森のかけら | 大五木材


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旭川産のキングサイズのミズナラの一枚板、恐らく100年はゆうに超えていると思われる巨木から伐りだされた一枚です。兄弟であるもう一枚の体には、伐採時についたであろうチェンソーの跡も生々しく残っています。これだけのサイズとなると愛媛の森では太刀打ちできません。やはりそこは北海道のスケールの大きな大自然からの産物。そんなミズナラの名前の由来ですが、落葉広葉樹でありながら葉っぱが落ちにくいことから、枝先に残った枯葉が寒風に揺られて擦れ合って鳴る(ナル→ナラ)様子から命名されたとの説があります。

他にも「日本書紀」によると、崇神天皇の時代に官軍が草木を踏みならしたところを「なら山」と名付けたとあるように、ナラという語源には「平ら」という意味があり、葉が広くて平らなナラの名前となったという説もあります。ミズナラのミズは、文字通り「水」の意味で、この木が多量の水分を含んでいて、簡単には燃やせないということから命名されたとされています。ナラの仲間にはコナラナラガシワなどもありますが、一般的にナラというと、このあたりではミズナラの事を指しています。

そんなミズナラですが、木目がくっきりしていて力強く雄々しいことから男性に好まれる傾向にあります。キングサイズともなるとかなりの重さですが、15年間の乾燥を経てかなり軽くなりました。それでもこの大きさですから動かすには当然ふたりがかり。ほぼこのサイズのままで脚をつけてダイニングテーブルにすることになったので、裏面から脚の位置を確認。弊社ではテーブル一台ずつオーダーメイドで作っていくため、こうやって脚の位置や大きさなども一枚ずつ天板に合わせてバランスを考えます。

脚の位置や大きさが決まったら早速加工に入ります。加工してくれるのは弊社の懐刀である『ZEN FURNITURE』の善家雅智君。おおよその見立てが出来たら後は阿吽の呼吸で仕上げていきます。今回のミズナラは中央部に大きな割れが入っていましたが、敢えてそこを埋めたりせずに豪快にそのまま取り入れた仕上げとなりました。森の履歴書でもある割れの部分がこのミズナラに味わい深い表情を与えてくれています。その醍醐味部分をしっかり触ってもらえるように鑿で丁寧に整えます。明日に続く・・・




ヒノキスギなどでも試しましたが音の響きが違います。他の木ではミズナラのような深いみのある音がしません。最初は家内に頼まれて半ば疑心暗鬼で作ったものの、その乾いたような音の響きに魅せられていきました。大きな割れもあったりするので、小さく割り返すにも抵抗も少なく、小さなものまで使えるのでロスもほとんどありません。しかも丈夫で耐久性もあるため、子供の荒っぽい扱いにも耐えられます。硬質なナラならではこういう材の適性をうまく生かした出口が見つかると嬉しいだけでなく安堵感もあります

とはいえ、そこそこ大きなものでコンディションもいいものはさすがに小割せずにそのまま使います。例えば2ⅿ以内で幅が300~400㎜ぐらいであれば愛媛のナラの一枚板で家具を作ることも可能です。ただしまだまだ原料が少なくコンディションのいいものばかりというわけにはいきません。割れや虫穴、青染みなど脛に傷のあるようなものも多くあります。普通の木であれば明らかに「欠点」扱いされるそれらの特徴も、ナラの場合は味わいのある「キャラクターマーク」に昇華できてしまうところもこの木の魅力のひとつだと思います。

それはもののとりようと思われるかもしれませんが、そういう傷や割れ、虫穴すらも表情のひとつ、いやもっと格好良く言えば、それらは『森の履歴書』であるとと言い切っても過言ではないほどに、長生きしたミズナラの表情には深みと味わい、そして厳かなまでの説得力があるのです。さて、ここで前述の旭川産のミズナラに登場していただきましょう。長さは2400㎜、幅は900~1000㎜、厚み48㎜のキングサイズ!北海道から愛媛に移り住まわれて既に15年が経過。一緒に移住した兄弟たちの多くはもういません

残ったのはこの2枚のみ。いずれの体にも大きく深い傷が刻み込まれています。北海道の森でどう生きてきたのでしょうか。まさかその後はるばる愛媛の地にまでやって来ようとは思ってもみなかったかとでしょう。そんな彼らにも日の当たるチャンスがやって来ました。年明けからキングサイズの一枚板のテーブルを作りたいという話が同時期に3,4件舞い込みまして、その都度彼らもオーディションに参加してきましたが、その中のあるご夫婦の目に留まりこのままダイニングテーブルとなることが決まりました。巡って来た15年目の春!




若い頃に北海道に連れて行ってもらって初めて北海道産のミズナラを見ましたが、その圧倒的なボリュームに感動しました。当時はまだ『道産楢』というブランドは相当に魅力的でしたが、その後高齢木のロシア産、中国産のナラに市場を凌駕されてしまいました。愛媛にもロシア産、中国産のナラの挽き板が入ってくるようになるに合わせて、弊社にもナラ指定の家具の注文が入ってくるようになり、沢山の家具などを作ってきました。まだまだ300㎜を越えるような幅広の材も容易にはいっていたため木取りしやすいという使いよさもありました。

その後、輸入ナラの供給が不安定な時期もありましたが、やはり家具の世界では看板選手として業界を引っ張っていきました。ロシアや中国からナラが入りにくくなると、北米産の『ホワイトオーク』がその代替材として使われるようになりました。ホワイトオークの方が重く硬いものの雰囲気がとても似ているので、その時期にナラからホワイトオークに移行された工務店さんも沢山いらっしゃいました。価格も問題もあり、弊社ではかつてミズナラが占めていたポジションはすっかりホワイトオークに譲ってしまいました。

それでもやっぱりナラが好きというナラファンも多いので、地元愛媛の山元にもお願いして、ミズナラの原木が出た場合に分けていただくようにしています。手に入ったとしても乾燥までにかなりの時間を要するために、材として使えるようになるまでには天然乾燥だと2,3年ぐらいは覚悟しています。こちらは8年ほど前に挽いた久万高原町産のミズナラ。直径500㎜程度の丸太を50~60㎜ぐらいの厚みに挽いてジワジワ乾かせてきました。割れやピンホールもあったので、このまま一枚板としてというよりも脚材などに小割して使います。

愛媛の森から出てきたミズナラ。そのまま一枚でテーブルになるような巨木は望むべくもありませんが、身の丈に合った用途に使っています。まあまあ大きいものでねじれの少ないものは、奥行きのあまり必要でないカウンターなどに、ねじれや反りがあるものは小さく割り返してテーブルや座卓の脚材に、さらにもっと小さなクラフト細工などに。こちらの『カラコロ木琴』は、愛媛産のミズナラで出来ています。中にビー玉を入れたり、マレットで内部を回すように叩くとカラコロと優しい音色が響き渡ります。硬いミズナラならではの音色。明日に続く・・・




★今日のかけら #101【水楢/ミズナラ】 ブナ科コナラ属・広葉樹・愛媛産

3月に耳付きの一枚板への問い合わせが集中したのですが、そのうちの一枚がこちらの旭川産の『ミズナラ(水楢』です。本日はそのミズナラそのものの話ではなく、テーブルになっていく工程をご紹介しようと思って過去のブログを見直してみると、なんとミズナラをまだ『今日のかけら』で取り上げていなかったことに気がつきました!これと同じような事を何度も書いていたのですが、そのたびに先送りしてしまいました。という事で今更ではありますが、『森の王様』の異名を持つミズナラの木についてお話させていただきます。

ミズナラは今までにもこのブログに何度も登場してきましたが、あまりにメジャーし過ぎるので、つい後回しにしてしまいました。それほどまでにミズナラの知名度は高く、家具材としても人気です。しかし今でこそ弊社の倉庫のあちこちにも置いてあるミズナラですが、若い頃の私にとってミズナラは決して身近な木ではありませんでした。ナラそのものの存在は勿論知っていたものの、それは突板として家具になった「加工されたナラ」の姿で、まだ「普通の材木屋」であった大五木材には、無垢の一枚板のミズナラは遠い存在でした。

なぜなら地元の木材市場にミズナラが並ぶこともありませんでしたし、ナラの丸太を見る機会もありませんでした。当時の私にとってミズナラは本や写真として遠くで見る木であって、実際に取り扱う木ではありませんでした。私が入手した頃はホワイトオークなどの北米材の取り扱いもなく、実際に販売用の木材としてのナラ類を手にしたのはそれから数年後の事です。勿論私の実家の野山にはナラの木は沢山生えていましたが、材として手に入ることがありませんでした。用材としてのナラは北海道や東北あたりでしか得られないものだと思い込んでいたのです。

今でもこちらからオーダーしなければ愛媛の木材市場にナラの丸太が並ぶことはほとんどないのではないでしょうか。注文したとして、ナラの丸太が得られるとも限りません。それぐらい縁遠かったナラでしたが、県外の市場に赴くようになってから、珍しさや嬉しさもあって一時期貪るように買い漁りました。しかし、それまでは取り扱い樹種の多くがヒノキスギ、ベイマツ、ベイツガなどの軟らかい針葉樹一辺倒で、硬めの広葉樹を扱ったことが無かったので、その保管方法すら分からず、ねじれたり割れたりと、かなりの授業料を支払ってきました。明日に続く・・・




建築中だった会社の裏地の小屋が遂に完成!完成といっても、構造材がむき出しで壁も無いオープンな造りなので、初めて見る人だと「建築中?」と思われるかもしれませんが、いえいえこれで完成です!零細材木屋としては、できる限り少ない投資で出来るかぎり多くの利益を生み出すことが至上命題でございます。躯体は大工さんにお願いしましたが、一部の壁にタキロンを張ったり、オイルを塗るなど、自分たちで出来ることは自分の手で。まあ使っていきながら不都合があればその都度手を加えていくつもりです。

小屋のデザインや仕様などはすべて家内の案。以前建てていた小屋の代替として使うというのが主要目的でしたが、どうせ折角造るのなら、いろいろな用途に使えるようにということで、当初の予定よりひと回りほど大きくなりました。以前はここにもラス板や胴縁、野縁などの羽柄材が梱包で積みあがっていました。今では信じられないような話ですが、その昔は羽柄材は倉庫の中に保管するものではなく、屋根無しの土場に置いておくものでした。大工さんも寛容で、雨の時はそれらを使うのは諦めるというのんびりした時代。

それが今ではほぼすべてが乾燥材であることが前提のようになっており、弊社も羽柄材は屋根のある倉庫で保管しています。そのため資材置き場として使っていた裏の土地も、今ではすっかり駐車場。それならいっそ、いろいろなイベントなどにも対応できるオープン小屋を建ててしまえということになったのです。構造材むき出しのワイルドな仕様ですが、家内の案で小さなルーフバルコニーを設置。わずかなスペースですが、たった3mほど太陽に近づいただけで、なぜにこれほどテンションが上がるのかっ!

小さなこどもたちがお店にもやって来るため、誰でもいつでも自由にルーフバルコニーに登れるようにしておくと心配なので、あえて階段は作っていません。必要な時だけ梯子をかけて登れるようにしています。朝、会社に出社するとき(家から50歩ほどですが・・・)、仕事が終わって太陽が西に沈むとき,独りでルーフバルコニーに登ってその光景を見るだけで、なんとも贅沢で得した気分になります。それだけでも造ってよかった感を満喫。自分の中では、夕日にたそがれるキングコングの気分。さあ、これからいろいろなイベント仕掛けていきます!




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