森のかけら | 大五木材


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熟成モミジバフウからスポルテッドビーチを経由してのブルークリスマスと来ると、この流れの息つく先は勿論、12月の誕生木モミ(樅』の話です。現在、弊社には九州産のモミ愛媛県産のモミの板があります。いずれもたいした量ではありませんが、一枚板のダイニングテーブルには十分なサイズです。愛媛県産のモミについては、丸太で10数本仕入れて耳付きの板に挽いて、天然乾燥させました。こんな目の詰まった良質のモノが地元で採れるのかと思うほど良質な木だったので、手頃なサイズのモノから順調に売れていきました。

それで残ったのが、長さ4mで幅は1m超えの大きなモノばかり。さすがにこのサイズになると大き過ぎて逆に嫁ぎ先が決まりにくい。天然乾燥で8年ほど経過していますので乾燥は完璧で、節もわずかで木目も綺麗。ほぼ文句のつけようのない美材ですが、偏屈材木屋にはふさわしくないのかも。これ大丈夫なのかと思えるような大きな割れや、激しく穿孔された虫穴、天下御免の向こう傷、染みの向こうにロマンが見える青染みなどの問題児を売るのは得意なんですが・・・

あまりに整いすぎて優秀な材となると、こちらの方が気後れしてしまいます。丸太を仕入れて挽いてみたら見事な良材が取れましたというもので、木材市場で板の状態で見たならば、まず手を出すことはないでしょう。偏屈材木屋としては、普通の人からは見向きも評価もされないような木に、新たな出口を見出したり、背景の物語と結びつけて新たな価値を生み出すという事に情熱を傾けているので、あまりに整いすぎる木というのは、私流の腕の振るいどころがないのです

まあ、いわゆる銘木屋さんで扱うような木なので、偏屈零細材木屋ではなかなか良縁に恵まれません。まだまだ婚期を逸したような先輩たちが倉庫の奥には居並んでいるものの、これだけ容姿端麗なモミですから、それにふさわしい相手を見つけてやりたい。これ以上手元に置いておくと情が移って手放したくなりそうだし。12月の誕生木『モミ』の木言葉は『向上なのですが、もうひとつ木言葉もあって、それは『』。時間がかかるのは生まれ持っての運命かも・・・




モミジバフウのブルーステインからビーチのスポルテッドに話が広がりましたが、もともと言いたかったのはブルーからこの季節に連想するもの。そう、『ブルー』と『12月』という2つのキーワードから私が連想するのは『ブルークリスマス』です。毎年このぐらいの季節になったら書こう書こうと思っていて、つい書きそびれてタイミングを逸するという醜態を曝け出してきましたが、今年は間に合いました。もう随分古いのと、内容が地味なので知っている方も少ないかもしれませんが、1978年公開の東宝映画です。

脚本は『北の国から』や『前略おふくろ様』で知られる倉本聰のオリジナルシナリオです。メガホンを撮ったのは、最近また評価が高まってきている奇才・岡本喜八。この映画が製作された当時は、ハリウッドから鳴り物入りでやって来た『スターウォーズ』によって全国でSF映画ブームが巻き起こり、それに対抗して様々なSF映画が作られていました。そういう状況にあって、『ゴジラ』など日本におけるSF映画の元祖東宝が、あえて『特撮を一切使わないSF映画』として取り組んだ野心溢れる意欲作なのです。

物語のあらすじは・・・1978年の京都国際科学者会議において、UFOの存在について語った兵藤博士は何者かに拉致される。同じころにテレビドラマのヒロインに抜擢された新人女優が麻薬不法所持の濡れ衣を着せられ逮捕される。彼女は絶望し自殺するが、切った手首からは青い血が流れていたとの証言が。折しも世界各地でUFOの目撃情報が相次ぎはじめ、UFOを目撃した人の血が青く変質する。そんな青い血を持つ人間たちに政府の秘密機関からの魔の手が迫る。街が純白の雪に覆われるホワイト・クリスマスの夜、青い血が雪を染めていく・・・という話。一切特撮は出てこない不思議な雰囲気のSF映画です。

私はリアルタイムで観たわけではなくて、大学生の頃にレンタルビデオで観たのですが、当時は倉本聰のシナリオ集などを読んでいたので、地味な内容ながら星新一とか藤子不二雄的な、ドンパチの無いSF(少し不思議)映画としてとても興味深く観ました。しかし製作陣の意気込みに反して、興行成績は散々たる結果だったようですが、時代が速すぎたのかもしれません。UFOや地球以外の生命体の存在が当たり前のように論じられるようになった今こそ、もう一度再評価されるべき作品ではないかと思っています。

映画の中には、恐ろしいエイリアンも登場しませんが、エイリアン以上に怖いのは人間だという、今でこそ手垢のついた結論ですが、自主製作映画を撮るのに常に金策していた当時の私にとっては、お金はかけずともSF映画が撮れる見本として、また雪の中に流れる竹下景子の青い血とともに、強く心に残った映画となりました。なので、クリスマスというと私にとってはホワイトよりもブルー。残念ながら木材にはブルーの木はありませんが、ブルーステインを眺めながら、もしやこれも異星人からの謎のメッセージなのではないかと・・・




昨日ご紹介したブルーステイン入りの個性的なモミジバフウですが、特に節の周辺はスポルテッドの黒筋とも相まって魅惑的な表情を生み出していて、まるで小宇宙のよう!に見えだしたりしたらかなりの病気ですが、木なんてこちらの受け止め方次第ですからね。私的には万人受けする美しい虎斑や縮み杢などの高級銘木なんかよりも、多くの人が見向きもしないような欠品扱いされるような木の中に、現れているへそ曲がり的な主張の方が好きです。もっとも銘木の世界なんて、目利きの集まりで私には場違いな舞台です。

そんなひねくれ者の個性の首長として、こういうものもあります。こちらはビーチ(ブナ)のスポルテッド材。誰かが意思を持って描いたとしか思えないほど芸術的に洗練された絶妙な黒筋。これはうちで造り出したものではなく、東北の兄貴筋から購入させていただいたもの。長さは2mで幅は160~280、厚みは35㎜前後。全部で18枚ありますが、全部が全部これだけアーティティックなスポルチッドになっているわけではありません。1枚1枚木柄を見ながら、私の趣味と偏見で我が子に名をつけるがごとく独自に値付けしました。

スポルテッドって、この辺りではあまり好んで使おうという工務店さんや設計士さんはいません。そもそも、こういうモノをあまり評価する遊び心のある土壌が無くて、銘木的な価値観でモノを見る施主さんが多いので、なかなか提案そのものを受けてれていただけません。そこには私の怠慢もあって、どうせこういう個性の強い木ってなかなか売れないだろうからと倉庫の奥の方にしまってしまい、そういうリクエストがあれば奥から引っ張り出してきて見せたりしてきたので、一般の方がぶらりと来店して見るという機会もなかったのです。

やっぱりこういうものって、実物を見るて触るれて感じる事が大事。それまであまり興味がなくとも、見ていたら魅入られてすっかり虜になるということもあるかもしれません。なのでこのビーチのスポルテッドはなるべく倉庫の中でも目に付くところ置いておいて、魅入られて思考停止になって知らない間に財布の紐が緩んでしまい、気がついたら購入するという作戦でいこうと思っています。ブルーダイヤって見つめていると瞳に魔力が宿るとか言われたりしますが、このスポルテッドにもそういう魔力が備わっているはず!なぜって既に私がその最初の犠牲者なのですから




木にはいろいろな色があります。例えば赤い木ならば、サッチーネブビンガ、パドック、ブラック・チェリー、イチイなどなど。黄色い木ならば、ハゼノキ、ニガキ、イエローシーダー、アマレロ、プランチョネラなどなど。黒い木ならば、コクタン、ウェンジ茶色い木ならば、ブラック・ウォールナットからオニグルミ、チークなど濃淡に合わせてさまざま。更に白い木ならばモチノキやトチノキ、ミズキ、ホワイトアッシュなど。あれは白じゃないアイボリーだというような細かな分類はさておきの話です。

そのように木にはひと口では分類できないような複雑で多彩な色がありますが、その中で無いのが青色の木。名前にこそ青が付く木はありますが(アオキ)、材質が蒼いわけではありません。以前にも書きましたが、アオキの由来は昔の日本人が青と緑を混用していた、いわゆる『日本人の青と緑の混用』によるものです。私が知らないだけで、世の中には材質が蒼い木もあるのかもしれませんが、今のところ私が目にすることの出来る『青い木』は、腐朽菌によって変色して青染みが出来てしまったブルーステインの木のみ

本来であれば歓迎すべき現象ではありませんし、若い頃であれば私もやらかした~!と頭を抱えていたところでしょう。それが今、こうなってしまった材をみて、ラッキーなんて感じてしまうようになってしまったのですから、歳も重ねて場数も踏んでみるものです。これって以前にも少しだけ紹介した愛媛県産の『モミジバフウ』です。狙って造り出したのではなく、量が多すぎて目と手が届かず結果的にこうなってしまったですが、それが怪我の功名。普通の木では飽き足らなくなってきている私の心を満たしてくれる。

筋状の黒い染みが出来たスポルテッドと青染みがなんとも言えない絶妙なバランスで自然の造形美を造り出しているではないですか!こういうのってこちらの受け止め方次第なので、ただの腐りや欠品材にしか見えない人はそれで結構。そんな方を説き伏せてまでこの魅力を押し切ろうなんて考えていません。共感できる人と楽しめれば十分。世の中広いので、ひとりやふたりぐらいはこれを「面白いっ!」と共感してくれる変わり者もいるはず。まあこれを青色と呼ぶには無理はありますが、英語では『Blue stain』です!

このモミジバフウのブルーステインって、写真で見るよりも実物だともっと青色感があるのですが、写真だと青がくすんで汚く見えてしまっているのは残念。しかもこれで仕上げてオイルでも塗ると、その青色部分がオイルに反応して青から濁った茶褐色のような感じになって、折角の青が台無しになってしまいます。なのでこのブルーステインの青を楽しみたい方は、無塗装かソープフィニッシュのように生地の色が濃く反応しないような塗料を使われる方がいいと思います。という事でこの個性的なモミジバフウの板も販売しています!

 




このブログでくどいぐらいに何度も何度も繰り返し取り上げてきた、平賀源内が誤解して命名した『200歳のホルトノキ』ですが、その枝などを一部オンラインショップやイベントで販売してきました。製材してその内部を見た時には、朽ちて倒れた影響ですっかり変色してしまったその御姿に一瞬たじろいだものの、200年の命を預からせていただいた使命感から覚悟を決めました。今だからこそ言いますが、「全部使えなくても仕方がない」と腹をくくり、売れないならば『歴史を語る木』として活躍してもらうおうと!

ところが乾燥してくくると、風の谷を侵食していく腐海のようにホルトノキの白身部分を侵食する変色菌が、何とも妖しく面白い表情を生み出しているではないですかっ!そこをプレーナーでひと削りすれば、年輪にも深く食い込んで、まるで本物のオリーブの縞柄のようにも見えて、実はそこが人気を呼んで、オンラインショップでもイベントでもそういうものから順に売れていきました。ふた股に分かれたメインの幹の部分は、かなり癖が残っていそうなのでもうしばらくは上から圧をかけて乾燥させる予定です。

オンラインショップにも先日、数枚追加しましたが、今回はあえて癖の強いところもアップしました。老木という事もあって、ところどころに洞があったり、虫穴や傷も多くて、最初ネットで販売するにあたってそういう部分は意識して避けてきたのですが、購入していただいた方から、出来ればもっと癖の強いところ(つまり朽ちたり、穴が開いているようなところ)が欲しいとの要望もあって、当初控えていたそういう部位も積極的に出していくことにしました。蓼食う虫も好き好きの言葉通り、世の中いろいろな方がいらっしゃる。

例えば牛肉などでもそうですが、みんながみんなヒレやロースが好きという事は無くて、中にはホルモンが好物って人もいるように、木だって整った無節の筍杢だけが木ではないのです。森の中で風雪と戦った節の周囲の縮み杢や、腐る一歩手前のスポルテッド柄や芸術的な虫穴や、象形文字のような割れに萌えるフェチだって沢山いるはず。丸太を仕入れれば必ずそういう部材も含まれてきます。そういうフェチなお客さんをどれだけ持っているかが、マニアックな材木屋の生命線であり、だからこそ丸太1本を余すところなくしゃぶり尽くせるのです!




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