森のかけら | 大五木材


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2月の下旬頃にはオンラインショップで販売を始めますと言っていた『モザイクタイル』ですが、とりあえずようやく販売始まりました。改めて説明しますと、モザイクタイルは(かなり恰好よく言えば)通常ではB品扱いされる、いわゆる『欠点』部分を何とかスポットライトの当たる舞台に立たせたいという思いから作ったものです。実際はフローリングなどで、「除外」されてしまう欠点部分が含まれた材をまるまる廃棄してしまうなんてあまりに忍びなくてどうにか、別の形で商品化できないかという思いで作り出した苦肉の策だったのです。

節や入皮、ピンホール(虫穴)、色ムラ、フィンガージョイントの継ぎ手など、いろいろな 「木の個性」を持った端材が原料で、ダブルサイズ80㎜×160㎜・シングルサイズ80㎜×80㎜・ハーフサイズ40㎜×160㎜の3つのサイズがあって、それぞれにノーマル(欠点の無い部分)、ユニ(継手がある部分)、キャラクター(欠点部分)、ビンテージ(それっぽく経年変化したように作りこんだもの)の4タイプがあります。オンラインショップでは、それらを希望枚数だけ注文出来るようにしようと考えていました。

オンラインショップでの販売こそ少し遅れたものの、店頭では結構売れていて、当初の狙い通り『欠点』部分(キャラクター)から売れていき、欠点の価値化に成功したものの、そればかりが売れてしまい不足するような事態に!またオンライン販売前ながら、個人的な問い合わせもあって、県外のお客さんにも少しずつ試験販売させてもらったいたのですが、やはりそこでも圧倒的にキャラクターが人気!これはこのままオンラインショップで、欲しいものだけ買えるようにするととんでもないことになってしまうのでは?!

という危機感から、オーダーでの注文は断念して、50枚と100枚のお任せセットとすることにしました。どれを何枚頼もうかと手ぐすね引いておられた方には大変申し訳ないのですが、弊社のお客さんのマニア度を考えると、もの凄く偏ったオーダー(例えばハーフのキャラクターのみ100枚とか!?)が入りそうなので予防線を張らせていただきました。これが杞憂にならないところがマニアのマニアたるゆえんです。どうしてもこだわりたいという方は個別にメール下さい。対応できる範囲は限られますが・・・。

ということで、販売始まっているのに『泥縄』式に慌ててキャラクタータイプの加工をしているところです。皮肉なものでそうなると、欠点材が見当たらくなって、これぐらいの欠点じゃ物足りないとか、もっと節が大きかったり、虫穴があるものないかと、倉庫の中で欠点探しが始まっています。加工終了後にオイル塗装して乾燥させているところですが、色目の強い木も人気ですぐになくなってしまいます。もうこうなると欠点なんて呼ぶのは失礼な話で、今では「キャラクター様いずこ~」。現金なものです・・・




例の『モミジバフウ』ですが、製材してから1ヶ月が経過。用材として使うのはまだまだ先の事なんですが、短いものや薄く挽いたものは形がいびつなんで桟を切って並べることが難しいんで立て掛けて乾かせていてこれでも結構乾きました。丸太に一番鋸を入れた耳付きの部分を『ガッパ』と呼びますが、さすがにそのあたりは弊社でも利用を悩むものの、だからといって捨てたりはしません。置いておけばそのうちいずれ「使い道」が発見されるのでなかろうかという「言い訳」でとりあえず一緒に乾かせたりしています

またそういうものから(辺材なので水分の多い赤身が含まれないこともあって特に)乾燥が進んでいくのですが、見た目はすっかり変わっています。製材直後は瑞々しかった材面もすっかりくすんでしまいましたが、それでもひと削りしてみると御覧の通りクリーム色の木肌が再生されます。今回ご縁があって大量にモミジバフウが入手できましたが、それまでこうしてまじまじとモミジバフウの材面を見ることもありませんでした。なにしろそれまで私にとってモミジバフウといえば【森のかけら】の材料。

その程度の認識しかなく、用材としての視点でモミジバフウを考えたこともなかったのですが、さすがにこれだけ大量に土場に積みあがると、真剣に【森のかけら】以外の出口も考えなければなりません。当然大きなものはカウンターやテーブルにも使おうと目論んでいますが、他でもあまり家具や内装などに利用されたという事例もないようなので、自ら試しながら出口を切り拓いていくしかありません。まあまだ完全に乾いたというわけではありませんが、こうしてみた感じでは十分家具としても使えそう。

大きい材は乾燥までにもう少し時間がかあkりますが、小さなものはドンドン乾いていくので、物理的な問題(限られたスペースを有効に生かさないといけないという事情)もあって、早めに出口から出て行ってもらわねばなりません。当然そこには【森のかけら】とか『モザイクボード』という出口があるものの、素材自体がその出口に対象としてはやや大きいので、もう少し大きな出口を探したいのと、こういう骨に残った肉のような部位も何とかしたい。使えない?いやいや、世の中に使えない木なんてないっ




先日、『センダン(栴檀』の板の賃加工で磨き直しさせていただきました。看板に使われていたらしいのですが、結構反っていて、反りはそのままでいいので、表面だけ綺麗に削って欲しいということでしたので、それなら私でもどうにか出来るので削らせていただきました。電動ガンナで表面を削ってから、サンダーで徐々に目を細かくさせながら磨き上げて仕上げました。ほぼ仕上がりに近付いた頃に、加工前の姿を撮っておかなかったことに気が付いたのですが後の祭り。ビフォー&アフターが無いのが残念ですが、レベル(水平)を出さなくてもいいということであれば、どうにか自分で鉋削りとサンダーで磨くぐらいはできるので、徐々に仕上がっていく工程が見えるのは楽しいところです。

センダンは、センダン科センダン属の広葉樹です。弊社にもいくつか在庫がありますが、ケヤキの代用品としてよく利用されます。そうはいっても、センダンとして樹種の指定が入ることは滅多になくて、数か月に一度ぐらいセンダンの板に触ることがあるかどうかという頻度です。私はなんでも運命づけて物事を考えてしまうタチなのですが、このセンダンの板の加工の注文が入った頃に、県外の方から松山で美味しいお店を紹介して欲しいという依頼があり、思いついたのが道後石手の『栴檀』さんという高級老舗

そんなもの自分のさじ加減ひとつやと思われるかもしれませんが、いいんです。自分の脳内でのことなので。センダンの板を削っていたから、栴檀という名前のお店が思い浮かんだというわけでもないのですが、四六時中木の事でアンテナを張り巡らせていると、こういう関連づけに運命的なものを感じてしまうのです。そんな事を考えながら磨いていると、それだけでも何となくやり甲斐や動機づけが出来るというもの。センダンは見た目こそケヤキに似た木目で代替材とされますが、硬さは随分差があります。

かなり軟らかくてこれぐらいのサイズ(およそ1.5m)でも、見た目より随分と軽いです。軟らかすぎて、気をつけていないと鉋で削り過ぎてしまうほど。もともと着色されていたので、ケヤキかと思っていたぐらいなんですが、削ればセンダンらしい木肌が現れました。私の仕事はここまでなので、仕上がりまで見届けられないのが残念でした。軟らかさゆえ建築の場面では用途が限定されますが、木目は面白いし、このような二股のように形も面白いものも多いので、掲げて使う看板などにはおススメの木の一つです




域の材の事を考える場合、どうしても川上から川下までの流れを地域内で完結させてしまいがちですが、他地域の事の方がより冷静に見ることが出来るし、足りないものを補い合えばより流れはスムーズにスピーディになることも多々あります。海外から国内まで、針葉樹から広葉樹まで多岐な材を取り扱っているからこそ見えてくるものもあるし、今回の江差の群来のニュースとて木の事と関連付けて考えることもできます。最近やたら魚とご縁があるのですが、農林水産業なんで根っこは同じところなので当然の事かと納得。

5月頃になると沿岸に魚群が押し寄せることから、北海道では春を告げる魚という意味で『春告魚』とも呼ばれるニシン(鰊)ですが、それは季節的なものだけでなく、漁民にとっては経済的にも春をもたらすものでした。その「春」が実に100年以上もの間遠ざかっていてわけですから、今回の群来は江差の方にとって感激ひとしおだったのではないでしょうか。しかし考えてみれば最後の群来から104年が経過しているわけですから、当時を知る人はもう誰もいないわけで、まさに歴史的な事件。

江差をはじめ北海道の漁民の方々はこの「春」をただ漫然と待ったわけではなく、稚魚放流などの継続的な活動が実ったということです。植林から伐採、そしてその後の製材、乾燥、加工まで含めると、ひと世代では結実しない長期戦の林業に比べると、稚魚の放流から考えても成果が出るまでのスパンが短いと考えられる漁業で、100年というのは恐ろしく長い時間であり、その成長が日々目で確認できる樹に対して、見えない水面下の魚が相手という事を考えれば、それは絶望的に長くゴールの見えない日々だったのではないでしょうか。

改めて100年という時間を考えたとき、何気なく手にする米松の桁とて目込みのものであれば、それに匹敵するぐらいの時間が凝縮されています。積み重ねられた時間は、日本の木だろうがアメリカの木だろうがアフリカの木だろうが同じです。普段から自分より「はるか高齢な先輩方」ばかりを相手にしていると、ついつい100年生なんて軽口を叩いてしまいがちになるのですが、100年ぶりのニシンの群来の話を聞いて、身近な100年選手たちのことももっと深く考えようと思いました。

プレカットなどの浸透で木材業界もすっかり工業製品化が進み、プラスマイナス数ミリの精度ばかりが幅を利かすようになって、かつての木目や風合い、木味、艶などといった情緒的な表現を使う場面がすっかり少なくなってきました。そういう時代だからこそ、木を語り継ぐ事に意味もあります。いつかまたやって来ると思い続けて104年後に実った執念。もう二度と来ないのではとの疑心暗鬼との戦いであったと思います。情緒的に木が語られる時代がまた再び来るその日まで信じて種を撒き続けていきます。




恐らく地元では大きな話題となっているのだと思いますが、ここ愛媛ではほとんど話題になることもありません。ただ私は個人的に、以前に『小豆島のオリーブ』の事を取り上げた時に、北海道のニシン(鰊)漁の事をしつこいまでに取り上げさせていただきましたので、大変興味を持ってこのニュースを拝見しました。そのニュースの内容とは、2月の末に北海道江差町で、ニシンの産卵活動で沿岸部の海が白く濁る群来(くき)」という現象が104年ぶりに発生し、海藻についた卵も確認されたというものです。

あまり興味の無い方にとっては、ニシンが久しぶりに大量に押し寄せて来ただけの和やかなローカルニュースだと思われるかもしれませんが、前回「オリーブとニシンの関連性」についてのブログを書くにあたって、当時『北のウォール街』とも呼ばれたニシン漁についての状況を調べると、それが単に一地方都市のの漁業の栄枯盛衰の話ではなく、そこに日本が近代化する歴史の悲哀が凝縮されていたことを知ったのです。そういうこともあって、今回のニシンの群来については他人事ながら非常に嬉しく思いました

104年ぶりというのは江差町での話であって、小樽などでは継続的なニシンの稚魚放流などの活動の結果、10年前から群来が確認されているようです。改めてニシンと木(オリーブ)の関係について説明すると、100年前当時に大量のニシンが押し寄せ、ピークで100万トンもの水揚げ(個体数で換算すると30~40億匹!)があり、そのニシンをオイル漬けにして海外にも輸出する狙いもあって、国が国内3か所(香川、三重、鹿児島)にオリーブの試験栽培を始めました。それが香川の特産品・オリーブの発祥なのです。


その後、三重、鹿児島ではうまく生育が出来なかったものの、香川ではうまく根付いて特産品にまでなりました。しかし残念ながら、ニシンそのものが獲れなくなってしまったのは皮肉な話。しかしその後オリーブは当初の目的とは違う形で利活用され、島の特産品とまでなりました。100年を経た香川のオリーブですが、あるこころからお話もいただき、剪定される枝などを「材」として何か利用できないものかと考えているところです江差も小豆島も私にとっては無縁の地ですが、自分の中では既に繋がっています。




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