森のかけら | 大五木材


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勝った負けたで一年のうち半分を楽しませてくれるプロ野球交流戦が始まってからパ・リーグ6球団との交流戦が各3試合で18試合、リーグ内の対戦が25回戦総当たりの125試合で、1球団あたりの試合数は143となります。そわが阪神タイガースの場合は、今年はそのちホーム球場で開催されるのが 62試合、ビジター球場で開催されるのが63試合(年度によって逆パターンもあり)。そのうち地方に住む阪神ファンである私が球場で観戦できる機会は、週末のホーム(あるいは愛媛の坊ちゃん球場で開催される試合)となります。

ドーム球場なら雨の心配もないのですが、甲子園球場の場合は雨で中止というリスクもあるので、わざわざ甲子園まで行って中止というのはあまりに辛いので、なるべく土日(あるいは祝祭日がらみの2連休)を抑えたい。しかし、甲子園を本拠地とするタイガースには、春と夏に全国高校野球甲子園大会という大きな壁がありまして、うまい具合に週末に甲子園での2連戦が絡むケースがなかなか少ないのです。当然準ホームである京セラドームも視野にいれておりますが、それでもかなり限られた条件となります。

しかも7月も中盤以降となると暑さを配慮して屋外ではデーゲームがほとんどなくなります。30度を超える猛暑のスタンドで3時間近くも座って野球を観るのはこちらも勘弁してほしいので仕方ないのですが、そうなると18時開始のナイトゲーム2連戦に行くためには、野球のために昼から仕事を放棄するしかありません。さすがにそれは出来ませんが、もしその暴挙に出たとしても2日目の試合を観終わってから車で家に辿り着くのは深夜、あるいは日付が変わった頃になってしまいます。それはさすがに次の日の仕事に差し支える。

ということで、夏以降はなかなか甲子園に行くことが出来ないのですが、その不満を解消とまではいかないものの、少しでも気持ちを和らげてくれるのが地方で開催されるウエスタンリーグ(2軍)の公式戦。地方の野球ファンの開拓、地域のスポーツ交流等々のお題目はあるのでしょうが、こちらとしては2軍といえどもプロの試合を近くで観えるのは嬉しい。ということで、香川県丸亀市のレクザムボールパークで週末にナイトゲームで開催された中日2連戦に行くことにしました。とりあえず2連戦の初日だけですが。明日に続く・・・

 




端材コーナーをリニューアルしたこともあってか最近少しずつ木を求めてご来店いただく一般の方が増えています。一般の方の中に混じって稀に『本物』な方がいらっしゃるので油断できません。ここで言うところの『本物』は、プロの建築家とか木材の専門家という事だけではなく、木の事を仕事にしているわけではないけれど木の事が好きで好きでたまらなくて、個人的にいろいろ調べて専門書なども読み込まれていて、誰に頼まれているわけでもなく、ひたすらに個人的な趣味で木の事に精通されている方。こういう人は怖い。

職業的に木の事を求めた来られる方は、それなりに『落としどころ』が分かっているのですが、趣味嗜好で木が好きな人はもっと深いところで木と繋がっていて、その思いもピュアで打算的なところがないので、上っ面の木の話では満足されなくて、こちらも数段階ギアをあげた超本気モードになれねばなりません。単なる知識や情報を超えた思いや愛情で木を求めらる場合、こちらも相応の覚悟を持って話さなばなりませんし。そういう人って何の予告もなくぶらりとやって来られて、最初は口数の少ないお爺ちゃんかなと思っていたら、ポツポツと木に対する思いを語り始め・・・

若い頃に行った御蔵島のツゲの木が・・・」とか「できれば綾のケヤキが・・・」なんて言われて、「しまった!本物や!」と気づくのですがで時既に遅し。本物相手にレベルの低い話をしてしもうた~と、こちらも自分の刀で心に深手の傷を負ってしまっています。本物のひとの言葉って飾り気が無い分、ひと言がひと言が重たい。決して知識をひけらかしたり、専門用語でごまかしたりせずに木への愛情を語られるのですが、嗚呼やっぱりそこが大事だよな~と反省させられます。と言いつつも緊張感漂うそんな抜き身のやり取りも楽しいところなのですが。

一方、その逆で「私、木の事にかなりうるさいんですけど、おたくにこんな木ってありますか?」なんてにやけた笑いをしながら来店される方もいらっしゃいます。(そのままズバリ書くとさすがにアレなので多少脚色しますが)そういう場合、こちらも「無謀な道場破りが来た~!(嬉)」と内心ニヤニヤしているのですが、必死に笑いをこらえて低姿勢でお話を伺います。恐らくネットや専門書を必死で齧ったと思われる専門用語を駆使されますが、少し話を訊けば底の浅さはすぐにバレます。それでもなるほど~とか、博識ですね~と心の無い相槌を打ちながら泳がせてどこまで語るのか聞き出します。

若い頃なら化けの皮が剥がれるまで相手にたっぷり喋らせて、ここぞとばかりに足腰立てないように論破することもしばしばでしたが、最近はすっかり寛容に受け入れることが出来るようになりました。こちらとて知識や情報のつぎはぎのあげ底で木を語っているに過ぎず、逆に本心を出していない相手に試されていて、心の底で笑われているかもしれません。進めば進むほどに木の世界は広くて深くて混沌としていてゴールが無い。私が一生かかっても知ることの出来るのは葉っぱ一枚にも満たない。だからせめてその葉っぱが、こちら側からだと怪獣の形にも見えたりするんですよ的な事でもお伝えできればなと。

 




私が大五木材に入社した30数年前当時は、会社での取り扱い品目のほぼ8割が建築材、残り2割が土木資材という感じでした。家具材とかに手を出すようになったのは、意図してというよりもたまたまそういう依頼があってそれが次第に増えてきたというもので、決して戦略的なものではありませんでした。実家が土木会社を経営していたこともあり土木会社とのご縁もあって、補助桟や丁張板、矢板、杭などの土木資材も取り扱っていましたが、そちらの方は取引先が後継者問題などで廃業される所もあって徐々に取扱量も減少。現在は微々たる量です。

逆に家具材やクラフト向けの材の取扱量が急増しています。その分野だと短尺材や半端なサイズの材でも活用出来るので、昔に建築向けに仕入れておいたが迷走して出口を見失った材でも利用することが可能です。そのお陰で「デッドストック」となりかかっていた材に再び光があたりつつあって、しかもそれが従来の用途とはまったく違う出口だったりすると、嗚呼もしかしてこの木はこの出口に辿り着くまでわざとにうちの倉庫でお眠りあそばれていたのではなかろうか!などと都合のいい解釈に酔いしれて自己弁護に走ることも一度や二度ではない。

本来の出番を待っていたらいつの間にか出遅れてしまってすっかりタイミングを逸してしまった弊社の八女杉の6寸角にも、ようやくその機会が巡ってきました。それは本来の太角としての出番ではなく、想像外のまったく別の用途。まず6寸角は長さを半分ぐらいにカットされて8角形に削られました。写真の両サイがもとの6寸角。真ん中8面体に加工された状態。板ものだといろいろな用途への転用も考えやすいのですが、柱や角材は自社で加工出来ないこともあって自分ではこういう発想はなかなか湧いてきません。

長さが1mぐらいにカットさて8面体に加工され、その両端に数本の深い溝が施されています。八女杉に新たな舞台を用意してくれたのは、すずかけ商会川上陽介。まだこの段階でも何に使うのかよく分かりませんでした。この先に細い鉄の棒が付くんですよと聞いても?よくテレビで製造工程の途中の様子を見て、これは何を作っているんでしょうかというクイズがありますが、そんな感じでなかなか理解できませんでした。正解を聞いても普通の人なら「何それ?それ作ってどうするの?」となるようなものです。

正解は、巨大ドライバー。ネジ回し工具です。持ち手を赤や黄色に塗って、先に鉄棒でも取り付けられれば、なるほどという感じ。彼は以前にも巨大鉛筆を作っていて、巨大工具を少しずつ増やしつつあるので、会社に地下室を作り密かに伝説の巨人・ネフィリムを捕獲して社員として働かせようとしている可能性も否めません。そうであるなら巨人用の定規やペーパーウェイト、ペン立て、栞などなど木で作れるもの沢山あるのでご注文お待ちしております。最終的には巨人用のビッグサイズの家具まで!

 




九州は福岡県の南西部に位置する人口65,000余の地方都市・八女(やめ)市。行った事が無い方でも「八女茶」といえば一度ぐらいは聞いたことがあると思いますが、日本茶の有名な一大生産地です。茶の良し悪しも分からない無粋な男ですが、八女茶とかいただくと、名前だけでそれがきっと『よきもの』だと感じて、やっぱり八女茶はひと味違うな~なんて思ってしまいます。ちなみに日本茶の中でも最高級と言われる玉露の生産額日本一を誇ります。ちなみに八女は全国の日本茶の生産量の3%を占めています

そんな八女は、お茶だけでなく良質な木材の産地でもあります。特に、肥沃な大地と豊富な降水量に恵まれた土地から産されるスギは、赤身が多く艶があり目込みで『美林の八女杉』とも呼ばれています。10年ぐらい前は九州にも時々仕入れに行ったりしていましたが、最近材の需要が弊社ではほとんど無くなったのですっかりご無沙汰しています。以前は、熊本の小国杉、鹿児島の彫刻欄間、宮崎の広葉樹、大分の杉のKD材など九州のそれぞれの地域から個性ある商品を仕入れさせていただいていたのが懐かしい・・・。

その当時に仕入れた九州産の材も倉庫にはチラホラ残っているのですが、その中に八女産のスギの柱もあります。長さ3,600~4,000㎜の6寸角。ガチガチの和室はすっかり姿を消してしまいましたが、意匠的に部屋の中に大きな柱を立てたいという需要はそこそこあって、そういう用途に使おうと思って数十本仕入れていたものの残りが数本。もともと芯持ち材なのに背割りを入れてなくて、保管状態も悪かったのでバックリ割れてしまっていますが乾燥は完璧。ただし今となってはそんな意匠的な太柱はスギを通り越して広葉樹に移行。

それで弊社の中ではすっかり出口を失ってしまった八女杉の6寸角ですが、それでもいずれ「私、八女の出身なんですが、まさか愛媛に故郷の木があるなんて嬉しい~!値段はいくらでもいいので全部使います~!!」なんて奇特な人もきっと現れるはずだという超楽観論で待つこと10年。実際これに近いような事を今までに何度も経験しているので、全国各地の材を持っておこうという嫌らしい下心を捨てることが出来ないのです。さてさすがにそろそろどうしたものかと思っていたら、八女とはまったく無縁なところからお声がかかりました。明日に続く・・・

 




多感であった高校生時代を映画館の無い街で過ごしたため、映画の情報誌だけは擦り切れくぐらい読み込んでいたので、自分の中の『妄想映画館』ではいろいろな年代のさまざまなジャンルの映画が常に上映されていました。昔は今以上にテレビで邦画洋画とも結構放送していたので、眠い目をこすりながら深夜放送の映画も観て、感想を鑑賞ノートに記録していました。思えばそれが【今日のかけら】の萌芽だったのかも。特に60年代から90年代の作品については、実際に観てはいなくてもタイトルや出演者、大まかな内容ぐらいは大体分かります。このブログもそこから感化される事も多いのです。

それが今回は、ブログを書いていてある1本の映画に繋がりました。いつもは先に映画ありきで、そこからいかに木と絡めるかなんて考えたりするのですが今回は逆パターン。オランダの木靴がポプラの木で作られているという話を書いていたとき、「木靴の材料の木」としていろいろ資料を検索していたら、出てきたのが1970年代後半に作られた『木靴の樹』というイタリア映画。実はこの映画を観たことは無くて、情報としてしか知りません。なぜ知っているかというと、この作品は有名な俳優も出ない、田舎の農村が舞台という超地味な内容ながら、カンヌ国際映画祭の最高賞であるパルムドールなどをはじめ多くの賞を受賞していたからです。特にカンヌのパルムドールは、この翌年にコッポラの『地獄の黙示録』が、更にその翌年には黒澤明の『影武者』が受賞したため、歴代の受賞作品のリストを何度も何度も目にしていたので、それらのスケールのでかい超大作とは対極的な小作として『木靴の樹』の事が気になっていました。

『木靴の樹』は、19世紀末の北イタリアの農村に暮らす4家族の日常と美しい風景を、自然光だけで描いたヒューマンドラマで、ドキュメンタリーのようなリアルな描写と、貧しいながらもたくましく生きる登場人物たちを捉えた人間賛歌という内容で、殺人事件や怪物の襲来などということとはまったく無縁の作品。その解説を読んでも、あまりに地味な内容に、若かった私の食指はピクリとも動きませんでした。もちろんその当時は材木屋になろうと考えても無い頃で、木靴に関心なんて一切ありませんでした。あれから40年、私も馬齢を重ね、ひとの親となりました。

農作物の栽培や家畜の飼育などに汗を流し、教会へ通い、子供が生まれたり結婚したりするなか、ある悲劇が起きます。ミネク少年の大事な木靴が割れてしまう。 村から遠く離れた学校に通う息子の為に、父親は河沿いのポプラの樹を伐り、 新しい木靴を作ろうとするが、そのポプラは彼らの領主のものであった・・・。若い頃ならそれがどうしたと感じた話が、齢50を越えた今、この話を書いているだけでも、当時の時代背景、彼ら家族の置かれた環境や不条理、ミネク少年の悲しそうな顔、もしも自分がその立場ならといろいろな思いが交錯して涙が溢れそうになります。

そもそもポプラの属名であるPopulusは、もともと『民衆(Popular』の意味で、かつては家ごとにポプラの樹が植えられていたことに由来しているので、映画の中の『ポプラの木靴』というのは、本来庶民のモノであった自由が権力者側に奪われてしまったことの象徴として描かれているのだと思います。1足の靴さえも自由にすることの出来ない彼らの悲しみが、出会いから40年も経ってようやく感じられるようになってきました。機会があれば是非観ようと思います。これもポプラの木靴のお陰。木は暮らしの中でもっともポピュラーな素材。社会の入口であり、出口でもあると改めて感じましたのです。

 




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