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さて肝心のスライドショーですが、すっかりあたりが暗くなってから上映開始。店内の灯りを落とすと『コッコ・サン』に深夜の木造劇場が登場。木に囲まれた店内でのスライドショーは独特の趣きがあります。小寺さんのスライドショーを拝見するのはこれで2度目ですが、何度観ても飽きさせないのは、北海道の美しい動植物や風景を写した映像(プロのカメラマンですから当然ですが!)と雰囲気のある音楽をBGMに、小寺さんの生声の『語り』が饒舌だからでしょう。
その昔、ハガキは「端書」と表わされていたそうです。実際に紙の端に書いていた事がその由来だといわれています。それが、いつの頃からか、言葉も木々の葉っぱのように無限のようにあるという事から、「葉書」と示されるようになったとか。言葉の由来についてはさまざまな説があると思いますが、なんとも粋で風情のある話だと思います。森の見かたもひとそれぞれで、環境の視点からシュールに現実を捉える人、木々の姿を人間に置き換えながら考える方、同じ「森」が瞳には違って映ります。
小寺さんは、森の営みを静かにそっと見守り、森で起こる小さな「事件」を凝視します。そこに小寺さんの言葉が足されます。毎年繰り返されるであろう、森での小さな営みを見つめる視点はとても穏やかでとても優しい。こういう「森」の見かた、捉え方もあるんだと気づかされます。そういう人がきっとハガキを森の葉っぱになぞらえたんだと思います。森を住処とし、大粒の雨にたじろぎながら、寒い冬をひたすら耐える姿は、この惑星・地球に住処を借りる生き物の本来あるべき姿。
自然への畏れを忘れて、その恵みだけを甘受しようとする人間。多くのモノを与えてくれる森との付き合い方をそろそろ軌道修正していかなければ、この星に住む資格も剥奪されかねません。その森の木を伐って生業(なりわい)としている材木屋が何を、と思われるかもしれませんが、そういう立場であるかからこそ自戒と反省の意味も込めて、我々木材業界人から発せねばならないと思うのです。そのアプローチはさまざま。CO2の事やカーボンフットの事、自然環境全般について俯瞰の眼差しで行われる『木育』もあれば、身のまわりに潜む虫や小動物の生態に目を向ける事も、木や森に辿り着く最初の一歩だと思います。森や木に携わる仕事をする人から発せられる言葉にはそれなりの危機感や重みがあります。小寺さんのワークショップは、学校では教えてもらえない大切な事がたくさん詰まっています。
※「端書」から「葉書」になった『木言葉書(きことのはがき)』は、端材から作られています。
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