森のかけら | 大五木材


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20090902 樹液+樹脂5今日はいきなり主題に入ります。その謎の物体Ⅹですが、今までにも梱包をばらしていると、板同士がくっつき離れない時があり、みると溶けた飴色の物がビッシリ固まってボンドの役目を果たしていました。見た目には柔らかそうに見えますが、噛んで数日放置したガムのようにカチカチです。木の何かの成分だと思っていたのであまり気にもしてはいなかったのですが、その物体Ⅹがある隙間に向かってハチが入っていくのです。虫の生態に無知な私は、その飴もどきを吸いに来ているのだと思っていました。

 

20090902 樹液+樹脂7ちょうど、虫博士の西田さんから『ハチの幼虫捕食』の話を聞いていた時だったので、この機会に物体Ⅹが何であるか調べてもらことにしました。画像で見るとコロンと取れそうに見えるかもしれませんが、物凄く強い力で木に粘着していて、ヘラでこそげ落とさなければ取れません。博士になるべく元の状態でお見せしたかったのですが、この粘いこと粘いこと!元の形は維持できませんでしたが、何とかそぎ落として博士の元に送り届けました。いつもはガリガリと削り取って焼却処分していて無関心だったのですが、関心が湧くと妙なもので急に物体Ⅹの存在が気になってきます。

20090902 樹液+樹脂2数日後、西田さんから解析のお返事がありました。それによると、ある部分はが主成分、別の部分は樹脂が主成分、また別の部分はタンパク質を多く含む、など、測定する場所によって結果がばらばらだったようです。私がそぎ落とす時に混ぜてしまったのでそうなってしまったのかもしれません。西田さんの予測では、樹脂と樹液(=糖分)が固まった物が、混在しているのではないかという事でした。黄色い部分と黒っぽい部分がありますが、樹液と樹脂は水と油のようにはじき合う性質があるようで、黄色で蝋のように硬い部分に樹液が多く、黒く水飴のように粘る部分がに糖が多いという事でした。この物体Ⅹ形成の虫の関与ははっきりしませんが、木材そのものから生じたものではという見解でした。お忙しい中、丁寧に分析いただきありがとうございました。

 う~ん、さすがです、理解できました。よく分かったのですが、何物か(まあここでいえば虫ですが)が作った基地では!と淡い期待を寄せていただけに少々がっかり・・・想像はしていましたが。しかし、物体Ⅹを削り落としてみてもそこに『脂壺』らしきものは見当たりません。『?』もしかしてその上に積み重なっていた材から下に落ちたのかなと思ったのですが、そう考えた時にはすっかり梱包をばらして立てかけて重ねてしまっていたので、もうさっぱりどれがどれだか分かりません。木から生じたものであれば、何かしら痕跡がありそうなものですから、やはり上からなのかな・・・?。しかし相当粘ついて固まって大量にあったのですが、う~ん何とも不思議な気がします。

20090902 樹液+樹脂6さらにその物体xの中に白く小さな幼虫のようなものが見えていました。それも一緒に西田さんの元に送ったはずなのに、そんな物は見当たらなかったと・・・怪しい!上の画像にも白い幼虫の姿が見えますが、これが数匹いました。何かの幼虫だと思うのですが、削り落としたときに落ちてしまったか!?ハチがいたにも関わらずまだあったという事はハチの幼虫・・・『クロハチは他の虫に寄生して産卵するので、それは考えにくい』と西田さんにあっさり否定されました。では何?幼虫に見えただけの見間違い?いやー、目が悪くなってきたとはいえ、まだそこまでは・・・。もしかして、西田さんの手に渡る前に何者かの手によって、ないものとして抹消された・・・。こうしてUFO目撃者は阻害されていくのかもしれません。そこまでではありませんが、何の幼虫か気になります。是非、実物を捕まえて西田さんに分析していただきます。しかし、こういう方が知り合いにいると心強いです!

 

 思わず長い4部作になってしまいましたが、クロハチのありがたさと物体Ⅹの正体は解明できました(本当はあの白い幼虫が深く関わっている気もしますが!)。いつも『木は人間のためだけに生まれてきたわけではない』という事を強く言っていましたが、今回はつくづくそう思いました。木に関わって生きるものは多いです。

タイトルは、10年に一度しか映画を撮らない寡黙な作家ビクトル・エリセの映画『ミツバチのささやき』にオマージュを捧げました。私は大学生の時に広島の映画館で観ました。寡黙な作家ですが、その時間を凝縮したような濃密な画質と壊れてしまいそうなほどピュアな珠玉の名作です。今見直すと、それを受け入れる感性が自分にあるかどうか心配です。ハチの一心不乱な行動を見て、己への戒めも込めました。




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