森のかけら | 大五木材


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★今日のかけら・プレミアム02 イオレットウッド】 Violetwood マメ科・広葉樹・ブラジル産

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DSCF0193今回家具をご注文いただいたY様の娘さんの名前は「すみれ」ちゃん。机と本棚の素材はブラックチェリーに決まりましたが、何か「すみれ」ちゃんにちなのだ物も取り入れないかと考えました。家具などのご注文をいただいた際、その方の苗字や名前、出身地や職業、趣味そういう物に少しでも関係のある木がないかを考えます。勿論、強度や耐久性、他の木との相性など素材そのものの特性を無視する使い方はしませんが、出来る限り使えるものは何らかの形で取り入れさせていただくようにしています。

 

DSCF0192全ての場合においてうまくいくという訳ではありませんが、太古の昔以来、木の物を暮らしに取り入れてきた日本人ですから、よく考えれば何らかの形で木との関わりが見つかるものです。将棋の好きな方に、将棋盤の材・カヤを使うとか、スキーが趣味の方にスキー板の材・ヒッコリーを使うとか・・・。組む合わせを考えるのが大変ではないかと思われるかもしれませんが、これは私にとって家具作りの楽しみのひとつでもあります。実際の家具の製作については、おおまかなデザインを考えて、家具職人さんに作っていただきます。今回もいつもお世話になっている『ウッドワークかずとよ』さんに作ってもらいました。私の役割は、お施主さんとの打ち合わせと材の段取り・塗装・納品などが中心になります。弊社を選んでいただいた以上、ただ図面通りの家具を作るだけで済ませる訳にはいきますまい!自動販売機ではないので、100円入れていただいたら110円か120円ぐらいの物は出したいと思っています。

 

DSCF0233とはいえ、あまり奇をてらった物だと飽きもくるし、全体のバランスも崩れてしまいます。それ以上にやり過ぎると施主さんの意向を無視したものになってしまいます。モノにはバランスが大切です。今回は、慎ましくも実用的にワゴンの取っ手に思いを込めさせていただきました。【森のかけらプレミアム】の1つ、『イオレットウッド使わせていただきました。その名前の通り深い濃淡の紫褐色の縞模様が魅惑的な表情を作り出します。堅牢で油脂分を多く含み、ツルツルとした肌触りから寄木細工やナイフの柄、楽器などの細工にも好んで使われます。

DSCF0198個性が強すぎるので大きな物を使うと全体のバランスを損なってしまいます。あまり小さくても木柄が分かりませんので、存在感の出るような台形に加工してもらいました。イオレットウッドは、ブラジル産で非常に重たい木です。通常、建築材や家具材で使われる事のない重硬で貴重な高級材です。上の画像は無塗装ですが、植物性油を塗ると更に深みが増して複雑で濃密な縞模様が更に美しさを放ちます。すみれちゃんが幼稚園から帰ってくる前に納品をさせてもらいに伺ったのですが、3階への扉と角度の採寸をミスしてしまい、慌てましたが職人さんの技術で何とか間に合う事が出来ました。Y様には大変ご心配、ご迷惑をお掛けしました。これから長い時間をかけて、この家具たちの上ですみれちゃんの思いが刻まれていく事だと思います。ご両親の温かい思いに携われる仕事をさせていただき感謝しています。是非、ブラックチェリーの話もしていただければとてもありがたいです。




★今日のかけら・#040 【ブラックチェリー】 Black cherry バラ科サクラ属・広葉樹・北米産

DSCF0196今回作らせていただいたのが、こちらのブラックチェリーの勉強机と本棚です。素材の持ち味を活かすために、あくまでもシンプルなデザインです。ブラックチェリーは、家具材としてブラックウォールナットと並んでもっとも人気のある材です。北米から中南米に広く分布する木ですが、とても素性の良い台径木の『山桜』をイメージしてもらうと分かり易いと思います。男女どちらにも根強い人気を誇るブラックウォールナットに比べれば、赤身が差して艶っぽさがあり、比較的女性の方に人気が高いのがブラックチェリーの特徴です。

 

20091225 クリスマス・チェリー⑤名前に『ブラック』と付くので、名前だけ聞くと「黒いのですか?」と訊ねられる事もありますが、名前の由来は赤黒い実の色から来ています。『ワイルドチェリー』の別名もあり、チェリー酒などの原料にも使われます。実に対して、材の方は何の塗装もしていなければ淡い紅色ですが、画像のように植物性油を塗れば赤褐色になります。杢目がくっきり際立ち、触感は山桜に似てとても滑らかです。きちんと乾燥させれば、安定した強固な材質になり、もあることから家具以外にも内装材やクラフト細工としても用途は広いのですが、その美しい木目は家具の天板など大きな物に使用することで、より輝きを増します。

 

DSCF0195本棚の天板は分離しますが、並べると杢目は繋がります。ブラックチェリーの気乾比重は0.55ですが、さすがにこれだけ使うとかなりの重さになります。自重もあるので、本棚は置くだけで安定します。分離して、用途に合わせて机の反対側に置く事も出来ます。ラフ(加工する前の荒材の段階)で厚みが38㎜もある材を使ったので、全体的に表面に赤身を使うことが出来ました。この単純でない豪快さと上品さとを合わせ持つ、奥深さのある濃淡に妖しげな美を感じる方も多いのでないでしょうか。

 

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数年前に私の娘(長女)にもブラックチェリーで勉強机を作ってやりました。子供にそんな高級材を、という方もいらっしゃるかもしれませんが、大人になってもずっと使い続けていく事を考えれば決して高いものではないと思います。安価な家具を買って、短期間で壊れて破棄する方が余程もったいない事だと思います。材の価値を教えてやれば、子供なりに大切に使うものです。使い込むほどに赤身は光沢を増し、味わいが生まれます。良質な物を長い年月にわたり使い続ける事から『文化』が生まれるのだと思うのです。




DSCF0200本日はクリスマス・イブに合わせたご注文の納品です。来年小学1年生になる娘さんへ、ご両親が贈られるのが無垢の勉強机と本棚です。Yさんご家族とは5、6年前の新居完成時にも木製の家具1式を作らせていただいて以来のお付き合いです。あの時赤ん坊だった娘さんがもう小学校に行くようになるのですから、時の流れを実感せずにはいられません。その時間をしっかりと刻んだ家具たちと久し振りに再会しましたが、いい光沢が生まれていました。一目見ただけで大切に使っていただいているのが分かります。変形ブラックウォールナットのダイニングテーブルとベンチ、椅子の4点セットです。

DSCF0202チョコレート色のグラデーションは、ブラックウォールナットの代名詞ですが、実際にここまで縞色が出で来るのは珍しいです。更に丁度コブ状に膨らんだ部分のため、数箇所の節を含んで片方が丸味付きという面白い変形で、バランスも最高です!この時もかなり珍しいとは思っていましたが、その後こういう形状のブラックウォールナットには巡り会っていません。今見ても惚れ惚れする造形です。納品させていただいた時はここまで色の深みは出ていませんでした。この数年間でYさんご家族のいろいろな思いも吸収して、複雑で濃厚なコクが生まれました!

DSCF0201作っていただいたのはスタジオモック谷公彦さん。1枚意板を座ぐりしたブラックウォールナットのベンチと椅子も全て谷さんの手によるものです。全て1枚物の総無垢で、これだけまとまるとかなりの重量になります。この部屋は実は2階なので、外階段から上げさせていただきましたが、かの時の重みが蘇ります。思えば、この頃から私自身ブラックウォールナットの魅力にどんどん惹きこまれていきました。自分で収めさせていただいていて言うのも何ですが、いつまで見ていても見飽きません。谷さんにとっても会心の一作!

DSCF0199それで、今回はこの部屋の上にある娘さんの部屋に勉強机と本棚を納品させていただく事になりました。材料はブラックチェリーです。勉強机のご注文というのは実は結構多いのですが、今だとホームセンターで買えば2,3万で手に入るものがいくらでもあります。勿論無垢ではないですが。それでもあえて、弊社にご注文をいただく方がいらっしぃます。そういう方は、ただ値段の高い安いという価値観ではなく、その誰かのためにオーダーメイドで唯一の物を作り出すという過程や思いを重視されている方々です。弊社に来ていただき、その思いを伺い、その人に合った材を選んだりしてサイズやデザインを考えていく工程は、共にモノづくりをしているという連帯感も芽生えます。どうしょうもないくらい木が大好きで仕方がない『木のファン』のために、弊社が出来る限りの精一杯で応えさせていただきたいと思います。本題のブラックチェリーの家具については明日詳しく!




091223_2132~0001私は子供の頃は真剣に漫画家を目指した事があるほど画を描くのが好きで、右手人差し指のペンだこは私の誇りでもありました。やがてその夢はあえなく幻となってしまうのですが、今となっては『適材適所』などを通じて楽しみながら画を描かせてもらっています。こういう物は個人の満足度に尽きるので、うまい下手は別問題です・・・。描くのも好きなのですが、読むのは更に大好きで、子供の頃はありとあらゆるジャンルの漫画を読み漁りました。まだビデオもゲームも普及してない当時の事で、私にとって何よりの楽しみは漫画でした。おこづかいのほとんどは漫画につぎ込み、破れるぐらいまで読み込んだものです。中でも手塚治虫、藤子不二雄、赤塚不二夫石ノ森章太郎氏などいわゆる『トキワ荘』関連の方々の漫画は大好物でした!かつて子供の頃に父親に連れて行ってもらった重機か何かの展示会に、たまたま藤子・F・不二さんが来られていて、サインをしていただいたのは今でも宝物です。

 

091223_2105~0001三つ子の魂百まで!その嗜好は精神の細部にまで浸み込み、今でも時折引っ張り出して読みたくなる漫画があります。また、40歳を過ぎた今でも発売を楽しみにしている漫画があります。私達の世代は同じ趣味の人間は多いと思います。さすがにもう『ドラえもん』は卒業し嗜好は変化してきました。週間で発行される物は、読みたくないものも含まれているのとブツ切りが嫌なので、単行本化されるまで待ってから購入するのですが、中でも待ち遠しいのが永福一成・作、松本大洋・画の『竹光侍』(小学館)です。作者の松本大洋氏の作風は独特で確固たる地位を確立されていますが、全てのコマが絵画的な風格を持ち、作者の渾身の一筆が刻み込まれています。『ZERO』や『ピンポン』、『鉄コン筋クリート』など多くのヒット作を抱える人気の作家を今更紹介するのも気が引けますが、この『竹光侍』はそのどれと比較しても物が違います!

 

091223_2102~0001緻密に描き込むという作風の方ではないのですが、まさに一筆入魂!物語は江戸時代で、突如長屋に住み着いた訳ありの素浪人・瀬能宗一郎が主人公です。この瀬能宗一郎、長屋の衆には昼行灯を装うものの、ひとたび刃を抜けば一刀両断。何者かが憑いたかごとく鬼人の剣は容赦がない。しかし、あまりの殺気ゆえに自ら剣を封じ、腰の銘刀・国房を質に入れるや、手挟(たばさ)んだのは竹光!瀬能宗一郎に吸い寄せられるがごとく、次々に災い事が舞い込んでくる。辻斬りに凶剣士、そして次第に彼の素性が明かされていく・・・。竹ペンで書かれた様な雰囲気のあるタッチは、敬愛する和田誠さんにも似て、味があるなどという陳腐な言葉で語るにはあまりに失礼なほど繊細で優雅で美しすぎます。鮮血ほとばしる決闘シーンもありますが、何気ない市井の静かな描写にこそ凛とした緊張感があって好きです。

 

091223_2037~0001竹光を帯同しながらも消え去る事のない殺気。子供や動物の大好きな瀬能宗一郎が垣間見せる笑顔との苦悩の表情。魅力的過ぎる登場人物。それぞれのエピソードの奥深さ。どれをとっても簡単にページをめくるには惜しいほどの画力です。瀬能宗一郎の刀は恐ろしいまでに人を斬りたがっていますが、その殺気はまるで作者の松本大洋氏のペンにも乗り移ったかのように気合が満ち満ちています竹光は、本来武士にとって屈辱でしかありませんが、瀬能宗一郎にとっては己の殺気を閉じ込めるための封印です。竹は【イネ科タケ亜科】の植物で、真竹孟宗竹破竹、黒竹など多くの種類がありますが、竹光にはしなやかで弾力のある真竹が使われたのではないかと想像するのですが。日々の暮らしに困って質に入れたぐらいですから、手に入りやすい素材を使ったものと思われます。何はともあれ、一見の価値あり!タイトルは竹光でも、中身は正真正銘の切れ味抜群の真剣です!

 
★同作品は2007年、第11回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞しています。

◆関連ブログ・・・『竹光侍』つながり→「銘刀クニサカと竹光侍




20091222 久万郷②今晩は『久万郷』の忘年会が松山で行われ、私と大成郁生君も『久万郷+(プラス』として参加させていただきました。早いもので、最初に井部健太郎君から、こういう計画があると話を聞いたのはもう2年ぐらい前になるでしょうか。5人のメンバーの結束は固く、信頼の絆は回を重ねるごとに深まり、活動にもしっかりした軸が出来てきました。今年は、『子育てワンダーランド』として年間5回開催しメンバーが個々の持ち味を発揮した素晴らしい活動をされました。その詳しい内容については『久万郷』さんのホームページをどうぞ。

20090707 久万郷2その全てには参加できませんでしたが、お陰で木材以外の久万の魅力をたくさん知る事が出来ました。我が家は各種イベントには家族連れで参加してたっぷりと楽しませていただきました。その真摯な活動に対して、愛媛信用金庫さんやFM愛媛さんからも強いバックアップを受け、多くのメディアでも取り上げられ、メンバーもラジオなどでその魅力をたっぷりと語りました。地元久万高原町でもその存在感は日に日に高まってきていることと思います。

20091222 久万郷③こういう異業種の取り組みは結構多いと思います。私たちも堀江方面でも『オレンジ会』という異業種交流会を立ち上げ、勉強会や販売会などの活動を行っています。しかし、久万郷のように会社組織までして、きちんと年間計画を立てて、収益を目指す方向できちんとビジョンを確立するレベルではありません。やはり異業種の代表が集うだけに、船頭多くして船山に登るの例え通り途中で空中分解するパターン多いもの事実です。

 

久万郷の強みはメンバーが生まれは久万の人間でありながら、一度は東京や大阪など外に出て、それから地元に戻ってきて、更に奥さんが皆県外出身者という事で、久万の現状を冷静に見つめ直す事が出来たということとだと思います。そのため変な遠慮も馴れ合いもなく、きちんと自己主張ある議論が出来、久万郷の骨同じ目的で進む格を作り出せた事が成功要因だと思います。

kumago-rogoもともと親しいメンバーが集まると、妙に互いを意識し過ぎて言いたい事を言わずに、後から不満や愚痴が出てくるものです。やはりコンセプトが明確でお互いの強い信頼関係がないとこういう活動は長続きしません。久万郷の存在は、いまやひとつの成功事例としていろいろな団体から視察や問い合わせが舞い込んできているようです。とはいえ、まだまだ収益事業としてはスタートを切ったばかりです。これからの、久万の魅力を更に外(都市圏)へ伝えていく活動によって、久万郷の真骨頂が問われるものだと思います。実はかなり大きな相手からもいろいろお誘いがあるようです。私も久万郷+として微力ながらご協力をさせていただきたいと思います。同じ道を進もうと思う友がいるということのありがたみを堪能させていただいております。久万郷の皆さん、今年1年本当にお世話になりました。+として参加させていただいている私にとっても大きな誇りであり喜びです。来年は更なる高みを目指して頑張りましょう!




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