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昨日の続きです。
当初、たまたま耳付板の周囲に蜂が多いのかと思っていたのですが、実は彼らはある目的を持って耳付板に集まっていたのです!そもそも耳付に挽いている理由は、耳の形なりに仕上て、現わしとして使うためです。以前は耳付といえば座卓と相場が決まっていましたが、最近ではダイニングテーブル、カウンター、出窓、小棚など非常に用途が広がってきています。耳がついているだけで、『木』が強調されるので、高価な材でなくとも『個性』を演出出来ます。耳をより生かすためには、ある程度耳に凹凸の変化があるほうが面白いです。そうなると通直な針葉樹は全体的に耳がツルンとしていているので、外形に変化のある広葉樹が好まれます。そのため必然的に広葉樹の耳付板の扱いが増えます。私自身が耳を生かす仕上げが好きな事もあり、そういう挽き材をオーダーしています。気がつけば、倉庫には耳付き板が溢れかえっていました。
いつも言い続けてきましたが、『木は決して人間のためだけに生まれてきたわけではありません』し、『建築し資材になるためだけに生まれたわけでもありません』。森にあり、虫や鳥の『終の棲家』として生きてきたのです。その体を彼らのためにさらけ出し、それに応え彼らは樹皮に卵達を産みつけます。そこへ人間がやってきて伐採し、製材し板に加工しているわけです。樹皮に卵が産み付けられていても何の不思議でもありません。以前は、強い薬剤処理によって殺虫したりすることもあったようですが、そういう薬は極力使いたくないので、皮付きのままでいると、皮の内部で卵が孵化して成虫になることも珍しくありません。
『虫』と聞くと途端に拒否反応を示される方もいると思いますが、この場合は全てを喰い尽す『シロアリ』のような害虫ではありません。とはいっても主食は木ですから、被害がないというわけではありませんが、ほとんどが【キクイムシ】か【カミキリムシ】の類です。これらの多くは1年生なので、成虫になってもその寿命は短いです。彼らが孵化すると、樹皮と材の間の薄皮の部分をギリギリまで食べ進め、やがて穿孔して出てきます。小さな粉の砂山のようなものが出来ていれば、虫が穿孔している証拠です。広葉樹の耳付板が多いのでかなり被害もありました。おかげで虫の事もいろいろ勉強させていただきました。生態から対策など、そのほとんどが虫を敵視したスタンスです。その中で最近購入した左の本は、カミキリムシに深い愛情を注いだ珍しい視点で描かれた1冊で、これを読むと虫に愛おしさすら覚えてしまいます。
しかし現実は甘くはありません!倉庫でも夕方など静かな時間に耳を澄ませていると、たまに「サクサク」と小さな音が聞こえてくる事があります。虫が木をかじっている音です。音のする方に近づくと、気配を察するのかピタッと止まります。またしばらくすると「サクサク」と音がします・・・もうこうなるとガンジーの心境です!こういう事を言うと、「そんなんで大丈夫でしょうか?」と心配されると思いますが、「ええ、大丈夫です。虫も木も生き物ですから仕方がありません。割り切ってください。」と答えるようにしています。呆気にとられる方も稀にいますが、弊社にまで来られる方は結構勉強されている方やこだわっている方が多く、前後の説明でご理解していただける方がほとんどなので大変ありがたいです。
そもそも、木も人間のためだけのものではありませんから、虫に文句を言っても仕方ありません。虫も食べるくらい新鮮な材という事ですし、実際に使用する際には、耳を生かすとはいっても綺麗に磨いて仕上げますので、その段階で虫は取り除けます。虫穴が深い場合もグラインダーで削ってしまいますし、どうしても気になる場合は樹皮のついていない耳付材から選んでいただきます。方法はいろいろありますが、使う目的に合わせて対策を考えればいいことです。とはいっても、こちらも手をこまねいて好き放題喰わせているわけではなく、怪しい鬼皮(一番外側の硬い樹皮)のある物は、刃物で削り落としたりして防御はしています。
しかし板の数が圧倒的に多く、実際には作業が追いつきません。やれる範囲はやりますが、もう後は仕方がありません。生き物のことですから・・・。学者先生ではないので正確な事は分かりませんが、材木屋20数年の経験でいうと、一度穿孔した成虫が、製材して乾燥している板に新たに卵を産み付ける事はないのではないかと思っているのですが・・・。まあ、あったとしても仕方がないのですが・・・。そういう事で厚い鬼皮のついた耳付板には虫が多いという事です。そこで、やっとクロハチが・・・・
ああ、また長くなって本題に入れなかったのでまた明日に続きます!
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