

20140119  1今まで多くの種類の木について材木屋の視点で書いてきましたが、日本の広葉樹を代表する『ケヤキ(欅)』について触れてこなかったのは、そういう機会がなかったわけではなく、あえて避けてきたのです。街路樹や公園などにも広く植栽されているケヤキの名前と姿を知らない人はいないでしょう。日本人にとっても馴染みの深い木のひとつです。建築業界においてもその存在感は別格で、古来よりあまたの社寺仏閣建築に用いられてきました。

 

20140119  2ケヤキが使われるようになった時代背景は後術しますが、材としての利用は社寺仏閣にとどまらず一般住宅でも広く使われてきて、木としても材としても『日本における広葉樹の王』の地位を揺るぎないものにしてきました。なので、その性質や特徴、魅力などについては多くの書物に書かれで、口伝としても語られてきました。それほど広く認知された木を今更という気持ちもありましたし、それとは別にケヤキに対しては特別な感情も。

 

Exif_JPEG_PICTUREそれは、私がこの仕事に就いた20数年前の話。その当時もケヤキは銘木中の銘木の存在でした。今ほどいろいろな種類の外材も流通していませんでしたので、木材市場においても立派なケヤキが出材されるとそのコーナーは異常な盛り上がりで、市場の華というべき存在でもありました。そんな銘木のケヤキを、ベテランの材木屋たちが数十万の値段で競り落としていく様は颯爽として威勢がよくて、私には眩しすぎる光景でした。

 

Exif_JPEG_PICTUREケヤキの銘木は上手に仕入れれば、数倍に化けることもあるハイリターンの魅力がある木です。ところが、材の癖や素性を読み切れないと在庫している間に大きく反ったりねじれて暴れたり割れたりしてまったく使い物にならなくなってしまう事もあるハイリスクの側面も持っています。つまりケヤキは『目が利かなければ買えない木』なのです。経験も浅く、ノウハウもない当時の私にとってケヤキの銘木は手の届かない高嶺の花でした。




Exif_JPEG_PICTURE先日、「ケヤキの在庫が少ない・・・」という旨の話をアップしましたが、早速「なにか理由でもあるのか?」というお問合せをいただきました。四国では、住宅資材の中の銘木としてケヤキは圧倒的な位置を築いています。それほど木に詳しくない方でも、ケヤキと聞けば「高級、銘木、立派」などというイメージが浮かんでくることでしょう。凄く雰囲気を持った木でもあり、相応の歴史もあることから、言葉から連想する存在感は他を圧倒しています。

 

20140116 2ゆえに、とりあえずケヤキを使っておれば間違いない、という安心感もあり、供給の安定感もあって普及してきたのだと思います。昔ほど家の中に銘木を取り込むことが少なくなった今でも、ワンポイントにケヤキを使いたいという方は結構いらっしゃいます。そんなケヤキであるにも関わらず、なぜ在庫を持たないのか?何か特別な理由があるのか?と興味津々でお尋ねがありましたので、今回『今日のかけら』とも兼ねましてケヤキのご紹介。

 

 

20140116 3これだけメジャーでありながら、「今日のかけら」で取り上げてこなかったのも、偏屈材木屋としての私なりの「偏見」と「反骨心」のあらわれなのです。その理由につきましては、以前に『適材適所』の中で書かせていただきましたが、今調べてみれば平成19年7月(NO.110)に書いたもので、もう7年も前の事でした。当時はまだホームページもなく、「適材適所」だけが唯一の情報発信の手段でしたのでかなり気合いも入っていました。

 

Exif_JPEG_PICTUREタイトルの「」の文字からも当時の気合いの入り具合が伺えます。改めて読み返しながら、当時の情熱に比べると今の力の抜け具合がひどく恥ずかしくなりました。そこで、もう7年も前の事で当時の通信をお持ちの方もほとんどいらっしゃらないと思いますので、当時の熱い気持ちを自分自身に奮い立たせる意味で、その時の文章に多少手を加えながら、ケヤキをなぜあまり在庫しないのかの理由も含め、ケヤキという木についてご紹介させていただきます。




20140117 1新しい材が入荷した時に梱包がをばらして「木取り」する作業は私のささやかな愉しみ。世界のいろいろな国からやって来た木たちと対面する瞬間の喜びは材木屋でこそ味わえるもの。先日もブラック・ウォールナット(B/W)の木を仕分けしていましたが、こちらの思惑より良くても悪くてもそれなりに愛着を感じるものです。1枚1枚材の表情と木目、節の具合などを見ながら、これはカウンター、これはテーブル、これは造作などと適材適所に仕分けします。

 

Exif_JPEG_PICTUREそんな作業の中でたまに面白い木目や美しい杢に出会えた時の喜びは別格です。大体は、板の平面で思わぬ出会いがあるものの、稀にこんな面白いものにも出会えます。先日、ブラック・ウォールナットの小口面にこんなものが!現地での作業時に小口に打った金物の跡か、割れが偶然生み出したものでしょうが、私にはどうしてもある漫画のキャラクターにしか見えないのです。そう思い始めたら、もうそれ以外のものには思えなくなります。そう、これは間違いなくO次郎

 

Exif_JPEG_PICTUREもはや「O次郎」と言っても伝わらない世代の方が多いかもしれませんが、敬愛してやまない藤子・F・不二雄先生の傑作「オバケのQ太郎」に登場するQちゃんの弟です。常に「バケラッタ」という言葉しか発せず、そのシンプルな体型とバケラッタのアレンジだけで喜怒哀楽を表現する「イクラちゃん的」愛すべきキャラクターなのです。子供の頃は、自分も次男だった事もあり、天衣無縫な兄のQ太郎に振り回される健気なO次郎の姿に共感を覚えたものです。

 

20140117 4う〜ん、見れば見るほどO次郎!これは、端材を大切にしている材木屋の男に対して天国の藤子・F先生が与えたもうたご褒美なのか?!幸いにも降臨されたのが小口面なので、長さ調整でカットすることになるので、あらかじめカットして保存しておこうかと・・・。独り心の中で相当に盛り上がったものの、恐らくきっと誰にも理解されないだろうと決して動揺を見せず黙々と作業にいそしんだのですが、この小さな喜びでまた今日1日仕事が楽しめました。

 

※藤子・F・不二雄先生については、詳しくはこちら「藤子・F・不二雄ミュージアム巡礼」。




オンラインショップ お問い合わせ

Archive

Calendar

2014年1月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
Scroll Up