森のかけら | 大五木材


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本日待望の『火天の城』の封切日です!早速朝一番を観に行きました。小学2年生の息子も行くというので男二人で観賞。息子は、公開中の『クレヨンしんちゃん』の実写版の時代劇『バラッド』と勘違いしているかなと思ったのですが、説明すると『火天の城』で間違いないと。以前に小説を読んだときに、寝る前に子供たちに話してやっていたので興味を持って覚えていたようです。城造りの部分だけをかなりか脚色して、3日にわたる大長編として語りましたので、無意識の内に脳髄に刷り込まれたのかもしれません。2時間を越える長編でしたが、結局息子も最期までしっかり観ました。お城が出来るのが面白かったという事です。子どもは誰も小さな頃は大工さんを夢見るものです。もの造りに『男の子』の血が騒いだのでしょう!

20090912 火天の城③今日初日という事で、あまり内容に触れるのもどうかと思いますので、今日のところは差し控えさせていただきます。小説が原作物の映画化では、必ずその相違点をことさら取り立てて問題視する事がありますが、小説と映画は全く別物の媒体なので、同じ土俵で論じる事自体が無茶な話です。それぞれの媒体で楽しめばいいと思います。

 

 

話は安土城築城の物語ですが、実際に当時の城造りも相当の困難を極めたことだと思います。映画では、財団法人・竹中道具館が大工道具の時代考証としてスタッフに加わられていたので、かなり忠実に再現されているのだと思います。見たこともない道具が斬新でした。戦国の世といえば、略奪と破壊が繰り返された時代で、折角建てた家や城も簡単に奪われ燃やされ灰塵に帰していたことでしょう。だからといって『作る』ことに冷めていたわけではなく、むしろそういう時代だからこそ『創造』することには強い執着があったのではないでしょうか。当時の道具や環境では到底ありえない日時で城や社寺が築けたのは、そこに自分の存在価値、生きた証をも刻みつけようとしていたかのように。だからこそ、その成果の集大成を破壊し燃やす尽くす事で、相手を物心ともに殲滅させ、復讐の意欲すらも奪い去ったのではないでしょうか。城造りは単なる巨大建築事業ではなく、匠びとたちが己の技と威信をかけた一世一代の大舞台、そして彼らに付き従う多くの民の暮らしや安寧も背負った命懸けの戦場であったのだと思います。

20090912 火天の城4よく『』という木の素晴らしさを伝えるために、古代建築や法隆寺の話を掛け合いに出される方がいますが、それらの建物に使われる『、桧であって桧ではありません。樹齢数百年の御神木のような良質な木を国中探し回って集めた「奇跡のような桧」で、もはや国内でそういう材を揃える事は不可能です。その揃える事も出来ない超良質な木を取り上げて、実際に使う人工林の桧の良さを論じるのはあまりにも無謀ではないかと思うのです。桧そのものの特徴は同じであっても、樹齢数百年を越えるご神木のような木と性質は似て非なるが如しでしょう。その粘りや強度、耐久性、肌触り、全てにおいて桁違いでしょう。法隆寺を支える木の話は、木の魅力を伝えるのに十分に魅力的です。それはそれで面白いのですが、だから「お宅で使う桧も素晴らしいですよ」と同調で語るのはどうかと思うのです。同じ木でも樹齢や産地によって違いが出るからこそ、良質な物が高値で取引され、数百年の高齢木をご神木と崇めるのです。

20090912 薬師寺西塔かの西岡常一棟梁が、薬師寺西塔を建立する際にも、桧の国内調達を諦め台湾にまで足を伸ばしたのは有名な話です。小説でも映画でも、心柱に使える直径二尺五寸(約750㎜)の大ヒノキを探す困難が描かれています。簡単に立派な木が手に入らないからこそ、そこに人は値打ちを見出すのです。天に向かってそびえる姿に畏敬を感じ、改めて生き物であることを再認識するのでしょう。映画で登場する巨木も台湾でロケされた2000年の巨木だそうです。天を突くその姿を見るだけでも価値があります。

映画の内容についての詳しい感想はまた後日。しかし、これほど木が主役になった物語が他にあったでしょうか。城造りのドキュメントとは全く違った古のたくみびと達の気概、観るべし!




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