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各月の『誕生木の出口商品』を作ろう!と、意気込んで作り始めたものの、すっかり途中で座礁してしまっています。決して頓挫したわけではないのですが・・・。たまたま商品開発を始めたのが、加工性に優れていて特徴が分かりやすく逸話や伝承なども潤沢にあった9月(ホオ)からだった事もあって、これは12ヶ月の誕生木商品の開発も造作ないと「誤解」してしまいました。その後も10月・クリ、11月・イチョウ、12月・モミと、『出口の分かりやすい、加工のしやすい木』が続きました。
このまま順調に12の出口商品が出来てしまうのか!いやいや、12の誕生木を作った時から、いつかこういう時が来るという事はよ〜く分かっていました。ただ、なるべくその時が来るまで見ないように気づかないようにしていただけ・・・そう、出口商品にとって最大の関門が1月のマツ!まあ、これはあくまでも私にとって問題だという事なのですが。いずれここが最大の難所となり、最大の蹉跌になるという予感はありました。日本人に身近なはずのマツがなぜそんなに難しいのかというと、
それはなによりもマツに含まれる『松ヤニ』が問題!それぞれの出口商品のコンセプトとしては『なるべく身近な場面で使えて、材の特徴と物語を結びつけた奇をてらわないモノ』と考えているので、オブジェというようなものではなくて、日々の暮らしの中で使ってもらえる実用的なモノを作りたいのです。なので当然触れるモノが前提となるのですが、手についてしまうと不快に感じるヤニがその前に大きく立ちはだかるのです。こちらは市内某所で伐採された立派なマツの丸太。
辺材部分(白太)に環状にヤニが滲んでいるのが分かると思います。この状態でこれぐらい滲んでいるという事は、板に挽くとネッチョリとヤニが現われる事間違いなし!このヤニのお陰で材に艶や光沢が生まれるのではあるものの、このねとつきは触るには好ましくないのです。そういう時こそ、『木は五感で楽しめる素材』というキーワードが助け舟となるはずなのですが、それでもなかなか降りてこない・・・。マツ、松、末、待つ・・・嗚呼、今年もまたここで躓いてしまうのか~!!
『誕生木』をなるべく身近なところで楽しんでもらいたいという思いで作り始めた『12ヶ月の誕生木ストラップ』ですが、その後加工工程の見直しやストラップ紐の一括購入などによってコストが抑えられることになりましたので、本日より大幅に価格を改定させていただきます。今まで1個800円(税別)にて販売しておりましたが、思い切って300円値下げをして、今後は1個500円(税別)にて販売させていただく事としました。
これは、同仕様でオリジナルのノベルティ商品にしたいという要望を受けての改定でもあります。片面に誕生木や木言葉、片面に企業やイベントのロゴなどをレーザーで入れて欲しいという問い合わせを多数いただいた事で、今後ある程度の受注のボリュームが見込めそうな事から、作業工程を簡略化したりストラップ紐の一括購入をするなどして対応に備えるのと同時に、レギュラー商品の価格も下げさせていただく事にしたものです。
端材に高い価値を付加させ深い物語性を構築してマニアックな商品開発をする、というのも弊社の1つのテーマですが、一方で今まであまり森や木の事に興味や関心の薄かった人たちにも目をむけてもらうきっかけ作りをするという事も大切なテーマの1つです。そちらの入口(弊社にとっては出口)のツールとして、『森のしるし』や『誕生木ストラップ』という廉価商品もあるわけで、こちらは出来る限りハードルを下げておく必要があります。
ですので常に低価格で商品を開発するということは必須命題なのではあるのですが、ある程度量が見込めないとどうしても値段を下げられないジレンマがあります。特に木製品の特性として、大量に作れば作るほど集材コストが増加するという自然素材ならではの課題がありますので、分不相応の大量受注というのは歓迎されないという特殊事情があって、そこが大量生産大歓迎の工業化商品とは一線を画するところです。何事もバランスが大事!
まあ、そういう裏事情もありまして『誕生木ストラップ』の既製品につきましては、1個500円(540円/税込)での販売という事にさせていただきます。この商品にもカーボンオフセットを付加しておりますので、『森のしるし』同様に1個お買い上げいただくごとに、100g相当の二酸化炭素の削減にも貢献できるという事になっています。是非企業やイベント等でのノベルティとしてのお問い合わせもお待ちしています!
昨年も雪の季節に出しそびれて、今年もまた同じ轍を踏みかけていた『12月の誕生木商品』ですが、月こそずれたものの今年はまだまだ強い寒気がやって来るという事と、ちょうど拙ブログで北海道やら雪山の話が出ておりましたので、ここを逃してはならぬとこのタイミングで『スノーファーマン』のご紹介!誕生木の出口商品としては真っ先にアイデアが浮かび、商品化も一番早かったものの今までタイミングを逸してまいりました。
ただひたすら私の怠慢ということだけなのですが・・・改めて商品のご紹介。12月の木にまつわるメインイベントと言えばクリスマスに尽きますが、そのイベントに欠かせないのがモミのクリスマスツリー。そこから12月の誕生木はモミということになるのですが、そのモミを使って冬の風物詩・雪ダルマを作りました。モミはマツ科トウヒ属の針葉樹ですが、ヨーロッパでは昔から聖なる木として崇められてきた歴史があります。
モミには災いから身を守る力があるともいわれ、その香りもまたナチュラル・ヒーリングとして利用されてきました。そこから、エッセンシャルオイルなどの香りを拡散させて楽しむディフューザーを開発。ファーはモミの英名で、ファーで出来たスノーマンの意です。頭にかぶったバケツはアフリカ産のマメ科の木・ブビンガで、穴は貫通していて取り外しが可能です。その中にガラス管が入っているので、そこにオイルを数滴垂らします。
エッセンシャルオイルは含まれていませんので、お気に入りの香りをお買い求めいただければと思います。愛媛県産のモミの木から削り出して作っています。モミは伐採直後こそ、マツ独特のヤニ臭があるものの乾燥するとほぼ無味無臭になり、調湿効果に優れている事から余計な水分を吸収してくれることから「かまぼこ板」には最適の素材として昔から利用されてきました。余計な香りを発しない事から、ディフューザーに対しても適性があると考えたのです。サイズは、110×80×65mm 。価格は¥4,500(本体のみ、消費税、送料別)で、香りを楽しんでいただくために塗装は施していません。雪の季節だけでなく年間通じて販売しております。ちなみにモミの木言葉は『向上』。
※ 『誕生木・12の樹の物語』・・・http://morinokakera.jp/shouhin/?cat=44
テーブルやカウンター、子どもの勉強机などを無垢材でしたいので木を見に来ました、といってお店に来られる方に木の説明をさせていただく際に、サイズや値段のことばかり話すなんて無粋な事はしたくないので、「石にも誕生石があるように、木にも誕生木というのがありまして・・・」と話しだそうとすると、「ホームページ拝見しているのでよく知ってます。それで私の誕生がOOなので・・・」なんてしたり顔で返される事が何度か続いたりすると、嬉しいやら何だか手の内を見透かされているようで気恥ずかしいやら。
いつでもなんでも『誕生木』にちなんで材のセレクトをするわけではありません。誕生木ストラップのような小物の場合は問題ありませんが、テーブルやカウンターなどの大きな家具の場合は、それだけで部屋の雰囲気を大きく左右しますので、材の特質や色合い、形状などをよく吟味したうえでご提案させていただきます。その候補の中に、該当する誕生木があったりすればそれこそ優先的にお薦めしますが、物語性だけに振り切り過ぎて実用性やバランスを欠いてしまったのでは本末転倒な話になってしまいます。
あらかじめ自分の中で特定の樹種を決めて来られる方や、強い思い入れをお持ちの方もいらしゃいます。特に家具材の王様的な地位にある『ナラ』についてはファンも多く、あの木目や風格に惚れ込んでいて、長らく使い続けている人もいます。新築にあたって新しく作る家具もナラで作りたいという要望も多いのですが、そのナラは昨今非常に材が高騰していて入手が困難になってきています。昔は北海道産のナラを随分使わせていただいていて、当時はまさかナラの仕入れが難しくなる時代が来ようとは夢にも思いませんでしたが・・・
今はナラの代替材として北米産の『ホワイトオーク』を提案させていただいております。材についてはホワイトオークで納得するとしても、誕生木にナラが入っていないのは解せないと仰るナラファンの声もあります。それは仰る通りで、家具材・床材として馴染みの深い木ですから、誕生木に入っていても当然なのですが。12種の材を選定する際に念頭に置いたのは、一般的な認知度の他に、比較的安価での入手が可能であるという事。いざその木で家具など作ろうと思っても、入手困難という事では寂しいではありませんか。
ナラは北海道や東北辺りであれば容易に入手できる材だとは思いますが、あくまでも愛媛の松山の弊社基準での話です。今でも倉庫には幾らかのナラの在庫もありますし、全く入手出来ないというわけでもないのですが、他の誕生木の木に比べると先の見通しも立ちにくく、供給の安定性に不安があるために涙を飲んで外しました。そんな木はナラだけではなく、ブナやカバ、ツガ、カツラ、キリなどいくらもあります。その無念さはいずれ別の形で晴らしてやらなければならない、それが親のつとめと考えているところです。
いよいよ2014年もあとわずか。その最後の月、12月の誕生木は『樅(モミ)』。久万でモミの大きな原木を数本買って来て、厚み45~70mmぐらいまでに耳付きのまま板に挽き分けて、そのまま天然乾燥で乾かすこと数年。3m~5mまでおよそ80数枚の耳付きのモミが倉庫の中で永い眠りについておりましたが、その間はただひたすらに乾かせる期間ですので、乾燥が不完全でも自分で乾かせるという業者の方向けには販売する事が出来ませんでした。乾燥の見極めが出来たのが今年の春頃の事でした。
3〜5mの耳付き板で、しかも幅は広いものになるとおよそ1m強もありましたので、それなりに保管場所も必要となり、販売が出来るまでは社員からも厄介者扱いされていた可哀想なモミ・・・それも仕方ありません。だってこういうものって明確な販売の見通しがあるから仕入れるのではなく、仕入れておいてから販売機会を探していくものですから、相手が見つかるまでは確かに無用の産物のように思われるかもしれません。ただ私には、明確な販売先は見えてはいなくとも売れる、売り切れる確信はありました。
こういう大きなサイズの一枚板というのは、そこに今すぐ販売できる現物があってこそ商談が出来るモノだと考えています。自分の所に無くても、取引先にあるのならば連れて行けばいいとか、画像を送ってもらえればいいと言われる方もいらっしゃるかもしれませんし、そういう商売をされている方もいらっしゃるでしょうが、それは私のスタイルではありませんし、そうしたくもありません。いつ売れるとも分からないような材を、それでもじっと辛抱して持っておく覚悟があってこそこういう板を売る資格があると信じています。
いつ売れるとも、いつ出会いがあるとも分からないこそ、その千載一遇のチャンスにお互い真剣になれるのだと思いますし、売る方にだってそれなりに責任感や気概も湧くというもの。そういう販売見通しの立たない材を在庫するスタイルが過剰在庫、資金の固定化と敬遠される傾向にあるからこそ、それをやり切るところにも光があたるわけで、お陰様で80数枚あったモミも、残すところあと10数枚にまで減りました。しかし残っているものの中には、幅1mクラスがいくつもありますので、最後まで息が抜けません。
本当はお買いあげいただいた1枚1枚について、どうのように料理されたか追跡取材までしたいところなのではありますが、一度私の手を離れてしまえばそれはもうお買いげいただいた方のもので、あまり深入りするのも失礼な話。大きさが大きさだけに、その多くは店舗のカウンターなどに利用されたらしいのですが、客としての再会を楽しみにさせていただきます。それらモミの端材たちも、【森のかけら】や『モミのこだま』として多くのひとの掌のぬくもりとなっています。失う寂しさに負けてまた次を買ってしまう・・・嗚呼。
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